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オープンデータ社会(3)世界の政府におけるオープンデータ戦略の取り組み

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各国政府のオープンデータ戦略を中心に事例などをご紹介しましょう。

世界におけるオープンデータ進捗度

World Wide Web Foundationは2012年9月18日、Webが社会に対して影響度やインターネットの接続環境、インフラの整備具合などを評価し指標化したWeb Indexを発表しました。オープンデータに関する14の評価指標をベースに、世界各国のオープンデータ進捗度となる「Open Data Index」として公開しています。米国が1位、メキシコが2位、そして、アジアではシンガポールが3位、韓国15位、中国18位、そして、日本は19位となっており、先進国の中でも遅れをとっています。欧米だけでなく、イスラエルの12位、カザフスタンの16位や南アフリカの17位など、中央・西アジアやアフリカにおいても広がりを見せています。

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http://www.webfoundation.org/2012/09/introducing-the-open-data-index/
World Wide Web Foundation Introducing the Open Data Index 2012.9.18

オープンデータに関する14の評価指標は、以下のとおりとなります。

1.政府機関のオープンライセンス使用状況
2.国際貿易に関する政府データのWeb公開状況
3.政府の予算と実支出に関する詳細な政府データのWeb公開状況
4.病院、医者等の業績に関する政府データのWeb公開状況
5.教育の業績に関する政府データのWeb公開状況
6.交通機関の状況やスケジュールに関する政府データのWeb公開状況
7.統計に関する政府データ政府データのWeb公開状況
8.政府の地図データのWeb公開状況
9.納税申告書のデータ等に関する政府データのWeb公開状況
10.政府の公共機関の連絡先に関する政府データのWeb公開状況
11.国内の犯罪に関する政府データのWeb公開状況
12.Web上の政府データに対してのアクセスの容易度
13.政府のオープンデータイニシアティブの推進状況
14.政府データを活用したWebアプリケーションの利活用状況

米政府におけるオープンデータの取り組み

(Data.Gov)

オバマ政権では2009年5月、オープンガバメントの施策の第一弾として、政府や自治体などが保有する統計データの利活用の促進事業で、膨大で貴重なデータをオープンフォーマットやアプリケーション開発に利用できる形式で公開する「Data.Gov」を開設しました。「Data.Gov」は、オープンデータ推進の代表的な取り組みとなります。

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http://www.data.gov/

「Data.Gov」から提供されるデータは、①生データ(Raw Data)、②分析ツール(Tool)、③地理データ(Geo Data)の3つのカタログとなっています。2009年5月の開設当時は47のデータでスタートしましたが、現在は40万を超えるデータが公開されています。「Data.Gov」は、多くの政府機関や自治体がデータを公開し、2013年1月現在で、米国内37州、24都市、177の行政機関が参加しています。

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http://www.data.gov/united-states-datasites
米州政府レベルのオープンデータサイト

データの種類では、航空、大気環境、自動車の安全性、犯罪、薬品の安全性、教育、労働市場、ヘルスケア、栄養、肥満、労働安全など幅広い分野のデータが対象となっています。

政府が開発したアプリケーションは1,300前後、民間事業者の開発するアプリケーションも200を超え、スマートフォンやタブレット向けのモバイルアプリケーションも増加傾向にあります。

「Data.Gov」から提供されるデータは、生データ(Raw Data)の場合、マシンリーダブルな様々なフォーマット(CSV、JSON、PDF、RDF、RSS、XLS、XML)で取得可能で、利用者が自由に取得・加工・分析するとができます。さらに、Data.govの構築に関わったSocrata社による「Open Data API」を利用し、API経由でデータを取得し、サービスを提供することも可能となっています。

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http://dev.socrata.com/

「Data.Gov」から提供されるデータは、利用者がデータにアクセスするだけでなく、複数のデータセットをマッシュアップすることできます。たとえば、民間事業者が、地理データや気象データをあわせて地域別の気象予測サービスを提供するといったことも可能となります。

民間事業者によるデータの「民主化」が進み、さらに「Data.Gov」を一つのプラットフォームとしてオープンデータのエコシステムを形成することで、新しいイノベーションや産業の創出が生まれる環境が整備されます。

米国に於ける州政府レベルのオープンデータサイトも見てみましょう。

(ニューヨーク市)

ニューヨーク市議会は2012年2月、「OPEN DATA BILL」と呼ばれるオープンデータの推進に関わる法案を可決しました。この法案により、例えば交通局が保有する事故情報データなどが自由に並べ替え・抽出・分析できるフォーマットで提供されるようになり、改善が必要な地域を特定できるようになるなどの市政の監視や機能向上に役立つことが期待されています。

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https://data.cityofnewyork.us/

ニューヨーク市は、オープンデータサイトを開設し、提供するデータには、市内のWiFi アクセスポイント、地下鉄入口等の地図データ、市の総合電話相談サービス311 の相談記録データ、郵便番号コード地区別の電力消費量などのデータが公開されています。

世界の政府におけるオープンデータの取り組み

Data.govへの海外からのアクセス状況も見てみましょう。Data.govへのアクセストップ10は、中国が1位、インドが2位とアジア勢が上位を占めています。2012年12月と2011年11月と比較したところ、中国が1,000から4,700で1位、インドが2,000から3,500へと急速にアクセス数が急伸しています。一方日本は、2011年11月の2位の2,000から1,700へと減少傾向にあります。

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http://www.data.gov/metric/visitorstats/countrystatistics
Top Visiting Countries(October 2012)

世界ではフランス、ドイツ、そして、アジアでは中国、シンガポール、韓国など2013年1月現在で、38カ国の政府がオープンデータに関わるポータルサイトを公開しています。OECD、国連やEUなど国際機関もデータポータルを開設しています。日本のサイトは2013年1月時点で掲載されていません。

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http://www.data.gov/opendatasites
政府のオープンデータに関する国別一覧

オープンデータを推進する欧米諸国

特に、早くからオープンデータを推進していたのが、欧米諸国です。

(EU)

EUでは2003年にPSI(Public Sector Infmation)」を原則公開するPSIの利活用に関するEU指令(PSI指令)を出し、EU諸国に対してのPSIを原則公開し、二次利用に関するルールや運用ポリシーを設定することを推奨しています。これにより民間企業が政府保有の情報を利活用することが可能となり、EU諸国のオープンデータに関する取り組みに大きな影響を与えています。

2007年には、EU域内の地図や空間情報の統合・共有化を目指す「INSPIRE指令」し、欧州各国が公開している空間情報の検索及びその再利用に必要なデータへのアクセスができる空間情報提供サイト「INSPIRE GEOPORTAL」を提供しています。

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http://inspire-geoportal.ec.europa.eu/

2009年3月からは行政情報(PSI)の再利用に関するワンストップのポータルサイト「Pulic Sector Infmation platform」を開設し、欧州でのPSI再利用の実証や新サービスや法規制の事例などの情報を提供しています。

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http://epsiplatform.eu/

2010年には「欧州デジタルアジェンダ」を発表し、オープンデータの二次利用を可能とするための必要な基準を2013年までに特定する目標を設定しています。

2011年12月に欧州委員会は「Turning government data into gold(政府データを金(ゴールド)に変える)」をスローガンとした「欧州オープンデータ戦略」を発表しました。本戦略では、EUにおけるデータポータルサイトの開設、EU域内の統一的なオープンデータの実現、データ処理技術に研究開発に関する1億ユーロの助成などが主な柱となっています。

欧州委員会は、オープンデータのポータルサイト「PublicData.eu」を開設し、欧州各国の政府から地方自治体までの様々な公共部門が提供するオープンデータを横断的に検索し利用できるポータルを提供しています。

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http://www.publicdata.eu/

EUでは、これらのPSIの再利用を推進することで、経済効果への期待のみならず、行政の効率化や行政の透明性の向上や行政への参加などオープンガバメントの展開が期待されています。

(イギリス)

イギリスでは、EUのPSI指令の影響を受け、2006年10月に公共セクター情報局(Office of PSI)を設立、2009年12月には「data.gov.uk」を開設しています。

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http://data.gov.uk/

2010年5月には、キャメロン首相によるオープンデータを活用して革新的なアプリを開発やサービスを提供することで経済活性化を図る「透明性アジェンダ」を発表し、2010年6月には透明性アジェンダを実現に向けた有識者会議「Transparency Board」を設立し、オープンデータの二次利用やマシンリーダブルなフォーマットでの公開といった透明性原則の策定を進めています。2013年1月現在で、政府統計局の各種統計データや医療福祉分野のデータ等、データセット数は9,000、登録アプリ数は200を超えています。

特に注目度が高いのが、保健省が計画を進めている医療福祉分野のデータ公開で、データ公開が医療や福祉の質を高め、医療福祉サービス向上につながるとししています。

英政府が公開するデータの著作権は、法律的な簡素化のため独自ライセンスとなる「Open Goverment License」で、英政府の著作権の帰属を明記すれば、商業目的を含め個人・企業問わずに使用可能となっています。

データの著作権は各国政府の異なる部分もあり、Open Knowledge Foundationが管理する「Open Data Licensing」で確認をすることができます。

Open Data Licensing
http://wiki.okfn.org/Open_Data_Licensing

(フランス)

フランスでは2011年4月に、当時のサルコジ大統領によるオープンデータ公開による開発者とスタートアップ企業とのエコシステム形成による新たな市場創造の必要性を訴える演説を基本方針としています。2011年5月にはPSIの利活用に関する指針を公表し、首相直下のオープンデータを推進するタスクフォースとなる「Etalab」が各省庁や各団体との調整をし、公開するデータを決定しています。

データの著作権に関しては2011年10月に独自ライセンスとなる「Open License)を制定し、クリエイティブ・コモンズやオープンデータコモンズなどのライセンスとの相互運用性を確保しています。

そして、2011年12月に「data.gouv.fr」を開設しています。公開されているデータセット数は2013年1月現在で35万を超えています。

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http://www.data.gouv.fr/

(ドイツ)

ドイツ政府は、2011年5月に開催されたBerlin Open Data Dayにおいて、「Berlin Open Data Agenda」を制定し、2011年9月にオープンデータサイト「daten.berlin.de」を開設しています。2013年1月現時点でベータ提供となっており、内務省が提供する統計情報と地図情報をパイロットプロジェクトとして提供しています。

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http://daten.berlin.de/

アジアにも目を向けて見ましょう。

(インド)

インド政府は2012年9月3日、「National Data Sharing and Accessibility Policy(NDSAP) 」の方針に基づき、オープンデータのポータルサイトのData Portal India「data.gov.in」のベータ版を公開しました。2013年1月現在で78のデータセットが公開されています。

本サイトは、2012年5月に米政府と共同で開発したデータポータル構築用のプラットフォームとなる「Open Government Platform(OGPL)」を採用しています。OGPLは、米政府の「data.gov」をベースにオープンソース化しており、コンテンツ管理システム(CMS)、データ管理システム(DMS)、利用者関係管理 (VRM)の3つから構成されています。

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http://data.gov.in/

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http://www.opengovplatform.org/

「オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン(Open Knowledge Foundation Japan: OKFJ)」は2013年1月21日、32カ国、約400のオープンデータ活用事例の情報を公開しています(関連記事)。世界においてこのオープンデータの動きは顕著になっていることが伺えます。

 

 

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