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八戒さんのブログで李先生の福岡講習会についての報告がいくつか上がっている。中に、

「武術と養生は陰陽の関係」
http://d.hatena.ne.jp/nomurahideto/20080830/p1

というのがある。むつかしい話ではなく、じつにシンプルに走圏における「養生」の要求のポイントが書いてある。

内  胃:含胸  腎:亀背

外  腰:下端腰  小腿:抓地(大力在腿)

これを読んで、いままでも同じことを繰り返し教えられてきたし、いわばそれを要約した形なんだけど、ホントにシンプルにコレなんだと思う。掌法とか、変化とか、すべてこの基礎が押さえられていなければ意味も内実もない、というのも実感的にそう思う。

まず「含胸亀背」と「下端腰」「抓地」は、走圏はもちろん掌法にも共通する馬貴八卦掌の基本的な要求である。それぞれ「胸を含んで亀の背をつくる(胸の力を抜き、背中を亀のように充実させる)」、「腰はまっすぐに落とす」「地を足裏でしっかり掴む」という、それ自体は単純明快な状態の要求なのだが、これを現時点の僕の理解の仕方で言葉にすると、こうなる。

胸を抜く、というのは「やれやれ」と座り込んだときの力の抜けた胸の状態で、これがたしかに胃のあたりを緩やかにするようだ。最初は「ホントかよ」と眉にツバつけていたが、結果、そうとしか思えないほど胃腸が丈夫になった。

亀の背の実現は、相当時間がかかる。どうしても上半身と下半身が分かれてしまい、腰の部分がくびれている間は、充実した丸みをもった背にはならない。背に充実を、少しではあるが感じ始めるのは、僕の場合でいえばたぶん3年はかかったんじゃないだろうか。
じつは、ここ1~2年、ふと気づくと以前から着ていたシャツなどが窮屈になっていた。なかなか腕、肩が通らなかったりする。肩、背の厚みがあきらかにできて、がっちりしたのである。昔から僕を知る人からも同様にいわれた。首もまたやや太くなり、首の脇が盛り上がって、どんどんなで肩になっている。通常の意味では腕や肩などを「鍛える」運動は一切やっていないので「常識的」には相当不思議な現象といえるだろう。
ついでにいうと、手も、指も厚く、太くなっている。何でだか、よくわからんが、とりあえず結果としてそうなっている。う~む・・・・。

これらが、事実、胃や「腎」と称するものに関係するのかどうか、僕には判断できないが、僕個人に限っていえば、たしかに丈夫になり、顔色もよく、がっちりしてきているわけで、胃腸もしごく調子がいいのだから、結果に関しては何らかの影響関係を確信するほかない。

下端腰の実現はさらにむずかしい。僕のようにもともと腰のか細い人間は、どうしても亀の背に沿って、当初は反ってしまうが、次第に「上の力を下に落とし、下半身や腰を力を入れずに充実させる」ことができるにしたがい、腰はまっすぐに落ちるようになり、同時に前かがみだった姿勢はまっすぐ立つようになる。顎の下が、そのまま丹田に向かって垂直に落ちる感じをつかめるようになる。もっとも、これもまたもちろんまだ途上で、完全にできているわけでは全然ない。調子が悪ければ、前後左右上下に揺れ、不安定になる。たまーに調子がいいと、ほんとに固定した感じで前に進むことができるが(まさに馬歩の感じで歩く感覚だったりする)、まだ年に何回あるか、というぐらいだ。

小腿:抓地(大力在腿)は、力を使う部位で、わかりやすい。理屈もシンプルで、要するにしっかりと足裏全体で地をつかみ(実際はかかとも含む全面で地を掴んでいる感覚はなかなかつかめないし、そうしていないことに気づけないことが多いが)、二の足を一杯使うと、それがポンプとなって血流が猛烈にさかんになる。この歩き方は、じつに効率的に全身の血流を増すようで、物凄い汗をかくし、暑くなる。健康維持のかなり多くの部分は、この「歩き」によるんじゃないかと僕は思う。

これらは、それぞれ別個に静止してやるのであれば、さほど困難でもないのだが、全部一緒に実現しようとすると、とんでもなく難しい。そして、その「難しさ」の中に効果の根拠があるのだろう。とりあえず、実感としてそう思うしかない。これが、実践的な確信という奴である。
このことを、教わっている言葉に翻訳するならば、総ての動作を統一的にやるときに必要なのは「体のまとまり」であり、その状態を保証するものこそ「中正」ということになる。そして、このまとまった状態があってはじめて「力」が発する状態に邪魔がなくなる、ということなのではないかと思う。
いっている内容は、おそらく数年前と何ら変わっていないはずだ。でも、自分の身体の内感覚、運動の感触からくる確信の度合が違う、ととりあえずいえるかもしれない。言葉にすると同じことの繰り返しになってしまうので、なかなか書く気になれないんだけど、現時点での再報告として・・・・。

natsume

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夏目 房之介

夏目 房之介

72年マンガ家デビュー。現在マンガ・コラムニストとしてマンガ、イラスト、エッセイ、講演、TV番組などで活躍中。

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