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オープンデータ社会(17)International Open Data Day in Japanのまとめ

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2013年2月23日に、世界各地で市民がオープンデータを活用する「International Open Data Day」が世界34カ国、100都市以上で開催されました。

「International Open Data Day」とは

International Open Data Dayとは、世界中の国や都市など、政府機関や自治体が取り組んでいるオープンデータに関連する政策を支援し、普及を促進するためのイベントです。

イベントでは、世界各地で市民が集まり、オープンデータを活用したアプリケーション開発や、データの収集・可視化・分析結果の公開や、オープンデータを活用した利用モデルなどのアイデアの共有といったアイデアソンやハッカソンが開催されています。

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http://opendataday.org/

日本初の「International Open Data Day in Japan」開催

日本においてもOpen Knowledge Foundation(オープン・ナレッジ・ファウンデーション)日本グループ(OKFJ)の主催による日本初の「International Open Data Day in Japan」開催され、青森、会津若松、鯖江、東京、千葉、横浜、名古屋、福岡の都市が参加しました。

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http://odhd13.okfn.jp/
開催前のトップページ画面

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開催後のトップページ

当日の様子はYouTubeでも公開されています。


「Open Data Census」の公開

「International Open Data Day」に先立ち、Open Knowledge Foundationは2013年2月20日、世界のオープンデータの現状を提供する「Open Data Census」が公開されています。2013年2月24日現在で世界52か国、280以上のデータセットが公開されています。

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http://census.okfn.org/

発表記事
http://blog.okfn.org/2013/02/20/open-data-census-tracking-the-state-of-open-data-around-the-world/

「International Open Data Day in Japan」の活動の見える化と広がり

フェイスブックでは、International Open Data Hackathon Tokyo 参加者グループ2.23 オープンデータアイデアソン in 鯖江Open Data AizuこどもNo.1千葉, Chiba Open Data Day 2013などのグループが作成され、アイデアや公開データの共有などがされています。

また、当日の模様はtogetterでもまとめられています。

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http://togetter.com/li/461038

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http://togetter.com/li/461055

各会場での取り組み状況を少し整理してみたいと思います。

東京会場

東京会場では、地図とリンクするWikipedia的なサービスのLocal Wiki Projectが紹介されています。市民が自ら自分で簡単に情報発信や整理を行うことができます。http://localwiki.org/ 日本においてもLocalWiki.jpがたちあがっています。千代田区地名由来データをLocalWikiにデータの入力と編集するシームとアプリ化するチームに別れて作業を行い、GoogleMapと連携させて表示させることで、皇居周りの地図とのマッチングが簡単できるようになっています。皇居ランなどで利用が想定されています。

「千代田区可視化」のグループでは、データをつくるチーム、データを可視化するチーム、データをGoogleEarthで可視化する3つのチームに分かれて作業をしています。

Excelデータ位置情報化チーム
datarabbitチーム
Google Earthチーム

kml
http://odhd13.okfn.jp/?p=165

「災害状況確認ダッシュボート」グループでは、災害発生後ダッシュボードのプロトタイプを作成しています。


「千代田区保育・学童施設の地図データ作成」グループでは、Linked Dataでも公開しています。

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http://linkdata.org/work/rdf1s612i

横浜会場

横浜市では、2つの「街歩き」ワークショップと、「文化観光」をテーマにウェブサービスやアプリを開発などを行う「オープンデータハッカソン&アイディアソン」が行われています。

分科会1の「オープンデータ・横浜街歩きアプリ体験ツアー 」では、横浜オープンデータソリューション発展委員会の企画の一つとして「横浜歴史フィールドミュージアムAR」アプリと「横浜Maps」というスマートフォン用のアプリを使いながら横浜の街を歩いた後に、アプリ開発者も交え、街歩きをより楽しくするアプリのアイディアを出し合うワークショップを行っています。

「横浜歴史フィールドミュージアムAR」は、2013年1月13日に行われた横浜オープンデータ・アイディアソンで参加者から出されたアイディアを参考にし、1月25, 26日に行われた横浜オープンデータ・ハッカソンで開発され、最優秀賞を獲得しています。

実際に、街歩きでは、横浜市立中央図書館の「都市横浜の記憶」の資料の浮世絵、絵葉書で描かれた場所を訪れ、そこをスマートフォンのカメラで見ると現在の景色に開港前後の浮世絵の景色をオーバーレイする形で見ることができます。

分科会3の「横浜をWikipediaタウンにしよう!街歩き」では、横浜市中央図書館でウィキペディア日本語版の管理者・編集者によるオリエンテーションの後、グループに分かれてフィールドワークを行い、横浜の歴史建造物などの取材の成果をウィキペディアに投稿しています。

分科会2の「オープンデータハッカソン&アイディアソン」では、横浜市の「文化観光」と「横浜の歴史」をテーマとしてアプリ開発を行なっています。実際に、「デートスポット」、「統計データによる見える化」、「横浜版データポータル」、「横浜の「日本初」情報」などの4つのグループで作業が行われました。

「統計データによる見える化」では、総務省統計局の家計調査を分析しています。「横浜版データポータル」は、ハッカソン横浜版のデータカタログチームによるCKANを使った地域データポータルの日本初の試みとなります。横浜の「日本初」情報」では、デモに使ったKMLファイル 横浜発祥.kml を公開しています。

イベント終了後には、オープンデータパーティーが開催され、前半は、インターナショナル・オープンデータ・デー in YOKOHAMA 懇親会という位置づけで、日本各地のオープンデータデー開催地と中継を行い、昼の部のハッカソン、ワークショップなどの成果発表が行われています。後半には、NPO法人リンクト・オープン・データ・イニシアティブ (LODI)の設立記念パーティーも開催され、LODIの活動報告や、参加者によるライトニングトークが行われています。

横浜での取り組みはハッカソンやアイデアソンだけでなく、街歩きワークショップといった気軽に参加できるプログラムも用意することで、100名を超える参加者を集め盛り上がりを見せています。

横浜におけるオープンデータの取り組みは、欧米をはじめ世界各国からも注目度の高い取り組みとなっています。

千葉市

千葉市では、千葉市長の熊谷俊人氏のメッセージがYouTubeに公開されています。千葉市がオープンデータを活用することで市民参加を促し、街を市民の手によって変革していくことを宣言しています。

本イベントでは、

グループ1:Where Does My Money Go?によるお金の使い方分析
グループ2:イクメン応援アプリのアイデア出し&プロトタイピング
グループ3:FixMyStreetを使ったこどもNo.1度チェック

という3つのグループに分かれて議論が行われています。

「グループ1」では、「Where Does My Money Go?によるお金の使い方分析」のグループで、千葉市の財政構造を分解し、千葉市民が収めた税金が、どこにどれだけ配分されているかの見える化を実施。さらに、千葉市の子ども関連予算を確認し、さらに、子ども関連とは具体的に何に使われているかを分析する取り組みを行なっています。実際に「WHERE DOES MY MONEY GO? 千葉市版」を作成し、公開しています。

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http://chiba.spending.jp/

グループ1の発表資料も公開されています。

「グループ2」では、「イクメン応援アプリのアイデア出し&プロトタイピング」というテーマで、いくめん(子育てをするパパ)が、スマートフォンなどで子どもの記録が残せ、防接種や保育所など市の公開情報が利用できるためのアプリを作ってみようという取り組みを行なっています。

イクメンアプリのコンセプト資料も公開されています。

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「グループ3」では、「FixMyStreetを使ったこどもNo.1度チェック」というテーマで、子どもたちにとって居心地の良い場所やちょっと危ないと感じる場所、わくわくする場所などを画像を通じて見える化し、まちづくりや市民生活に役立つ仕掛けを作っていく取り組みを行なっています。

グループ3の発表資料も公開されています。

chiba fix my street
http://odhd13.okfn.jp/?p=142

いずれにテーマも、子どもたちを中心にしており、『こどもNo.1千葉』を目指すための意気込みが感じられます。

名古屋

名古屋では、「安全・安心」、「観光」、「子育て支援」の3つのグループになって作業が行われました。観光グループでは、「どきどきさわやかウォーキング」というテーマでオープンデータと自分がオープンにして良い情報を足して付加価値をつけて情報を公開したりマッチングさせていくといったアイデアが紹介されています。

「安全・安心」では警察が公開する犯罪情報を活用しています。「子育て支援」では、「赤ちゃん駅」や小児科といったデータから図書館の児童書蔵書数、乳幼児の人口、インフルエンザの情報など、名古屋市内の子育てに必要な施設へのマッピングを行い、それぞれの区の「子育てしやすさ」スコアを補表示する「子育てミシュラン」や、インフルエンザの蔓延情報から「いまその区の危険度は」を可視化するスマホ向けのサービスが紹介されています。

kosodate
http://odhd13.okfn.jp/?p=146

福井県鯖江市

鯖江市では、IT関係者や学生ら市内外の約20人が参加し、市内のインフルエンザの発生状況やごみの分類方法、渋滞情報などを知らせる「さばえお守りアプリ」や観光マップと「ふるさとさばえ検定」などを合体させたゲームなどをアイデアが紹介されています。

会津若松市

津若松会場では、アイディアソンと市のオープンデータを利用したハッカソンの2チームに分かれて、作業を実施し、アイデアを出し合っています。

国内1700市町村をデータを元に競わせるサービス「ローカル日本一決定戦」、ペットの位置情報をマッピングして見守るアプリ「あのペットは今」、歴史上の人物の移動の軌跡を時間軸で可視化する「戦国マップ・幕末マップ」、「除雪して欲しい・したいマッチング」、大河ドラマに出てきたスポット情報をマッピング「大河ドラマップ」、LinkData.jp上でRDFとして公開・提供『福祉まっぷ改善版』などが紹介されています。

 

International Open Data Day in Japanで印象的だった言葉は、「地産地消データ」です。地域の市民が地域のニーズに密着したデータを作り、市民がデータを消費することで、地域社会の課題解決に役立て、さらに新しいサービスを創造し、産業の創出や経済活性化に結びつける。今後の取り組みが楽しみです。

 

※本まとめは、ツイッターやフェイスブック等の情報からまとめたもので、実際の現場は見ておらず、一部推測による記載をしている箇所もあります。修正・追記などがございましたら、コメントなどをいただければ幸いです。

 

※関連記事/ブログ

世界100都市以上でオープンデータの地域活用イベント開催、国内は横浜など8都市 ITPro 2013/2/23

オープンデータで観光楽しむ NHK 2013/2/23

公開情報活用にアプリアイデア次々 福井新聞 2013/2/23

横浜から世界へ発信、international open data day 横浜市会議員 伊藤ひろたか氏 2013/2/23

横浜で「国際オープンデータデイ」イベントー街歩きワークショップも ヨコハマ経済新聞-2013/02/20

 

※International Open Data Day in Japanで活用されたオープンデータ

https://www.facebook.com/groups/tokyo.opendataday/doc/451083498279204/
より引用(一部加工)

千代田区基礎データhttp://www.city.chiyoda.lg.jp/service/00146/d0014640.html
千代田区総合ホームページ - 千代田区行政基礎資料集(平成24年版) 《Excel版》

気象庁 XML API
気象庁豊田氏による気象庁 XML API の中継サーバ
http://toyoda-eizi.net/pshbspool/atom.xml

CKAN: オープンデータポータル
http://data.linkedopendata.jp/

経産省の Open Data METI
http://www.meti.go.jp/press/2012/01/20130128006/20120128006.html

LOD 日本語版
http://data.linkedopendata.jp/ (日本語)
http://ckan.org/ (本家)

eGov: 統計データ
http://www.e-gov.go.jp/

鯖江市行政データ
http://www.city.sabae.fukui.jp/pageview.html?id=12768

日本の市町村のオープンデータとランキング
http://citydata.jp/

OpenStreetMap
http://osm.org

石巻(復興マッピング重点地区)
http://www.openstreetmap.org/?lat=38.4463&lon=141.2873&zoom=13&layers=M 

釜石(復興マッピング重点地区)
http://www.openstreetmap.org/?lat=39.27087&lon=141.87581&zoom=15&layers=M

大槌(復興マッピング重点地区)
http://www.openstreetmap.org/?lat=39.35906&lon=141.90791&zoom=15&layers=M

陸前高田(復興マッピング重点地区)
http://www.openstreetmap.org/?lat=39.0195&lon=141.6387&zoom=14&layers=M


※オープンデータで使えそうな技術
https://www.facebook.com/groups/tokyo.opendataday/doc/451081871612700/
より引用(一部加工)

Recline: 表データからのビジュアライゼーションに有効そう
http://okfnlabs.org/recline/

PyBossa: クラウドソーシングの作業分担に有効そうhttps://github.com/PyBossa/pybossa

PDF Transcription: PDFの手作業電子化を作業分担http://crowdcrafting.org/app/pdftranscribe

CSVファイルから地図データを簡単に表示
http://geofuse.jp.georepublic.net

D3.js: JSのビジュアライゼーションライブラリ
http://d3js.org/

GoogleスプレッドシートのデータをGoogleマップに表示
http://goo.gl/bx1j5

Nomenklatura:名寄せ/クレンジングツール(日本語対応がたぶん必要)
http://nomenklatura.okfnlabs.org/

OpenDataKit:データを収集するオープンソースのツールキットhttp://opendatakit.org/

KoBo Project:データ収集と可視化
http://www.kobotoolbox.org/

Crisis Tracker:災害時にみんなでソーシャルメディアを解析するツールhttp://ufn.virtues.fi/crisistracker/about.php

OpenMooc:オープンソースのオンライン学習ツール
http://openmooc.org/

LinkData: Excel, CSVをLinked Dataに変換して公開(地図表示も可)http://linkdata.org/

LinkDataApp: ↑の公開データをInputに使ってJavaScriptアプリが書けるhttp://app.linkdata.org/

ハンス・ロスリングさんでおなじみデータをモーショングラフ化するGapminderの使い方
http://www-b.uec.tmu.ac.jp/Gapminder/

 

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