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IT、特にコンサルに携わる方々を癒すメッセージを、ついでに趣味のダーツ話も交えて・・

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2009年3月18日 »

別に文句もありませんが、昨年の大不況到来で1円もボーナスもらえなかったワタシ(苦笑)、一方でオバマ米大統領のリーダーシップには正直驚かされます・・・

1800億ドルの公的資金投入という政府支援を受けたアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が社員に1億ドルのボーナスを支払ったことについて憤りを示しボーナスの支払いを撤回させるため、あらゆる法的手段を探るよう財務長官に指示したことを明らかにしたと。

 

社員にボーナスを支払うのは、有能な社員のリテンション(つなぎとめ)という期待効果という意味合いからはそんなに違和感はありませんが、きっと大統領が怒っているのは、「デリバティブ(金融派生商品)のトレーダーが1億6500万ドルものボーナスを受け取ることは理解し難い」という一点のみ。デリバティブ業務はAIGの経営危機の直接原因だったはずなので、なんで彼らが?って話でしょう。

支払額は1800億ドルに比して0.1%弱なわけですが、百分率にするとついつい納得してしまいそうになりますが、「総額160億円」と表現すれば・・・そりゃあそうだ。そんなに「直接原因」に払うのか?!とは大抵の人は思いますよね。ましてや大統領、就任前から積みあがっていた問題に対して、公的支援で提供した資金がこんな風に使われるんじゃあ。

 

確かに、我々もボーナスに関する契約は、かなりデジタルに業績連動ですから、ですが一方で「会社の業績全体次第ではその額が調整されることは有り得る」くらいの但し書きは通常はあります(日本の契約慣習、またAIGじゃなくて当職業界の経験則に基づいており、リーガルに完璧な文言ではありません)。そんな感じの但し書きがあったとしても、厳格な契約文化、訴訟文化の米国においての事象だったとしても、それでも支払うんだから個人的にはリテンション目的かと思いました。

 

しかし外からみれば、さらには支援者からみれば、巨額損失を出した張本人じゃないのかという疑問もごもっともですよね。

私の経験範囲からしても、自社の業績に大きく損失をもたらした場合、その当事者が選ぶ道は通常退職です。そして退職金は当人に引責意識があれば当然辞退です。でも実態はそうでもなかったりするときがあります。当然当人と会社(この時点では大抵「前職)と化している」はもめます。

 

実体験としてそういうもめごとに遭遇したこともあります(私じゃないですが!)。

契約上は退職金をもらう権利もあり、一方で会社に与えた損害の賠償責でそれを相殺して、チャラ=辞退という形で当人の尊厳を守る、というような流れでした。でも当人にそんな流れが「尊厳」と感じられなければ、当然もめるわけで。

その私の知人のケースと比べれば明らかに、今回AIGは、彼らをつなぎ止めたいと思っているのでしょうか。だとしたら今後もこの保険会社にとって、デリバティブは企業復活のためにとても重要だと思っているんですね。保険会社は集めた保険金をいかに支払わずに済むか&支払に備えていかに運用益をあげていくか、にかかっていますから、確かに考えとしては理解できます・・・が、一方で現在の現役デリバ運用メンバーが企業復活に不可欠という依存関係は経営としてはなんとも・・・?そんな一本勝負であんな大企業は支えられているんですか?!という不思議不思議な話に聞こえてしまいます。

 

そんなに大事なデリバなら、直接顧客が投資できる商品スキームを提案して、顧客がダイレクトに投資責任を負えるようにすればスッキリするのに・・・

(あ、・・・これじゃあ保険会社とはもはや言えなくなるか。爆)

TORAPAPA

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北添 裕己

北添 裕己

アクセンチュア、ヘッドストロングを経て現在、キタゾエアンドカンパニーで金融機関主体の経営・ITコンサルに従事、特にプロマネ領域にカリスマ的手腕を発揮

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