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 まずは、ちょっと宣伝。本日発売のオリジナルコンフィデンスという雑誌に「日本が先進国-加速するコンテンツ2次利用による創作活動」という記事を書いたのでご報告。
 楽曲「男女」をテーマにニコニコ動画で起きていることを音楽業界の人にもわかるように書いて欲しいというオーダだったのだが2ページでこれを書くのはやはり大変だった。結局最後は編集の方が苦労して、文献を引きながら今のニコニコ動画をプロサンプション(生産消費活動)の場として捉えた考察という形式に上手にまとめてくれた。

 しかし紙媒体の場合やはり原稿を書いてから発行されるまでのタイムラグが長いのは欠点だ。特に今のUGCの動きは非常に早く数日の間にめまぐるしく動いていく。

 昨晩ニコニコ動画で見た「MikuMikuDanceで時代劇を作ってみた」という作品にはこうした動きの最先端がある。この作品はMikuMikuDanceというツール{このツールについてはこの記事を参照}を使って初音ミクを登場人物にした時代劇を作ったもの。無声だし登場人物もミクだけしかいないので時代劇としての完成度こそイマイチだが、こういうのを視ると今後のUGCとその周辺マーケットの劇的な変化を予感させる。

 今は登場人物に初音ミクしか出てこないが、今後権利関係をクリアした2次利用許諾済みというキャラクターが増えれば、それを使ったこういう作品がどんどんと登場するだろう。ならばこれに目をつけるコンテンツ提供者がいてもおかしくない。例えばゲームの登場キャラクターについて2次利用許諾権を1作品いくらで販売するとか、まったく新しいキャラクターをつくって最低限の設定と3Dモデリングデータとセットにして2次利用許諾付きで売り出すとか、そういうコンテンツ提供者が直に増えてくることが想像できる。

 先ほど「MikuMikuDanceで時代劇を作ってみた」は無声だと書いたが、ニコニコ動画では既に人力VOCALOID支援ツール「UTAU」というツールも開発されている。このツールを使うと「あ」とか「う」とかいう音声データの歯切れさえあれば、それらを自由に組み合わせて台詞や歌詞を発声させることができる。
 こちらでも同じく声優さんと契約してボイスデータを2次利用可能として販売する者が現れる可能性を秘めている。

 もちろん今でも自分のオリジナルキャラクターを描き、自分で台詞を話してこうした作品を作ることも可能だ。でもやはり皆が知っているキャラクターや声を使えば作品の完成度は高くなるだろうし、話題性や注目度もぐんと上がるわけで、職人と呼ばれるクリエイター達にとってはこうした2次利用可能な素材(ネタ)というのは垂涎ものだろう。

 オリジナルコンフィデンスの記事でも引用したが、トフラーも「富の未来」で『経済学ではこれまで資本財の購入を単なる消費活動だと見なしてきたが、生産消費活動の視点で見ると、資本財の購入は生産設備への投資であり、生産消費で算出される価値が増大していることを示す。』と書き、具体的な例として生産消費者がDIYショップやテレビのノウハウ番組にかじりつく様子を上げていた。
 プロサンプションが活発になると、例えば小説を書いたりアニメを作ったり音楽を演奏したりといった、従来はコンテンツの提供者側としてプロだけが行ってきた活動の一部はセルフサービス化される。しかしその替わりとして彼らのそうした生産行動を支援する為の投資や生産のための素材の購入が増えるという。楽器が売れたり、動画の編集ソフトが突然売れたり、MikuMikuDanceやUTAUのようなツールが作られたのはこうした動きの一環だったとすると、次はプロシューマの欲しがっている素材(ネタ)の販売・流通マーケットが立ち上がるはずだ。

 今はコンテンツビジネスといえばキャラクターグッズに代表されるようにキャラクターのついた商品を売るようのが大勢だが、これからその一部は、提供者側がキャラクターのパーツを素材(ネタ)として売りそれをユーザが自由に組み合わせて遊ぶという新しい図式に移行していくのだろう。
 2次利用で創作に使えるキャラクターやボイスデータが増えると、先ほどの時代劇みたいな作品を作る際に、今度は誰を主演に据えるか脇役は誰かとかそういう配役といったプロデュース活動も楽しめるようになる。勝手に皆から悪役キャラとして定義されるなどという動きも起きたりするだろう。以前からあるバーチャルアイドルや仮想世界といったコンセプトもこのあたりに上手く繋がってきそうだ。

 「MikuMikuDanceで時代劇を作ってみた」を繰り返し視ているとそんな未来ももうすぐだと思うのだ。

yoi

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吉川 日出行

吉川 日出行

みずほ情報総研勤務。情報共有や情報活用を主テーマにコンサルティングや新ビジネスモデルの開発に携わっている。

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