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「現代マンガ図書館」を作られ、私費で貸本を中心に膨大なマンガを保存整理され、日本のマンガ研究に大きな貢献をされてきた内記稔夫さんが亡くなられた。
内記さんは、江戸っ子らしい気風の素敵な方だった。よく会場を手配してくれたマンガ史研究会では、いつも分け隔てない態度で若い人たちにも接し、気さくに何でも話してくれた。長い間、私財を投じてアーカイブを支えてこられた彼に手塚特別賞が贈られたときは、本当に嬉しかった。でも、そのスピーチでも窮状を訴えられていたのが記憶に残る。もともとブックオフを狙った「著作権を考える会」の運動が失敗し、ついでみたいに一定程度の蔵本を持つ貸し本業に課金することになったときも怒っておられた。私設図書館は、貸本屋さんなのだ。マンガ出版社は、恩人に仇で返すマネをしたといわれても仕方がない。あの時は休業することになった生き残りの貸本屋がずいぶん出ただろう。悔しかったと思う。
いや、僕は内記さんがいなくなってしまったことで八つ当たりしているかもしれない。僕は内記さんが大好きだった。あの優しい笑顔、あのまっすぐな口調に出会えなくなる。優しくて、立派な人でした。現代マンガ図書館が明大と組んで存続したことは、せめてものことだった。かなり前から入院され、折に触れ耳にするかぎりでは、けしてかんばしい状態ではなかったので、覚悟はしていた。でも悲しい。内記さん、今まで本当にご苦労様でした。そして、ありがとうございました。
心からご冥福をお祈りします。
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