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IT、特にコンサルに携わる方々を癒すメッセージを、ついでに趣味のダーツ話も交えて・・

« 2007年2月22日

2007年2月23日の投稿

2007年2月25日 »

とうとう東京には一度も雪が降らないまま春になりそうですが、不肖コンサル業界には予想外のモノが降り注ぎ、少し困惑しつつあります。

J-SOXをはじめとするガバナンス系の相談が大規模に増加しているのです。

企業統合前のいわゆるデューデリや統合作業の外部監査、等、従来から会計監査以外にも監査法人の主戦場たるコンサルニーズは明らかなサイズ、存在します。

不肖がエントリを書くと、弊社はPMO的なサービスばかりやっているように誤解されるかもしれませんが、サービス対象外はオンショアのSIだけで(インドとマニラでオフショア開発・運用委託はやっております)、基本大抵のコンサルファームがやっている

経営・事業戦略、

BPR・業務改革、

IT戦略・実行計画、

ガバナンス系、

等々のサービスも種々、やっております。^^;

正直申しますと、弊社のように会計士をコンサルタントとして抱えていないコンサルティングファームの場合、J-SOXに代表されるように、当該の取組が財務会計に与えるインパクトや種々課題への解決策提示等の作業において、有資格者でないコンサルタントが足を踏み入れることのできないコンサルティング業務領域が存在します。

これらは、会計士を抱える監査法人の仕事範囲であるということです。

昔、小生も会計事務所のコンサルティング部門に所属していて、主に会計システムの企画から開発・保守、一連のライフサイクルが主戦場になっていました。

そこには、必ず会計士の資格をもったマネジャーがいて、要件定義や基本設計のフェーズにおいて、勘定科目の定義や会計処理の設計について、会計士としてのアドバイスをしていました。

当時、「こういう売り上げはどの勘定科目にするの」「この借方の貸方はどの勘定科目にすべきなの」という質問に答えてもらっていました。

一昨年末あたりから、SOXCOBITCOSO、等々の内部統制・企業統治にかかわるキーワードがいろいろ出てきて、我々のお客様からもガバナンスに関する相談が明らかに増えてきました。ただ、その中には有資格者じゃないと答えられないものも結構あり、サービスの範囲について、依頼者側の期待と実際弊社が応対可能な領域に乖離があり、非常にもどかしい思いもしています。

加えて、表題にも書いたとおり、監査法人、古くはエンロン事件くらいからが発端になってしまうのだと思いますが(思えば不肖が当時憧れ、最初に入社した会計事務所がこれで無くなってしまいました・・・)、監査結果の操作により、適正な監査がされてないとの問題が露出し、カネボウさんや日興さんその他「粉飾」とか「虚偽」かとかいう言葉が耳慣れなくない時代になってしまいました。

結果、

監査法人の体力が減少し、監査人の負荷が増大しつつあります。みすずさんが解体するので、他の監査法人に各顧客企業が鞍替えを強いられます、が事はそう単純ではないはずです。

基本、企業は監査のために監査法人に企業機密の(ほぼ)全てを公開します。現役の監査人である知人に聞くと、「それはもうバリバリに機密だよ!」とのこと。そんな情報開示しなければならない外部監査が別の監査法人に変わるなんて・・・不肖が考えるに、生理的に「また今度は別の監査法人に情報開示しないといけないの!?」と感じても不思議ではありません。

変な話、弊社のようなコンサルティングファームでも、たとえば、企業経営のKPI定義のコンサルティングを行ったときがありますが、KPIのファクター定義は手伝うものの、その値については、全てを知ることはできないことの方が多い。「いくら経営コンサルタントでも、監査法人じゃあるまいし、見せられないデータもある」といわれたりします。別に不満ではありません。ただ、それだけ監査法人は企業機密に触れることができる人達なわけです。

まあ、ところでレベルは違うのですが、不肖もずいぶん前ではありますが、摩訶不思議な体験をしたことがあります。

ある企業の会計システムを構築していたときのこと。いわゆるALMレポートを生成する機能を担当していました。

そこで、実データで本番前最終リハーサルをやったのですが、A(資産)とL(負債)の比率が何度やっても1:3で、バランスしないのです。

え?負債が資産の3倍??っていうかバランスしてないってどういうこと??

・・・3日間、徹夜で全てのソースコードの再点検と、全てのテストデータのRERUNを命じられ、自分ではどうしてもバグを見つけ出すことができず、自信を打ち砕かれ、それでも必死に3日間やったのですが、結局どこにも穴がなく・・・マネジャーに「クビになってもいい。でも言われたとおりの仕様に作ってある。自分の全ての経験をかけて、その自信はある」そういいました。

マネジャーは、「わかった。信用するよ。お客さんの財務状況を精査してみるよ」といって、社長のところへ談判しにいき、2時間くらいミーティングしていました。

結論。なんと、仕様は合っていて、その企業の会計がハチャメチャだったので、本当にその時点で締めるとAssetLiability=1:3だったんです・・・ひえー。

このときも、私は(ぺーぺーだったこともあり)会計士ではないので会計データ・会計処理手順の正当性を検査する力もなく、だから当然「うちの会計がおかしいはずがない。システムの仕様が間違っている」と主張されると、反論の余地もなく、上述のように過ごしてきたのでした(注:この企業と会計システムは現在はもう存在しないようですが・・・)。この企業の当時の監査法人は不肖がいた事務所とは異なるので、その真意はわかりませんが、最近の大きな事件ほどではないにしても、「正しく会計処理ができていない」企業がほんとに存在するんだ、と若造ながら非常に不思議に感じたときでした。

思えば、「会計事務所がコンサルティングビジネスをするのは監査業務の中立性を損なう恐れがある」という話で会計事務所からコンサルファームが分離・独立し、そして会計事務所も「不正監査」によりその数・体力が減少していく。その結果、悪気はないのでしょうが、顧客から不肖のようなコンサルファームに対して会計処理等、会計士が本来のるべき相談が通常の依頼に混じってきてしまっているように感じるのですが、これは結局非効率です。

昨年も、ある金融機関が合併するということでそこに呼ばれ、

それぞれの元金融機関が使っていた監査法人が異なり、現時点で統合後はどちらの監査法人に監査をしてもらうのかまだ決めていない。だからどちらにも頼みづらいのだが、貴社(弊社のことです)にお願いできないか。と言われましたが、・・・えーと、「監査法人でない弊社が外部監査してその結果で金融庁も納得できるというのであればお受けしますが、そういうロジックは成り立たないのでは??」・・・とご説明したところ、納得いただけたのか、(せっかく呼ばれたのに・・・やっぱり)仕事の芽はあっさり無くなりました。^^;

愚痴のつもりでもないし、脈絡なく嘆いているつもりでもないのですが、どうも顧客企業側で「監査法人」「コンサルファーム」の正しい使い方に混乱が起きている危惧を感じつつあります。

「監査法人も信用できないなあ」・・・そんなこともないと思います。殆どの監査人がまじめにやってるはずです。

「コンサルファームに代替してもらおう」・・・ありがたいお話ですが、会計士等の有資格者しかできない業務、監査法人を名乗っていないと結果にハクがつかない業務、はお引き受けしても意味がないと思います。

まだまだ修行の足りない不肖ですが、これからも(広い意味での)コンサルティング業界に灯を燈し続けていきたいですし、お客様に「監査法人」「コンサルファーム」の正しい使い方をきちんとコーチングしていきたいと、あらためて気を引き締める今日この頃です。

TORAPAPA

先日のエントリで紹介した通り、営業活動の基本知識について、キーワード別にその内容についてより詳細に解説をしています。

「『あ、これはもう獲れないな』と思っても絶対に手抜きしないこと」

     「深追いするな」という話も以前しましたが、基本、どういう形であれクローズするときには手抜きをしてはだめです。「現金な奴っちゃ。」と思われます。

     仮に途中で当馬と思ったときも(これも別エントリに書きましたが)、手抜きしないで「予定通り」負けると、あとで、「・・・なんだ、うまくいかないじゃん。あのときの当馬の方がよっぽど良かったんじゃ・・・」と考えを変えていただけて、後日再アプローチいただいた経験もあります。予算配分には気を配りつつも、気合を入れたまま「終わっておく」と、あとでいい事もあるもんです。

     もっとも礼節を欠かれた場合は例外もあるでしょう。当馬をいいことにやたら間延びさせられていると感じたときは、正直に「そろそろ仕事として正式発注して欲しい」といえばいいことです。残念ながらごくたまーにそういうお客様もいらっしゃいますし(当人は悪気がないのだと思います。だから商取引としてわかっていただく必要があります)。

TORAPAPA

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北添 裕己

北添 裕己

アクセンチュア、ヘッドストロングを経て現在、キタゾエアンドカンパニーで金融機関主体の経営・ITコンサルに従事、特にプロマネ領域にカリスマ的手腕を発揮

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