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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

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電子書籍ビジネスが注目を集め始めています。特に、米国では、急速に市場を伸ばしています。その火付け役となっているのが、既にご存知かと思いますがアマゾンの電子書籍リーダー「キンドル」です。「キンドル」は、米市場でシェア65%とソニーの約30%をを引きはなし圧倒的な優位な立場にあります。「キンドル」は、日本を含む世界100カ国以上で販売されており、世界のデファクトスタンダートの地位を築きつつあります。日本でも購入することができますが、日本語仕様はなく、普及は限定的となっています。

米国では、昨年のクリスマス商戦では、「キンドル」はウィッシュリストで1位、2位を争う人気商品となっています。多くの電子書籍が1冊あたり10ドル前後で1分程度でダウンロードして購入することができ、メモリーの容量が大きく、「キンドルDX(9.7インチ:489ドル)」の場合は、最大で3500冊分を保存することができます。(「キンドル2(6インチ:259ドル)」は、約1500冊)。

「キンドル」はこれまで200万台が売れ、また、アマゾンの蔵書数は39万点を誇っています。米国の新刊本の約9割は、電子化されており、主要紙や雑誌の定期配信も進んでいます。

また、画面もパソコンに比べると紙に近く、目が疲れにくく、ページもめくる速度などもより本に近い感覚となっています。また、文字のサイズを変更することもでき、高齢者や子どもたちにとって使いやすくなっています。さらに、文章を音声で読み上げる機能ももち、男性や女性の声も選択することができます。実際に音声を聞いてみましたが、かなり自然な音声で人に読んでもらっていると錯覚するぐらいのレベルではないかと思います。

また、「Kindle for iPhone」や「Kindole for PC」といったようにiPhoneやパソコンでもキンドルのコンテンツを楽しむことができます。

米国においては「キンドル」があれば、本を買わなくてもいいほど、環境が整ってきていると言えるのではないでしょうか。持ち運びできる書斎や教科書といったようにビジネスからプライベートまで様々な用途として利用することができるでしょう。

米国出版協会などのデータによると、電子書籍の市場規模は1%規模ですが、2009年の7~9月期の総売上は、2年前の同期の5.8倍、昨年同期の3.3倍と急成長しています。また、アマゾンの2009年7~9月の純利益は、前年度同期比69%増の1億9900万ドルとなっています。電子書籍リーダーの好調さがアマゾンの収益を押し上げてます。

また、調査会社米Instart社の調査によると、世界における電子書籍リーダーの普及台数は、米国中心に300万台に対し、2013年には2860万台に達すると予測しています。

出版不況、そして、景気が低迷する中において、電子書籍市場は非常に有望な市場といえるでしょう。

アマゾンがこれだけ優位にたっていたとしても安泰というわけではありません、グーグルやソニー、アップルなどの事業者が参入し、業界地図を塗り替えようとしています。次回は、対抗する事業者について様々なレイヤーの視点で整理をしていきいたいと思います。

※関連記事

離陸する電子書籍ビジネス(5):デジタル教科書市場の行方 (2010.1.16)

離陸する電子書籍ビジネス(4):日本市場の行方 (2010.1.15)

離陸する電子書籍ビジネス(3):アマゾンへのソニー、グーグル、アップルの対抗軸 (2010.1.14)

離陸する電子書籍ビジネス(2):電子書籍リーダーの攻防(CESから) (2010.1.13)

離陸する電子書籍ビジネス(1):急成長する米国市場と「キンドル」 (2010.1.12)

MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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