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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

電子書籍ビジネスの展開にあたっては、出版社、著作者、取次店、書店などの中で様々な利害関係がある中で、なかなか離陸することが難しいことが指摘されています。その中で、普及の拡大に向けて一気に離陸をしそうなのが、デジタル教科書市場です。

総務省の原口総務大臣は、12月22日、「緑の分権改革推進プラン」「ICT維新ビジョン」の二つを,原口ビジョンとして発表しました。その中の「ICT維新ビジョン」の「地域の絆の再生」の目標の中で、「デジタル教科書を全ての小中学校全生徒に配備(2015年)」という設定がなされています(関連記事)。

文部科学省が発表した「平成21年度学校基本調査速報」の調査内容によると、小学校の児童数は、7,063,606名で中学校の生徒数は3,600,319名となっています。5年後に児童・生徒数が減少するとはいえ、もし目標設定どうりに進むとすれば、1000万近くの児童・生徒が電子教科書を持つという計算になります。

仮に電子書籍リーダーの端末価格が2万円だとすれば、端末価格だけで2000億円の市場となります。そして、デジタル教科書のコンテンツや運用費用等を含めると、一つの大きな市場が立ち上がると言えるでしょう。

米国においても、デジタル教科書の市場が注目されており、アマゾンやソニーは既に教育市場に進出をし、事例も出てきています。ソニーの電子書籍端末部門の責任者スティーブ・ハーバー氏は、「近い将来、教科書を持ち運ぶ学生の姿は見られなくなるだろう」と述べています。また、米調査会社のフォレスター・リサーチのアナリストは、電子書籍リーダーの最大の市場は教科書関連になると分析しています。米国では、小中学校、そして高校生、大学生まで含めると、6800万人が潜在的利用者ということになります。

教育現場でのデジタルコンテンツは通常の書籍と比べると、著作権のハードルは低く、政府が2015年に全小中学校全児童・生徒に配布するといった政府の後押しがあれば、一気に普及が進む可能性が考えられます。シンガポール政府は、日本よりも3年早く2012年を目標としているため、世界の動きから見てもデジタル教科書の流れが進むのではないでしょうか。児童・生徒は将来の顧客でもあり、教育現場が端末シェアのしばらくの間、主戦場となるかもしれません。

一方、教育現場からすると、これまでの授業形態を大きく変えていかなければならないため、先生から「そうは言っても無理です」という意見が大半を占めることになるではないでしょうか。おそらく、デジタル教科書を好んで使う先生は比率的には少ないのかもしれません。そして、デジタル書籍リーダーの配布やメンテナンス(充電など)、コンテンツの配布方法など、全小中学校で共通化し、簡易に導入・運用できる仕組みの構築が必要不可欠となるでしょう。

さらに、文部科学省、自治体、教育委員会との間でも様々な調整が必要となるでしょう。保護者や地域の理解、そして地元書店との関係の再構築も必要でしょう。

そして何もよりも、児童・生徒の学力向上に寄与できるものか、というもの十分な検証が必要です。これまでの授業カリキュラムの見直しも余儀なくされるでしょう。

デジタル教科書の様々なメリットと普及拡大が期待される中、原口ビジョンの目標を本当に達成するのであれば、現場とのギャップを相当埋めていく必要がありそうです。これからの動きが、今後、どのように進んでいくのか、日本の教育の将来を左右する大きなテーマとなるのではないでしょうか。

※関連記事

離陸する電子書籍ビジネス(5):デジタル教科書市場の行方 (2010.1.16)

離陸する電子書籍ビジネス(4):日本市場の行方 (2010.1.15)

離陸する電子書籍ビジネス(3):アマゾンへのソニー、グーグル、アップルの対抗軸 (2010.1.14)

離陸する電子書籍ビジネス(2):電子書籍リーダーの攻防(CESから) (2010.1.13)

離陸する電子書籍ビジネス(1):急成長する米国市場と「キンドル」 (2010.1.12)

MASAYUKI HAYASHI

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林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスの開発企画を担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『「クラウド・ビジネス」入門』

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