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小俣さんが数日前に紹介されていたiPhoneアプリの「xplane trainer」をやってみました。(元は竹内さんからのご紹介とのこと)

ゲームの出来はすばらしく、画面が小さいながらも自分が操縦しているような感覚です。飛ばしながら計器を確認できないなどの点はつらいですが、実際の飛行機でもまだヘッドアップディスプレイは標準的ではないですから、計器を見たら前が見えない、前を見たら計器が見えないというのはリアルな仕様かもしれません。(この画像のガラスのところについている逆V字型の部品に必要な情報が表示されるそうです)

さて操縦性はというと、実際の飛行機を飛ばしたことがないのでリアルかどうかはわかりません。上で書いたように「飛ばしている感覚」になれるという点が優れているように思います。iPhoneを操縦桿のように手前や左右に傾けていると飛行機が上昇したり曲がったりします。

xplaneだけでなくだいたいのフライト系ゲームをやると、飛行機と地上とは勝手が違うことを実感します。たとえば上昇ですが、エンジンの出力が大きくないときに急上昇をすると、高度が高くなる代わりに速度が落ちます。ジェットコースターで高いところにいくと速度が落ちるのと同じです。同じく、急降下をするとエンジンの出力が小さくてもスピードが速くなります。

また、左に旋回するとき機体を左に傾けて上昇させる、というような操作が必要になります。感覚的には自動車で曲がるときよりもバイクを倒して曲がるような気分です。

他にも、フラップの出し入れですとか、エンジンの出力調整に若干のタイムラグがあるところがなかなか慣れません。

そんな中でとりわけ難しいのが着陸です。進入方向を決める時点で相当に難しいです。自動車の車庫入れと違い、斜めに入っていってハンドルでぐりっと正面を向くということはできません。飛行機はスピードが速いですし、頑丈に作ると重くて飛べませんのでスピードが出た状態で曲がれるほどタイヤ周りの強度が強くありません。それに翼が長いので曲がろうとしたらたぶんバランスを崩して翼の先を地面にこすってしまいそうです。また、滑走路に対して横向きに風が吹いている場合、機首はまっすぐ滑走路のほうを向いているのに真横に流されて滑走路から外れてしまうという現象が発生します。かといって風上を向くと着陸時にタイヤに斜めの力が加わり危険ですし、ちょうど滑走路に着地できるように斜めに滑りながら着陸すると慣性で滑走路から飛び出してしまいます。wikipediaには横風着陸という項目があるほどで、読めば読むほど飛行機に乗りたくない気分にさせてくれます。

左右の角度も難しいのですが、上下の角度も難しいです。浅すぎると地形によっては手前の丘に衝突するなどの危険がありますし、深すぎると地面に対する垂直方向の速度が早すぎて墜落のような美しくない着陸になってしまいます。現実にはタイヤが折れるなどして大変なことになるでしょう。

位置の見当をつけるのも難しいです。なにしろ速いスピードでの着陸は機体にストレスをかけますので、堕ちる手前の遅いスピードで着陸したいところです。するとエンジンを低出力にして、滑空するように滑走路に近づいていくことになります。奥過ぎるとオーバーランしてしまいますし、手前過ぎても墜落です。奥に行き過ぎたときはやり直しになりますので、手前気味を意識してエンジンで調整するのですが、やりすぎると速度が出すぎてしまって着陸できません。どうすりゃいいんだ。

とまぁ、こんなこと最初は全然わからないのですが、何度かやっていると背景にあるこうした物理法則の存在に気付くようになります。それも、存在に気付くだけで法則がどうかというのはブラックボックスのまま、とりあえず飛べるようになるという恐ろしい状態です。私も含め、自転車が倒れない理由、曲がる理由を正確に説明できない人は多いと思いますが、飛行機のような複雑そうなものでもそれができてしまうというのは衝撃です。人間というのはすごいですね。

今日はそんなことを一層強く感じる一件がありました。私は以前、YS FLIGHT SIMULATORというPCのフライトシミュレータで遊んだことがありましたので、xplaneもそこそこの練習で離陸や旋回などはできるようになりました。しかしiPhone歴が浅いので傾ける操作方法には慣慣れていません。xplaneはかなり敏感に反応するので(感度の設定方法がわからず)着陸が全然できませんでした。

それでもやっていれば上達するもので、着陸だけを練習していたら30分ほどでなんとかうまく行くようになりました。墜落寸前の低速で着地したり、フレアさせたりと上を目指し、確率は悪いものの自分の思うような着陸ができるようになりました。

こうなると楽しいものです。周りの迷惑にならなそうな状況だったので、電車でフライトしてみることにしました。すると電車の加減速やカーブに合わせて画面のセスナが曲がったり上昇したりしています。これは急激に難易度が上がりました。乱気流の中を飛ぶパイロットはこういう気持ちなのかもしれません。しかしやっていると慣れるもので、30分くらいの電車移動の間に何度か着陸に成功しました。もし乗客がいたら生きた心地がしないようなフライトだったと思いますが(笑)

飛行機というと操縦が難しいように思いますが、アメリカなど面積が広い国や離島の多い南の島などでは我々が車に乗るような感覚で飛んでいるんじゃないかと思います。もっとも彼らからしたら、首都高速の車間距離とスピードのほうがよっぽど正気じゃないよ!と言いたくなるかもしれません。そんないろんな状況に対応できること、また慣れてしまって普通に感じるということはすごいものです。

yohei

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山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

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