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独身寮の復活と企業のコミュニケーション

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就職戦線は景気の不透明感が増しながらも企業の採用意欲は旺盛です。2008年度も始まり多くの新入社員が入社しました。

 

平成20年度の新入社員のタイプは「カーリング型」

財団法人社会経済生産性本部は326日、平成20年度の新入社員のタイプについて「カーリング型」であると発表しました。その内容を紹介しましょう。

冬期オリンピックでおなじみになったカーリング、新入社員は磨けば光るとばかりに、育成の方向を定め、そっと背中を押し、ブラシでこすりつつ、周りは働きやすい環境作りに腐心する。しかし、少しでもブラシでこするのをやめると、減速したり、止まってしまったりしかねない。

また、売り手市場入社組だけに会社への帰属意識は低めで、磨きすぎると目標地点を越えてしまったり、はみだしてしまったりということもあるだろう。就職は楽勝だったかもしれないが、サブプライムローンの問題等の影響により経済の先行きは一気に不透明になった。これからも波乱万丈の試合展開が予想され、安心してはいられない。自分の将来は自分の努力で切り開いていくという、本人の意志()が大事になろう。


2008
年度の新入社員は売り手市場の入社のため帰属意識は低く、そして周りは働きやすい環境づくりに腐心する。つまり、新入社員が働きやすい職場でないと感じたら、3年で3分の1の若者が会社を辞めるというデータもあるように、会社を辞めてしまう確立がさらに高まることが予想されます。

 

独身寮の復活と温故知新

週刊東洋経済(2008.3.29)の中に「給料はなぜあがらない!」という特集が組まれていました。給料が上がらない理由を仮説による解説をし、賃上げの必要性や組合のあり方等が書かれています。

特集の最後のページに「見直される日本的経営:独身寮を復活させて三井物産の温故知新」というタイトルの記事が目を引きました。内容の趣旨は、

バブル崩壊後に社宅や独身寮の解体が進んだことにより、社員はマンションに住むことによって、社員同士の交流がほとんどなくなった。

ある不正事件をきっかけに執行役員より独身寮の復活が発案された。その理由は、“事件が起こった原因の一つに、社内のインフォーマルな人的ネットワークの希薄化があることは間違いない、と考えた”。

新入社員のほぼ全員が、大食堂や談話室や大浴場といった共有スペースのある独身寮に入ることになった。ワンルームマンションを借り上げるよりも、会社の負担は重くなるが、コミュニケーションの場として必要不可欠な投資として判断をした。

独身寮では深い付き合いというわけではなく、プライバシーが保たれる中で、先輩や後輩との縦のつながりや同期の横のつながりができ、女子寮では深夜まで恋バナで盛り上がる等、概ね好評。

他の企業も300戸の大規模独身寮を自前で建てることも検討している。

 

高まる社員同士の柔らかなコミュニケーション

社内のコミュニケーションが希薄する中で、社員旅行や社内運動会が増加傾向にあります。また、社内SNSやイントラブログ等の社内の柔らかなコミュニケーションをつくる動きも企業によっては見られます。

社内旅行や社内運動会は一時のコミュニケーションであり、社内SNSやブログはネット上の柔らかなつながりです。しかし、独身寮の世界は、リアルな世界の柔らかなつながりを継続的に保つことができるコミュニケーションの場です。

日本はこれからも一人暮らしの比率が増えると言われています。企業や社会全体に活力を与えていくためには、まず人と人とのつながりを増やしていくことが重要です。そういった意味で、自分自身の経験からも新入社員が独身寮からスタートを始めて、企業人として巣立っていくのが今大切になってきているのではないかと考えています。



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