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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

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「そのためのアプリがあります」――かつてはジョークで使われることが多かった、この"App for that"というフレーズ(こんなギャグサイトも登場しています)。最近では冗談のつもりが冗談では終わらないほど、ありとあらゆる領域でスマートフォン用アプリが登場していますが、いよいよこんなニーズにまで対応するようになっているとのこと:

California School District Debuts iPhone App for Parents (THE Journal)

カリフォルニア州のとある学区(Hemet Unified School District)が導入したiPhone用アプリについて。アプリはParentLinkという会社によって開発されたもので、"Mobile Parent"という名前で一般にも公開されています。

MobileParent

では一体何のためのアプリなのか。実はこのアプリを通じて、子供の学校生活を把握することができるようになっています:

The app allows parents to view their children’s classes, grades, assignments, and attendance in one place, and to directly communicate with teachers.

Parents can set alerts that will notify them when their child misses an assignment or receives a low grade. An alert can also be set to notify parents when a child receives a grade below a certain pre-set threshold.

子供が受けている授業、成績、宿題、出欠状況などを把握し、さらに教師と直接コミュニケーションすることがこのアプリで可能になります。

子供が宿題を忘れたり、悪い成績を取ったりした場合には、アラートを上げることができます。また予め設定した基準を下回る成績を取った場合にも、アラートを上げることが可能です。

うう、こんな時代に子供じゃなくて良かった……という本音はさておき、「学校で何をやっているのか」「テストがあったのか」「そのテストでウチの子は何点取ったのか」「宿題はきちんと提出しているか」などという情報は、親であれば確かに気になるものでしょう。もちろん子供から直接聞けば済む話ですが、こんな「PTAアプリ」で確実に情報収集しよう、というのが時代の流れといったところでしょうか。

ただこのアプリを導入したHemet学区の側には、もう少し大きな狙いがあるようです:

This year, Hemut USD is focusing on improving student attendance in the district, in part through more parental involvement. “We know that increasing parental involvement in a child’s education is the single best predictor of student success,” said Superintendent Dr. Steven Lowder in a statement. “And the most effective and efficient way to accomplish that is through good, consistent communication."

今年度、Hemut統合学区は生徒の出席状況を改善することに焦点を置いている。その一環として、親たちにもっと関与してもらおうというわけだ。リリースの中で、教育長のSteven Lowder博士は次のように語っている。「子供の教育に親が関与することは、生徒の成功につながる最大の要因であると私たちは認識しています。これを達成するのに最も効果的で、最も効率的な方法は、一貫した良質なコミュニケーションを続けることです」。

学校行事や授業、そして子供の行動に関する情報を積極的に提供する、しかもスマートフォンという生活に密着するガジェットを通じて提供するという仕組みがあれば、確かに親たちの関心が高まることでしょう。しかしこんなアプリで、関心だけでなく関与まで高めることができるのでしょうか?

個人的には、このアプリを一種のゲーミフィケーションと捉えれば、その可能性はあると想います(もちろん「ゲーム」という言葉を使っているからといって、子育てが遊びだというつもりはありません)。様々な形で子育てに取り組む、それが数値という目に見える形でフィードバックされる、データが蓄積されて将来を考える際のヒントになる――ゲーム的なインターフェースに慣れた人々に対しては、こうしたアプリの形で情報をまとめる方が、行動を促しやすいのではないでしょうか。そう考えると、むしろ従来の成績表に替えて「PTAアプリ」を導入する学校も登場するかもしれません。

そこまでは大胆すぎるとしても、親たちが普段から使っているコミュニケーションツールを積極的に活用しよう、という姿勢はもっと普及して良いと思います。そんな意識変革が促されるようなアプリ……はどこかにないものですかね。

【○年前の今日の記事】

気をつけよう:オンラインばかりでオフラインが無いと、文句を言いやすくなる (2009年12月1日)
伝統のリスク (2008年12月1日)
イナバウアーと品格と (2006年12月1日)

アキヒト

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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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