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オープンデータ社会(53)自治体のオープンデータの取り組み(会津若松市)

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会津若松市では情報政策課が中心となり2012年9月27日よりウェブサイト上で年齢別人口や町・大字別人口などの統計データや公共施設マップなどの所在データ、国土地理院の基盤地図情報などのデータをクリエイティブ・コモンズ・ライセンスで公開し、公共データのオープン化を推進しています。また、LinkDataサービスを活用して、CSV形式のほかRDF形式のデータでも公開しています。


http://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2009122400048/
会津若松市のオープンデータの取り組み

オープンデータ活用のためのイベント開催

2012年11月14日には、「オープンデータを活用して車椅子マップを作ろう! 」というテーマで、オープンデータ活用&マッピングイベントを開催しています。市民参加型の地図づくりを行う「OpenStreetMap」と会津若松市が公開する公共施設の所在データや基盤地図情報、車椅子利用者が自分で行けるお店や施設を探すためのマップ「Wheelmap」を組み合わせ、車椅子専用のマップを作成しています。

2013年2月23日に開催された「International Open Data Day in Japan」では、会津若松会場では、アイディアソンと市のオープンデータを利用したハッカソンの2チームに分かれて、作業を実施し、アイデアを出し合っています。

国内1700市町村をデータを元に競わせるサービス「ローカル日本一決定戦」、ペットの位置情報をマッピングして見守るアプリ「あのペットは今」、歴史上の人物の移動の軌跡を時間軸で可視化する「戦国マップ・幕末マップ」、「除雪して欲しい・したいマッチング」、大河ドラマに出てきたスポット情報をマッピング「大河ドラマップ」、LinkData.jp上でRDFとして公開・提供『福祉まっぷ改善版』などのアイデアが出されています。

これらのオープンデータの一連の取り組みが評価され、「Linked Open Data チャレンジJapan2012」にて、「公共LOD賞」を受賞しています。

オープンデータを活用した観光復興支援

会津若松市では、民間企業と連携し、観光データと連携することで観光施策の活性化にもつながっています。会津若松市などが提供する観光データに富士通システムズ・イースト社が提供する旅行者向けの着地型観光周遊ルート計画支援サービス「Webルートガイド」と連携させることで、観光復興支援の取り組みを進めています。

「Webルートガイド」は、地図上の観光スポットを自由に選んで自分の旅行計画が立てられるサービスで、目的地までのルートや距離、時間などの行き方案内や、複数の目的地を車で移動するための最適ルート案内、目的地や移動ルートの周辺にある寄り道スポット情報など、観光案内所機能をスマートフォンなどのモバイル端末で実現しています。


http://www.aizukanko.com/news/index.cfm#wn191

会津若松市では、2011年3月11日の東日本大震災以降の原発事故の風評被害によって、観光客が大幅に減少し、観光による復興支援の取り組みが進められています。会津若松を舞台にしたNHK大河ドラマ「八重の桜」も放送され観光誘致の機運も高まり、八重と会津博公式サイト会津若松観光ナビなどで、観光データの活用が進んでいます。

ICTと街づくり、データ流通

会津若松市では、オープンデータの活用にとどまらず、ICTを活用した復興再生と新たな都市モデルの発信に向けて様々な取り組みが行われています。

震災以降、安全で災害に強いまちになることを目標に掲げ、その実現のために、災害時の情報連絡網の強化やエネルギーの確保、地域での効率的なエネルギーの利用など、市がまちづくりの方向性として「スマートコミュニティ」を目指しています。

会津若松市では、会津や地元のIT企業などで構成される「会津若松スマートシティ推進協議会」を設置し、市からの補助を受けスマートコミュニティやスマートシティに関わる導入事業にも取り組んでいます。

また、大熊町と共同で市役所や駅、仮設住宅など、市内15カ所にデジタルサイネージを設置し、両市町の行政情報や観光・イベントなどの情報を発信しています。公共性の高い場所にサイネージを設置することで、地域と行政をより密接につなぐための情報提供や、災害発生時の際にも緊急性の高い情報提供に活用できる環境を整えています。

2013年3月11日には「復興を契機に地方都市のあるべきモデルを考える~ ICTは街づくりに如何に貢献できるか ~」が開催され、2013年5月22日には「情報通信政策講演会「ICTを活用した街づくりと地域の自立」」といったセミナーが開催される予定など、政府関係者や有識者も参加するなど、会津若松市のICTやオープンデータ、スマートシティといったキーワードによる街づくりの在り方について、国内外からの注目も集まっています。

政府や自治体、そして企業など、社会を構成する主体は、縦割りとなっており、横軸の情報連携がうまく進んでいない状況で、それぞれの主体が生み出した膨大な情報や資源が共有できていないために、非効率を生み出し、社会コストの増加につながっているケースも多く見受けられます。

都市空間にある限りのある情報資源を最大限に有効に活用するためには、横軸連携の取り組みを強化、特に、ICTの利活用が遅れている行政・教育・医療・農業などの公共サービスを連携させ、さらにオープンデータのようなデータを流通させプラットフォームとしての役割を担うことで、効率化と利便性向上につながる都市空間の最適化を図ることが重要になってきていると考えています。

 

 

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