きょこ コーリング:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) きょこ コーリング

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「今年1年を振り返って感じたプレスリリースの限界」というブログが、TwitterでRTされてきました。限界といってしまうと、ちょっとびっくりして思わずリンク先をクリックしてみてしまいました。RTの際にもいろいろコメントがつけられていて確かにPRに関わっている人は知っていてもあまり言っていなかったこと、当たり前なのだけど、口に出していなかったことが整理されているように思われました。

確かに、なんでもかんでも記者に送りつけるプレスリリースはもう限界にきているのかなと思います。

このブログに便乗させていただきつつ、プレスリリースに関して、私が感じていることを今年振り返るとこんな感じです。

■余りに小さいネタの大量プレスリリースは百害あって一利なし

ネタがないのにも関わらず、小さいネタを記者に大量に送る人(会社)がいて、それが弊害になっています。(記者からは、大きなネタのとき、見逃さないように電話してほしいなどと言われています)記者が一日に数百のプレスリリースをメールで受け取っています。

■ネットPRへの誤解と、サービス会社の見極めが重要

ネットPRの仕組みを誤解している人がいて、ネットPR会社を使えば、記事がたくさんメディアに出ると思っていたりします。
今、ネットPR会社は変化してきており、ニュースリリースを直接読者に届けるということで、ある意味メディア的になり、記者を介さず、メディアのニュースリリースのコーナーに自動掲載されたりしていますが、そこから「記事」になることを望んでいる場合は不向きになってきています(というか、「記事化」を目指すものではなくなってきている)。

さらには、参入障壁が低いのか、新規参入組のネットPR会社が乱立しており、ひどいものになると出版社のinfoアドレスに送りつけるのと、自社サイトに載せるだけで、あまり意味をなさない(人目に触れない)状況になっており、使う会社を間違えると、せっかくのニュースがひっそり埋もれることになってしまっています。元から企業名や製品名にそれなりの知名度があれば検索で探してもらえますが、これから知名度をあげたい企業にとっては、大きなミスとなってしまいます。サービス会社は事前によく調べる必要があります。効果があまりない場合は会社を変えてみて、効果測定を行ってはどうでしょうか?

■手段と目的を履き違えない

なんでもかんでも、とにかく「プレスリリース」だとバカの一つ覚えになってしまっている人がいる気がします。目的が「記者に自社サービスを紹介して、記事のネタにしていただく。書いていただいた記事を元に、自社への問い合わせを増やしたい、そこから売り上げにつなげたい」などということであれば、プレスリリース以外にも多数の手段があります。目的と手段の履き違えが多くあるように感じます。そして、書くか、書かないかを選ぶのは記者であるわけなので、「これは読者に有益な情報ではない」と思われたら記事にならないことは受け入れる必要があります。

■うちは小さいから・・・

うちは小さなベンチャーだから、記者なんて取材に来ないよ。と、はなから諦めている方も多くいるように思いました。逆ですよね。小さい会社だからこそ、情報発信をしないと、情報が外部に伝わりにくいのではないかと思います。

■プレスリリースの限界

私の感じているプレスリリースの限界は、「対面コミュニケーションの欠如」、言い換えると「リアルタイム性」「双方向性がない」ということです。

記事を書くときに記者は疑問も感じますし、質問をして明確にしてから書きたい場合もあります。プレスリリースを見て質問をしても、担当者が不在だったり、社長のコメントを取ろうとしても多忙でつかまらなかったりということが起こります。記者会見やインタビューであれば、その場で聞けますし、疑問も解決ができます。
ある記者は「プレスリリースを見て、先方に質問を投げて、2日回答が来なければ残念だけど記事化は見送る」と言っていました。

とはいえ、毎回記者会見がお勧めということではなく、要は、内容や目的によって、プレスリリース以外の手段も組み合わせていくということではないでしょうか。これこそ、つまらないネタで記者にわざわざ来てもらっては、かえって記者に迷惑になってしまうわけで。弊社では「初めて記者会見プラン」というパッケージで、記者会見を開きたい会社の支援もしていますが、ネタによってはお断りをすることもあります。

また、ネットの普及により、対面が減っているかもしれませんが、こちらも、リアルのコミュニケーションとネットのコミュニケーションをうまく組み合わせることで、効果があげられるように思います。たとえば、Twitterを活用した、記者会見への参加のお伺いや、スケジュールの確認などはすでにPR会社で行われています。

ネットとリアルのPRに興味のある方は、以前アイティメディアに寄稿した「ネットの利便性の裏 失われる対面コミュニケーション力」も読んでいただければと思います。ただ、少し前のものなので、ネットPRの話や、ネットの環境などは、今と異なっていることはご承知おきください。

不景気ということもあり、いろいろな企業で、どうやって広報・PRしていくかということを真剣に考えられているかと思います。最近みられる動きとして大きいのはニュースを記者に届けない試みですよね。影響力の大きい個人(ブロガー)などに情報を届け、そこで記事にしてもらうという方法です。現に、個人ブロガーのブログのPVが、ニュースサイトのPVを上回るケースも出ています。また、休刊する媒体も相次ぎ、媒体数が減る中でなんとか掲載数を増やしたいという企業も多くあるように思います。

今後どう変わっていくのか、要注目です。

(書き終わって思いました。1エントリにせずに、いくつかに分けて書いたほうがよかったかもしれません。説明が不十分でわかりづらい個所などありましたら、ご指摘いただければ幸いです)


きょこ

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プロフィール

加藤 恭子

加藤 恭子

IT記者を経て、ナスダック上場IT企業のマーケティング・PRマネジャーを歴任。
現在は、その経験を活かし、マーケティング・広報のコンサルティングを行う株式会社ビーコミの代表として活動。目黒広報研究所で広報に関する情報発信を行っている。

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