シロクマ日報:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) シロクマ日報

決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

« 2006年10月14日

2006年10月16日の投稿

2006年10月17日 »

以前、「ペットのクローンを作る(創る、とすべき?)企業が誕生した」というニュースがあったことをご存知ですか?当時かなり騒がれたので、ご存知の方も多いかもしれません。ところがこの会社(ジェネティック・セービングス・アンド・クローン社)、年内で廃業することを明らかにしたそうです:

クローン猫売れず、米ベンチャー企業が廃業 (CNN.co.jp)

ITmedia でも記事が出ていました:

クローン猫のGenetic Savingsが廃業 (ITmedia)

「商品」であるクローン・ペットが売れなかったために、やむなく事業から撤退するとのこと。CNNの記事によれば、「同じDNAを持っていたとしても、毛並みが同じにならず、不評だった」のだとか。

この記事を読んで、疑問に思ったことがありました。本当に「毛並みが同じでなかったから不評」だったのでしょうか?クローンで生き返らせるほど愛していたペットなのに、ちょっと毛並みが違うぐらいでけなせるものでしょうか。僕は子供のころ、1匹の黒猫を飼っていましたが、彼は最後に猫エイズに罹ってしまい、衰弱してすっかり毛並みも悪くなってしまいました。それでも家族みんなに愛されながら旅立っていったものです。それと一緒だとは言いませんが、多少毛並みが違ってもいいから、愛していたペットを生き返らせたいと感じる人もいたのではないかと思うのです。

ここから先は仮説でしかありませんが、ジェネティック・セービングス社の「製品」が受け入れられなかったのには、毛並みとは別の理由があるのではないでしょうか。お気に入りのぬいぐるみを無くしてしまった子供に、まったく同じぬいぐるみを買い与えることを想像してみて下さい。その子は新しいぬいぐるみに対して、同じ愛情をそそぐでしょうか?僕はその子供の立場に立ったことがありますが、同じ感情は抱けませんでした。まったく同じ姿・形だったにもかかわらず、その中に思い出は宿っていなかったのです。

もちろんこれは、個人的な例でしかありません。しかし、愛していたものに復活して欲しいと思うとき、それは姿や形といった「入れ物」ではなく、その中に入っているはずの「思い出」なのではないでしょうか。当然ながら、思い出は自分の頭の中にあるものであり、単に外見が同じだけのモノの中に込めることは簡単ではありません。ジェネティック・セービングス社の失敗は、「完璧なクローンを誕生させれば、それで顧客は満足するだろう」と考えたことにあったのではないでしょうか。

最近は心理学の面からマーケティングにアプローチするのが流行のようですが、文字通り人間の心理というものにもっと気を配っていれば、このような失敗を避けられる可能性もあったと思います(それはもしかしたら、最初から事業を立ち上げないという選択肢だったかもしれませんが)。クローン・ペットの例は極端な例ですが、私たちも「我々は完璧なモノを作った。さぁ愛情を注げ」という態度に陥らないように、十分注意しなければいけないのかもしれません。

アキヒト

« 2006年10月14日

2006年10月16日の投稿

2006年10月17日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
akihito
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ