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人間的なSaaSを考える

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春闘が山場を迎えています。大手企業は3年連続賃上げをしていますが、必ずしも取り巻く労働環境が良くなっているわけではありません。さらに、非正社員の就労人口に占める割合が33%を超えています。そして、サブプライム問題等の影響により、景気の不透明感が広がってきています。

 
一方、学生の就職環境はさらに売り手市場になっています。定年退職の社員が増加し、少子化が進む中で、多少景気が悪くなっても優秀な人材は確保したいという動きが見られます。そして、アルバイトやパート社員等の派遣労働者を正社員にする等の人材の囲い込みも見られ、まさに人材の奪い合いという状況になってきています。また、海外からの人材確保や開発等のオフショアリングの動きも加速化しています。

 
このように企業が自社の人材確保に躍起になり囲い込みが進めば、優秀な人材を確保できる企業とそうでない企業の格差が生まれるでしょう。国際競争がさらに進めば、競争から脱落する日本企業も増えることが予想されます。中小企業の倒産件数も増えつつあるのも深刻な問題であり、人材難も一つの要因になっていると言えるでしょう。

 

今、ITの世界では、SaaS software as a service)が一つのキーワードになっています。SaaSとは、@IT情報マネジメント用語事典から引用すると、

ケーブルテレビや電話などの“サービス”のように、ユーザーが利用したい機能を必要になったときにネットワーク経由でサービスプロバイダから直接入手し、その使用分に対して対価を支払うようにするというコンセプトがSaaS

としています。

 
このコンセプトはあくまでもITの世界の中のコンセプトなのですが、このコンセプトを労働サービスに置き換えてみるとどうでしょうか? ユーザーが利用したい労働サービスを必要になったときに、必要なときに直接入手することができたらどうでしょうか?

 
もちろん人材派遣業等が存在しているので、派遣業者から派遣すればそのコンセプトはクリアできると思われるのですが、企業へ人を常駐的に派遣するという方法が一般的であると考えています。

 
この先、人材難がさらに進めば、その人のノウハウを自社の企業だけでなく、複数の企業に対して必要なときに、還元してあげるという仕組みも必要になってくるでしょう。このようなコンセプトを“人間SaaS”と考えてみたらどうでしょうか? 日本は国際競争力の波に乗り遅れてきています。日本国内で人材の奪い合いをしているのではなく、国内で人材を共有することによって、国際競争に打ち勝つ仕組みを考えていくことが今重要ではないかと感じています。

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