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デジタル知財プロジェクト(DIPP)キックオフシンポジウム2007

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2007630日(土)、慶應義塾大学にて、「デジタル知財プロジェクト(DIPP)キックオフシンポジウム2007」を開催され、主催者メンバーの金正勲慶應義塾大学DMC機構)准教授にご紹介いただき参加してきました。

 
今回のプログラムは、

1部:デジタル知財プロジェクト(DIPPイントロダクション

2部:パネルディスカッション「コンテンツ取引市場」

3部:パネルディスカッション「ユビキタス特区」

 
1部はDIIPのプロジェクト概要やコンテンツ政策フォーラム<1)通信・放送法制WG、2)デジタル著作権WG>そしてリメディア融合実験やデジタルキッズ等の各種プロジェクトの概要が紹介されました。

DIIPプロジェクトは、慶應大学DMC機構内に設置された「デジタル時代の知的財産/著作権」に関する研究プロジェクトで、情報の国際的な共有・流通の進展に対応する制度、ビジネスモデル、技術を追求しています。

 
2部では、コンテンツ取引市場をテーマに、映画や米国の放送コンテンツに比べて、日本のインターネット配信が難しいのか等の課題を分析し、今後の方向性を検討していきました。

 
そして第3部では、総務省が平成19618日に報道発表した『「ユビキタス特区」の創設に向けて』の資料をもとに、現状の課題や今後の方向性について議論をしていきました。

 
実はこの第3部(第2部の最後)から参加したので、「ユビキタス特区」をメインにテーマの概要と自分の感想・意見を述べていきたいと思います。

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「ユビキタス特区」とは?

特区とは、地域にだけ全国一律の規制とは違う制度を認める仕組みで、特区の成功事例により、全国的な規制改革に波及させ、国全体の経済を活性化することを目指して取り組んできました。しかしながら実際にはその成功事例は少ないというのが現状です。

今回は「ユビキタス特区」において、固定通信、移動通信、コンテンツ及びアプリケーションが融合・連携した世界性先端のICTサービスを開発、実証し、日本のイニシアティブによる国際展開可能な「新たなモデル」を確立することを目指します。そして関係省庁や他国と連携しながら来年の1月を目処に創設し、対象地区や内容そして周波数等を決めていきます。

 
ユビキタス特区の取り組みは起死回生のチャンス?

現状を見ると、電子政府、教育や医療の情報化どれをとっても欧米や韓国等の諸外国と比べても遅れをとっています。規制を緩和し、法体系の枠を超えて新たなITのバリューチェーンをつくっていくことによって、地域情報化を推進していくことを目指しています。例えば、電波特区をつくり、二次利用を促進することで新たなモデルが生まれることも考えられます。民間企業にもこの実証実験の場(フィールド)を多いに活用してもらい、新たなビジネスモデルを創造していくことも期待されています。

 
日本は最先端の課題国家?

パネリストの中からは、「ユビキタス特区」の取り組みは「地域情報化」が目的になっており、本来の目的と手段が逆転しているという指摘がありました。例えば、少子高齢化対策や地域過疎化対策をするという目的のために例えばICTを活用するというアプローチを本来していくべきではないかという意見です。日本は、先進国の中でも特に多くの地域課題を抱えており、(ICTですべてを解決できるわけではありませんが)ICTを活用しながらその課題を解決していくことも今必要とされています。

 
ユビキタス特区は次につながるモデルに

総務省からもいくつか今までの反省点があげられました。過去10年近く実証実験をしてきましたが、国の予算がなくなるとその実証実験の多くはそのまま次に展開することなく終わってしまったということです。国の予算がなくなったときにも自治体や地元の企業や住民が力をあわせて自立して活用していけるモデルにしていかなければならないという強い期待感を示していました。

また、パネリストからは、今までの実証実験モデルの選定を一部の評価委員の方だけで決める住民不在の決定はおかしいという意見もありました。次につながる地域情報化モデルをつくっていくためには、住民の声をもっと反映し、みんなで収益を出していけるモデルを真剣に考えていくことも重要になってくるでしょう。

 
最後に

残念ながら第1部と第2部は参加できませんでしたが、ほぼ終わりの時間に参加した第2部のコンテンツ取引は会場が満席でデジタルコンテンツのあり方や知的財産に関しての関心度の高さを感じました。日本の知的財産戦略、コンテンツ政策そして「ユビキタス特区」創設による地域情報化と地域活性化は、今後の日本のICTの国際競争力を高めていく上で、非常に重要なテーマとなっています。また、Web2.0CGMConsumer Generated Media)と言われるように消費者がコンテンツやメディアを発信する時代でもありますので、国家政策と消費者視点とのバランス感覚も必要となってくるでしょう。

慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構(DMCのシンポジウムのプログラム内容は参加してみると非常に充実していますので、皆さんも興味があれば是非足を運ばれると良いかと思います。


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