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吉田秋生『海街diary4 帰れないふたり』(小学館)。
もう、僕が何かいう必要はないですが、いいです。
しみじみと、人の生きにくさや優しさやいきかいが心に染み込んできます。
どうしようもなさやあきらめ、も。
気遣われることの幸せと、同時に、責められているような苦しさとか。
こういう作品があるって、すごくいいですね。

僕にとっては、1巻で、継母の元にいた四女のすずに、鎌倉に帰る三姉妹がかけた言葉、「あたしたちと一緒に暮らさない?」がすごくいい言葉として残っているんだけど、それ自体は日常的な言葉なので、それだけとってきてもよさがわからない。そういう作者の距離感が好きですね。ときに、すぅっと抜けのある余白を使って、重くなりがちな主題を軽やかに読ませる距離感も。

海苔のかかった「しらすトースト」がうまそうです。食いたい。
ジンジャー・ミルクティは想像がつくが、「しらすトースト」と一緒にするとどうなんだろう。

「いろんな偶然が重なった奇跡の一皿」
そういうのは、あるよね。これが4巻のキィワードかな。

作中、長女が「今まで食べた一番ウマいもの」を聞かれる場面があるが、僕は多すぎて答えられないなと思った。あれも、これもあるし、あ、そういえば・・・と終わらないだろう。それがきっと僕なんでしょう。

ちなみに、4巻タイトルは忌野清志郎作詞・井上陽水作曲(星勝編曲)の、とてもいい曲。
表紙の大銀杏は、鶴岡八幡宮の樹齢千年ともいう大樹だが、昨年3月に強風で根本から倒れた。作者は、震災の喪失感と再生への希望を連想しつつ、あえて元気な頃の大銀杏を表紙に描いたそうです。大銀杏は今移植中らしい。

natsume

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夏目 房之介

夏目 房之介

72年マンガ家デビュー。現在マンガ・コラムニストとしてマンガ、イラスト、エッセイ、講演、TV番組などで活躍中。

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