サジェスト機能が生み出す名誉毀損と消し去っている名誉毀損
「違法な投稿記事のコピーを容易に閲覧しやすい状況を作り出している」ということでgoogleが検索キーワードのサジェスト機能について差し止め命令を受けたそうです。
グーグルに差し止め命令 検索予測表示めぐり 東京地裁初判断 - MSN産経ニュース
googleはよく使われる検索キーワードを一律に処理しているだけだと思っているのでしょう。その中に誰かにとって不都合なキーワードがあろうがなかろうが関係ないと考えているのだと思います。私も明らかに不適切なキーワードでなければ既にインターネット上にある情報を集計して提示する機能があっても良いのではないかと考えています。
それよりもむしろサジェスト機能を停止することの弊害のほうが多いでしょう。なぜならばある人についてサジェスト機能によって知る不名誉な内容があったとします。例えば「山田太郎 分速10億円詐欺」というようなフレーズです。「山田太郎 書籍」というキーワードで検索してみようという人がこのように気になるキーワードを提示されればクリックしてみたくなることは否定できません。
一方でサジェスト機能がなければどうでしょうか。ある人が無関係なフレーズの提示に惑わされずに「山田太郎 書籍」というフレーズを選びさえすれば書籍についてのみ情報を得ることができます。その一方で面倒なので「山田太郎」とだけ検索すれば、上位10件の中に「分速10億円詐欺」というキーワードに関する情報が含まれてしまう可能性が高いのではないでしょうか。
もしそのようなことが起こり得るとすれば、というよりは様々な検索キーワードの組み合わせと多くの人々の検索キーワードとの関係を考えれば必ずそのようなケースも起こりえるでしょう。総量でどちらの被害が大きいかはわかりません。推論できるとすればgoogleだけだろうと思います。サジェスト機能はおそらく名誉毀損を生み出してもいますが防いでもいます。
しかし真に名誉毀損につながっているであろう記事のひとつひとつを消して回るのはコストパフォーマンスにかけますが、googleを相手取って訴訟に勝つことが出来ればコストパフォーマンスは高いですので合理的な行動を取るならば今回のような訴訟に至るでしょう。私も今の環境であれば仕事があるのでそのような行動は起こせませんが、ニュースによればサジェスト機能のせいで失職したとのことですので、私が同じ立場であればそのような行動を取ると思います。名前と共に不名誉なニュースが出てくることで失職してしまう職場環境とも戦う必要はあるのでしょうが、世の中にはいろいろな職場がありますので回避できないような事情もあるのかもしれません。
願わくばgoogleが今回の件でその場しのぎの対応でなく、もっと素晴らしいシステムを生み出してくれますように。