« 2007年8月22日

2007年8月23日の投稿

2007年8月26日 »

 昨日の続きでネットワークコミュニティの話。
 
 最近いろんなところでイントラネット上へのフォーラムの設置や社内SNSを使ったコミュニティの開設といった話を聞く。そしてその多くのは、あまりうまくいっていないようだ。こうした社内コミュニティの活性策について相談を受けることが結構ある。特に多いのが閑散化したコミュニティを立て直して欲しいというやつである。

 これが結構難しい。まず昨日書いたようにコミュニティには寿命がある。寿命がきたものは正直どうしようもない。基本的には寿命が来たコミュニティを何とかするよりも、別に新しいコミュニティを立ち上げてしまったほうが成功確率が高い。新しい仕組みの導入はメンバーの入れ替えを誘発するので昨日書いたように既存メンバー間でのコミュニケーションに飽きたメンバーを呼び起こすきっかけにもなるからだ。

 まだ寿命の来ていない新しいネットワークコミュニティの場合、開設してどれくらい時間が経っているかがポイントである。私の経験だと人はたいてい3回目までのアクセスでそのコミュニティの評価を決めてしまう。駄目な場とか使えないシステムだとか人がいないコミュニティという烙印を押されたものの評価を改めさせるのはかなり難しい。評価が固まってしまった後になると何かやるコストは、いっそ新しい仕組みにして新たに3回のチャンスを得るコストよりも高くなるし実際難易度も高い。

 やはり新しいコミュニティを立ち上げるときに最も注意すべき事はスタートダッシュである。実はコミュニティの成長というか賑わい方には一定の法則があるらしく、コミュニティの極めて初期の段階での発言数やその伸び率というのがそのコミュニティの将来の発言数の規模を決めてしまうと言われているからだ。これについてはちょっと古い研究だが、長谷川伸也氏の「ネット・コミュニティの成長と進化」という資料(※)にYahoo!掲示板を調査した結果がある。掲示板毎の発言数の順位は初期段階である3期目と成熟段階である12期目でほとんど変らないそうである。
 この資料には他にもいくつか示唆に富む仮説が含まれている。例えばネットワークコミュニティでの発言数の増加は、基本的には先に述べた初期段階での発言数に規定されるのだが、例外もあってそのコミュニティで扱うトピックが広範囲であれば成長過程での成長スピードがあがる可能性があるとかコミュニティには一定割合の常連層と半常連層が必要でゲストばかりではコミュニティは盛り上がらないとか、なんとなくいつも感じている事象だ。

 コミュニティも最初が肝心で最初にきちんと設計をして、場合によっては“さくら”などを使ってでも初期の運営を盛り上げる事が成功の秘訣ということだ。
 
※このようなコミュニティの成長や運営といった内容について定量的に分析や調査を行っている資料は案外少ない。以前「90:9:1の法則」というエントリーの中で、「ネットワーキング・コミュニティ」(1997:池田謙一著)にあったコミュニティ(パソコン通信におけるフォーラム)でのRAMとROMの割合が1:7という数字を紹介したが、もし他にもなにかこうした調査結果があれば是非教えていただきたい。

yoi

« 2007年8月22日

2007年8月23日の投稿

2007年8月26日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP


プロフィール

吉川 日出行

吉川 日出行

みずほ情報総研勤務。情報共有や情報活用を主テーマにコンサルティングや新ビジネスモデルの開発に携わっている。

詳しいプロフィール

カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
knowledge
カテゴリー

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


Special

- PR -
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ