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オープンデータ社会(8)電子行政オープンデータ戦略

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IT戦略本部は2012年7月4日、2010年5月の新たな情報通信技術戦略(IT戦略本部決定)、2011年3月の電子行政推進に関する基本方針(IT戦略本部決定)の政府方針に基づき、新たな情報通信技術戦略 工程表(改訂案)を公表しました。

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http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/pdf/120704_siryou1.pdf

工程表の行政情報の公開、提供と国民の政策決定への参加等の推進工程表では、オープンガバメントを確立するため、「電子行政オープンデータ戦略」を策定し、同戦略に基づき公共データ活用の推進と環境整備を実施することを公表しています。

政府の「電子行政オープンデータ戦略」(平成24年7月4日IT戦略本部決定)の骨子は以下のとおりです。

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電子行政オープンデータ戦略の戦略意義・目的、基本的な方向性、具体的な施策、推進体制などについては以下のとおりです。

戦略意義・目的

① 透明性・信頼性向上→ 行政の透明性の向上、行政への国民からの信頼性の向上
② 国民参加・官民協働推進→ 創意工夫を活かした公共サービスの迅速かつ効率的な提供、ニーズや価値観の多様化等への対応
③ 経済活性化・行政効率化→ 我が国全体の経済活性化、国・地方公共団体の業務効率化、高度化

基本的な方向性

【基本原則】
① 政府自ら積極的に公共データを公開すること
② 機械判読可能で二次利用が容易な形式で公開すること
③ 営利目的、非営利目的を問わず活用を促進すること
④ 取組可能な公共データから速やかに公開等の具体的な取組に着手し、成果を確実に蓄積していくこと

具体的な施策

【平成24年度】
以下の施策を速やかに着手
1 公共データ活用の推進(公共データの活用について、民間と連携し、実証事業等を実施) 《内閣官房、総務省、経済産業省》
①公共データ活用ニーズの把握
②データ提供方法等の整理
③民間サービスの開発
2 公共データ活用のための環境整備(実証事業等の成果を踏まえつつ、公共データ活用のための環境整備) 《内閣官房、関係府省》
①必要なルール等の整備(著作権の取扱いルール等)
②データカタログの整備
③データ形式・構造等の標準化の推進等
④提供機関支援等についての検討
【平成25年度以降】
ロードマップに基づき、各種施策の継続、展開《内閣官房、関係府省》

推進体制等

【推進体制・制度整備】
オープンデータを推進するための体制として、速やかに、官民による実務者会議を設置
①公共データ活用のための環境整備等基本的な事項の検討
②今後実施すべき施策の検討及びロードマップの策定
③各種施策のレビュー及びフォローアップ
【電子的提供指針】
フォローアップの仕組みを導入し、「具体的な施策」の成果やユーザーの要望等を踏まえ、提供する情報の範囲や内容、提供方法を見直し

工程表では、2012年、2013年において総務省、経済産業省、内閣府にて取り組む内容が示されています。

【総務省】
オープンデータ流通推進コンソーシアム
データ流通・連携のための共通API の開発・国際標準化、データ活用ルールの検討等のための実証

クラウドテストベッドコンソーシアム
民間における統計情報の活用ニーズについて調査・分析、新たなクラウドサービスの開発を通じて統計情報の機械判読可能な提供方法等に関する検討

【経済産業省】
IT融合フォーラム
知的基盤データ等から提供方法改善、活用促進を図り、公共データ提供の課題整理及び解決策の検討

独立行政法人情報処理推進機構
データ活用を促進するためのフォーマット等の規範やマニュアルの整備、公共情報交換標準スキーム等の支援システム・ツールの実証

【内閣官房】
公共データ活用のために必要なルール等の整備、データカタログの整備、データ形式・構造等の標準化の推進等及びデータ提供機関の支援等について検討を実施。今後実施すべき施策の検討及びロードマップの策定を実施

これまでのオープンガバメントの取り組みと大きな変更点は、戦略意義・目的において「経済活性化」という項目が含まれている点です。オープンデータにより、日本経済の発展、効率化につなげていくための政府の強い意志表明といえるでしょう。

日本再生戦略とオープンデータ

内閣府は2012年7月31日、「日本再生戦略(閣議決定) 」を公表しました。
http://www.npu.go.jp/policy/pdf/20120731/20120731.pdf

再生戦略では、電子行政オープンデータ戦略をはじめ公共データの民間開放や利活用の取り組み方針が示されています。

2.デフレ脱却と経済活性化に向けて重視すべき政策分野 (P13)

潜在的な国内需要を実現するため、医療、介護等の分野におけるビジネス展開を促進するとともに、サービス産業のビジネス機会拡大のため、公共データの民間開放・利活用を進める。さらに、社会保障・税一体改革により、全世代を通じた国民生活の安心を確保することを通じ、消費や経済成長に寄与していくことが期待される。

重点施策:情報通信技術の徹底的活用と強固な情報通信基盤の確立 (P33)

我が国のあらゆる分野の成長を支える基盤としての情報通信技術の戦略的重要性などに鑑み、国民ID 制度やオープンガバメントの推進を始め、行政、医療、教育等の幅広い分野で情報通信技術の利活用に取り組み、「スマート化」された社会の実現を目指す。「電子行政オープンデータ戦略」(平成24 年7月4日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部決定)の実行、情報通信技術の進展に伴い収集等が可能となった多種多量データ(ビッグデータ)の利活用や情報通信技術を活用した異分野融合等、官民が保有するデータの利活用促進を図るとともに、「周波数オークション制度」の実施など新規参入促進策の検討・実施等を通じ、電波ビジネスの活性化に向けて更なる電波の有効利用促進を図る。

「電子行政オープンデータ戦略」の策定においては、工程表において、2013年までに行政が保有する情報のうち民間ニーズが高いデータについて、個人が特定できない形に集約化・匿名化の上、2次利用可能な形でインターネットから提供することを明記しています。また、2014年までには、民間における利活用を促進するための公共データの提供対象・提供方法を地方公共団体等とも連携し更に拡大・改善していくとしています。

「環境の変化に対応した新産業・新市場の創出~ 科学技術イノベーション・情報通信戦略~」の工程表の情報通信技術の活用による産業活性化においては、クラウドコンピューティング等を通じたデータ利活用による競争力確保のための環境整備にて、2012年からは、

・官民に埋没・散在するデータをオープン化し、横断的に利活用するための共通基盤技術の検討・確立、国際標準化の推進
・オープンデータ環境整備に向けたデータ利活用ルールの策定(2014年度まで)
・ビッグデータ(大規模データ群)ビジネスの創出に向けたM2M通信(機器間通信)等の技術の検討・確立

2013年度以降は、データサイエンティスト(様々なデータの分析等を通じてビジネス創出等に結び付けることができる人材)の育成を実施し、ビッグデータの利活用等により、2015年度までに新たに約2兆円規模の市場創出、2020年までに約10兆円規模の関連市場を創出するとしてます。

環境の変化に対応した新産業・新市場の創出~ グリーン成長戦略~ (P70)

情報技術との融合による安全・利便性等新たな機能の創出
自動車等、異業種・異分野のデータを融合した新たな情報プラットフォームサービスの検討・実証等

(参考)環境の変化に対応した新産業・新市場の創出~ ライフ成長戦略~(P76) 

大規模医療情報データベースの構築(2012年度までに7拠点、2013年度までに10拠点を構築)、医薬品等安全対策への活用
目標:1,000万人規模のデータベースを構築

IT防災ライフラインのアクションプランの策定 (P84)

2015年度までに実施すべき事項
目標:災害発生後に公表するべき全ての情報を特定し、当該情報に係るデータを2次利用可能な形式で公開

日本再生加速プログラムとオープンデータ

内閣府は2012年11月30日、「日本再生加速プログラム(閣議決定)」を公表しました。規制・制度改革の具体的施策として、オープンデータの一層の推進をあげています。

○オープン・データの一層の推進
公的機関が保有する情報を活用した民間ビジネスの創出を促すための、ライセンス方式、標準的データ形式、公開・公表手法等の詳細な制度設計を図る。

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http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/densi/dai1/sankou5.pdf
電子行政オープンデータ実務者会議

IT戦略本部は、「電子行政オープンデータ戦略」の実現に向けて、内閣官房、総務省、経済産業省などが連携し、2012年12月15日より「電子行政オープンデータ実務者会議」を開催しています。2012年度からオープンデータに関するアジェンダやロードマップを策定し、公共データ活用のために必要なルール等の整備、データカタログの整備、データ形式・構造等の標準化の推進等、提供機関支援等についての検討を進められています。

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http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/densi/wg/dai1/siryou5.pdf
実務者会議の進め⽅のイメージ

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http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/densi/dai2/siryou3.pdf
オープンデータの意義・目的に応じた評価の観点の整理

2013年1月15日に開催された第2回の実務者会議においては、「電子行政オープンデータ戦略」において、オープンデータ(公共データの活用促進)の意義・目的が3つについて、公開データの点数・量、利用件数(アクセス数、ダウンロード数等)、当該データを利用したアプリケーションの点数・量については、基礎的な指標として、3つの意義・目的に共通して把握しておく必要があるとしています。

電子行政オープンデータ実務者会議の傘下に、「データ・ワーキンググループ」と「ルール・普及ワーキンググループ」においても検討が進められています。

データ・ワーキンググループ」では、機械判別可能なデータ形式・構造の整理、機械判読可能なデータ形式で公開する手法の検討、データカタログ掲載に当たってのメタデータの形式の整理などが検討されています。
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http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/densi/wg/dai1/siryou10.pdf
データ・ワーキンググループにおける検討課題

ルール・普及ワーキンググループ」では、二次利用可能な利用条件(ライセンス)の整理、利用拡大のための関係者や利用者間の協力・連携の枠組みの検討、公開すべきデータの考え方の整理、手数料の考え方の整理などの検討が行われています。
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http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/densi/rwg/dai1/siryou13.pdf
ルール・普及ワーキンググループにおける検討課題

実務者会議では、公開データの利用条件を記載している政府ホームページも紹介されています。
○関係府省 対象URL
総務省(本省) http://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/policy/tyosaku.html
統計局・政策統括官・統計研修所 http://www.stat.go.jp/info/riyou.htm
消防庁 http://www.fdma.go.jp/neuter/info/copyright.html
文部科学省(本省) http://www.mext.go.jp/b_menu/about_link.htm
地震調査研究推進本部 http://www.jishin.go.jp/main/copyright.htm
厚生労働省(本省) http://www.mhlw.go.jp/chosakuken/
e-Stat 政府統計の総合窓口 http://www.e-stat.go.jp/estat/html/spec.html
農林水産省(本省) http://www.maff.go.jp/j/use/link.html
経済産業省(本省)
http://www.meti.go.jp/main/rules.html
http://www.meti.go.jp/main/mers.html
資源エネルギー庁
http://www.enecho.meti.go.jp/others/kiyaku.htm
http://www.enecho.meti.go.jp/others/jikou.htm
中小企業庁
http://www.chusho.meti.go.jp/riyou_kiyaku.html
http://www.chusho.meti.go.jp/houteki_jikou.html
国土交通省(本省) http://www.mlit.go.jp/link.html
国土地理院 http://www.gsi.go.jp/GSI/chosaku.htm
気象庁 http://www.jma.go.jp/jma/kishou/info/coment.html
内閣府(本省) http://www.cao.go.jp/notice.html

日本経済再生に向けた緊急経済対策とオープンデータ

内閣府は2013年1月11日、日本経済再生に向けた緊急経済対策(閣議決定)を公表しました。http://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2013/0111_01taisaku.pdf

本緊急経済対策の「潜在力の発揮を可能とする規制改革」においてオープンデータについても明記されています。

我が国の潜在力を最大限発揮できるよう、国際的にも遜色のない経済活動環境を目指しつつ大胆な規制改革を推進するため、新たな規制改革会議を立ち上げ、日本経済再生本部・産業競争力会議及び経済財政諮問会議との連携の下、デフレ脱却、競争力の強化、多様で柔軟な働き方の実現等のための措置や、エネルギー・環境、健康・医療等の個別分野に関する措置を早急に検討する。
また、金融機関の出資規制の緩和、発電所設置の際の環境アセスメントの迅速化、医療機器・再生医療の特性を踏まえた規制の見直し等の関連法案の整備、オープン・データの一層の推進など既往の閣議決定事項を着実に推進するものとする。

日本経済の再生において、オープンデータの推進は一つの規制改革であり、オープンデータの利活用による経済活動を活性化させていくことも重要な取り組みといえるでしょう。

次回からは、「電子行政オープンデータ戦略」にもとづき、総務省や経済産業省のオープンデータに関する具体的な取り組みについてご紹介をしたいと思います。

オープンデータ社会(1)オープンデータとは? 2013/01/21

オープンデータ社会(2)米政府におけるオープンガバメントの取り組み 2013/01/22

オープンデータ社会(3)世界の政府におけるオープンデータ戦略の取り組み 2013/01/23

オープンデータ社会(4)民間事業者の参入 2013/01/25

オープンデータ社会(5)米国政府におけるビッグデータ関連政策 2013/01/28

オープンデータ社会(6)日本におけるオープンガバメントの取り組み 2013/01/29

オープンデータ社会(7)公共データへの産業界からの期待 2013/01/31

オープンデータ社会(8)電子行政オープンデータ戦略 2013/02/1

 

 

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