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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

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2013年4月9日の投稿

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オープンデータは、主に政府や自治体などの公共機関の行政情報をマシンリーダブルな形で二次利用可能なフォーマットで提供するデータを指しますが、データの提供にあたって重要となるのが、二次利用を促進するためのパブリック・ライセンスの整理です。

現在、各国ではオープンデータの活用にあたって、政府独自のライセンスなど様々なパブリック・ライセンスが採用されています。

たとえば、イギリスは独自のOpen government License、フランスは独自のOpen License、ドイツやフランスのパリ市はOpen Data Commons License、Open Knowledge Foundation(OKFN)はOpen Database Licenseを採用しています。

Creative Commons License(CC License) の場合は、ドイツ、ニュージランド、オーストラリアなどの多くの国で採用されています。

Open government License、Open License、Open Data Commons Licenseなどの場合、商用利用などライセンスの一部条件の選択を認める柔軟性が制限されており、日本では制約の少ないCreative Commons License の採用を中心に検討が進められています。

公開されるデータのパブリック・ライセンスの提供形態は、他のパブリック・ライセンスとの互換性があり、原作者のクレジットを表示、もしくは、同じ条件で配布することを守れば、原則、改変や非営利目的や教育目的での利用に限ることなく、商用利用目的の二次利用も許可されることが、データ流通を促進する上で重要となります。

Creative Commons License について、もう少し詳しく整理してみましょう。

Creative Commons License を提供する国際的非営利組織とそのプロジェクトの総称がクリエイティブ・コモンズです。Creative Commons Licenseを利用することで、作者は著作権を保持したままデータを流通させることができ、データの利用者はライセンスの条件の範囲内で二次利用ができます。

Creative Commons Licenseは、法律に詳しくない人でもライセンスの利用条件が理解できる簡潔な説明文である「コモンズ証」、「コモンズ証」と同じ内容を法律家が読むための法的に技術した「利用許諾(ライセンス原文)」、機械解読性のあるデータである「メタデータ」の3つの要素で構成されています。

Creative Commons Licenseは合計6種類のライセンス形態が提供されています。

image

オープンデータ流通推進コンソーシアムの取組と提言(2013.3.21)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/densi/dai3/siryou3.pdf

最も利用範囲が広いのがCC BYで、原作者のクレジット(氏名、作品タイトルとURL)の表示を守れば、改変だけなく、営利目的での二次利用も許可される最も自由度の高いライセンスとなり、オープンデータを推進する上では、CC BYのライセンスで提供することが推奨されます。

オープンデータ流通推進コンソーシアムでは、オープンデータを推進していくにあたって、CC BYのCreative Commons Licenseを活用したルールを策定するにあたって、著作権がない数値データや簡単なグラフ・表の取扱い、第三者の権利の扱い、個別法による制約のある公共データの扱い(例:気象業務法、測量法等)などに留意していく必要があるとしています。

 

オープンデータ社会(1)オープンデータとは? 2013/01/21

オープンデータ社会(2)米政府におけるオープンガバメントの取り組み 2013/01/22

オープンデータ社会(3)世界の政府におけるオープンデータ戦略の取り組み 2013/01/23

オープンデータ社会(4)民間事業者の参入 2013/01/25

オープンデータ社会(5)米国政府におけるビッグデータ関連政策 2013/01/28

オープンデータ社会(6)日本におけるオープンガバメントの取り組み 2013/01/29

オープンデータ社会(7)公共データへの産業界からの期待 2013/01/31

オープンデータ社会(8)電子行政オープンデータ戦略 2013/02/1

オープンデータ社会(9)総務省などの取り組み(情報流通連携基盤事業、オープンデータ流通推進コンソーシアム) 2013/02/4

オープンデータ社会(10)総務省などの取り組み(クラウドテストベッドコンソーシアム) 2013/02/5

オープンデータ社会(11)経済産業省などの取り組み(DATA METI構想など) 2013/02/13

オープンデータ社会(12)オープンデータアイディアボックス 2013/02/14

オープンデータ社会(13)自治体のオープンデータの取り組み 2013/02/15

オープンデータ社会(14)パブリックデータとは? 2013/02/18

オープンデータ社会(15)オープンデータによる市場創出のためのプレイヤー相関 2013/02/19

オープンデータ社会(16)政府、自治体のオープンガバメント、オープンデータの主な取り組みのまとめ 2013/02/20

オープンデータ社会(17)International Open Data Day in Japanのまとめ 2013/02/25

オープンデータ社会(18)日本におけるビッグデータ関連政策 2013/02/27

オープンデータ社会(19)震災ビッグデータ 2013/03/4

オープンデータ社会(20)オープンデータマーケットプレイス 2013/03/5

オープンデータ社会(21)オープンデータの需要と供給 2013/03/6

オープンデータ社会(22)オープンデータ8つのビジネスモデル 2013/03/7

オープンデータ社会(23)パブリックデータを整理する 2013/3/8

オープンデータ社会(24)電子行政オープンデータ推進のためのロードマップ(仮称)(案) 2013/4/3

オープンデータ社会(25)情報資源/データ立国に向けて 2013/4/5

オープンデータ社会(26)オープンデータにおけるライセンスのあり方 2013/4/9

MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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