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東日本大震災後の日本に代表されるように、世界各地で災害時におけるソーシャルメディア活用に注目が集まっている。災害の発生をいち早く伝える、被災者の安否を確認する、復旧・復興に関する情報を共有するなどその可能性は幅広く、米連邦緊急事態管理庁(FEMA)米赤十字社などソーシャルメディア活用に乗り出している公的機関も多い。しかしデマや勘違いの拡散、風評被害の悪化など、信頼性の面では弱みを抱えているのが現状だ。

こうした弱点を克服するための様々なアイデアが登場しているが、オランダで開発されたTwitcidentは、機械的な分析によってTwitterの信頼性を高めようという試みだ。災害の発生を確認すると、TwitcidentはTwitterの検索を開始し、その災害に関連するツイートを収集する。そして独自のアルゴリズムで各ツイートの信頼性と情報的価値を評価、ランク付けを行うことで、有益な情報だけをユーザーに提供する。人間が直接Twitterを検索してツイートを拾い集めるよりも、遙かに多くの情報をリアルタイムで得ることができるわけだ。

現在はベータ版の開発が行われている最中だが、YouTube上でデモ映像が公開されている。これを見ると、まずはTwitcidentで追跡中の災害が一覧表示され、そこから詳細を確認したいものを選ぶという形式になるようだ。災害を選択すると、Twitcidentが収集した関連ツイートが表示される。そこで数種類のフィルターが用意されており、ツイートの種類、発信者の種類、語られているトピック(被災状況や被害者の有無など)といった条件で絞り込みが可能だ。また統計データやグラフの表示も可能で、ツイートを総合的に分析したり、時間の推移による状況変化を俯瞰したりといったこともできるようになっている。

Twitcidentを開発したのはオランダ・デルフト工科大学の研究者らで、過去10ヶ月間、オランダの警察や消防局などと協力して実証実験を行ってきた。そこで十分な経験が得られたとのことで、ベータ版を一般公開することが計画されており、公式サイト上でメールアドレスを登録しておけば公開時に通知を受けることができる。

ソーシャルメディア上の情報を機械的に分析して、書かれている内容や全体的な傾向を把握するという発想は珍しいものではない。実際に、Twitterから病気の流行状況や将来の株価を割り出すといった試みが既に行われている。しかし災害という深刻な状況においては、まだ人間の目で情報の取捨選択を行うという方が一般的だ。Twitcidentがどこまで正確に信頼性を判断し、人間の役割を代替できるのかは、今後の災害時におけるソーシャルメディア活用のあり方を左右することになるだろう。十分な成果を出すことができれば、ソーシャルメディア自体の価値も大きく向上するに違いない。

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小林啓倫

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小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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