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如龍似虎

だっけな。しばしば李先生が「この動きは猿がすばやくモノをとる時のように」とか説明することがある。よくは知らないが中国武術では動物に似せて動きを構成する(精神、というか心のありようも含めて似せる)というのが伝統的な方法論になっているらしい。おそらく、元来は呪術的な背景をもった思想なんだと思う。狗を食べたりオットセイのナニを薬にして精力剤にするとか、動物の模様を刺青にするとか、古くからあって、じつは今でもけっこう生き残ってる思想だったりする。
歓迎会の席だったか、八戒氏の通訳で話をしていたとき、例によって「ここは龍の動きなので・・・・」というような話が李先生から出た。冗談で「でも龍見たことないですけど」とボソッといったら、八戒氏がそれを訳した。李先生の答えは、こんな風だった。

「龍のように・・・・というのは、自在に、ということ。地に向かって降りていると思ったら、いったん天を見れば瞬く間に方向を変え、物凄い勢いでに天に至る。そんな動きを体現しなさい、ということです」(かなり意訳)

なるほど。面白い。八戒氏はもともと中国思想の研究者なので、面白いと思って訳したんだろう。これを簡単に「比喩的表現」という見方でくくってしまうともったいない気がする。龍は、じつは蛇で・・・・という解釈も、部分的にはできるだろうけど、やはり空を自在にうねって四方八方に動ける神獣っていうイメージが重要なんだろう。
皇帝を象徴する存在といわれるほどの気高さ、尊厳、畏怖の対象としての威圧感とか、多分そういう中国でのイメージが使われているのだろう。李先生は、日本でも同様の感じ方があると思って話したんだろうか。あまり異文化間の誤解や理解の問題を追及しているタイプとも思えないので、案外普遍的に通じるはずだと思っているかもしれない。もちろん、西洋人よりは通じるかもしれない。龍のイメージだけじゃなく、古代呪術的な背景も含めて。
でも、僕が面白いと思うのは、そういう「伝統的」なイメージがもたらす、今の僕らにとっての教練における意味や効果だったりする。「その気にさせる力」って、けっこう見たこともない獣でもあるよね、ってところがあるし。それを現代の僕は、信じるでもなく信じないでもない両義的な態度と精神で受け取って、試している。それが面白い気がするんだね。
「神(シン)」(精・気・神というときの)を得るっていう、相当先のはずの(道教的?)課題があるんだけど、そのあたりの理解には、けっこう重要な鍵になりそうな気もする。

参照→ 「そうけんにっき」http://baguataiji.blog47.fc2.com/blog-date-20080129.html

さらに参照→ 八戒氏 http://d.hatena.ne.jp/nomurahideto/20080129/p1#seemore

natsume

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72年マンガ家デビュー。現在マンガ・コラムニストとしてマンガ、イラスト、エッセイ、講演、TV番組などで活躍中。

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