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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

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先週分の ITmedia News 「News Weekly Access Top10(2006年7月16日-7月22日)」で、面白い考察がありました。お笑いコンビ「極楽とんぼ」の山本圭一さんが逮捕された件について、ネット上で大きな話題(いわゆる「祭り」状態)になったことを「田代まさし逮捕の話題でネットが盛り上がった2000~2001年をほうふつとさせる」と指摘し、以下のようにコメントしています:

 5年経った今、国内ネットユーザーは倍以上に増え、発信の手段も多様化。あるネタに関する話題をネット上で語り合う場、語る人の数は段違いに増加した。インフラはブロードバンド化し、高精細な静止画や動画も手軽に共有できるようになった。

 ネット上には今、ニューステキストからブログ、動画までコンテンツがあふれている。その分、5年前にあった「わずかなコンテンツをフルに使い、工夫を加えて何とか面白い物を作ろう」という、ハングリーなクリエイティビティは失われつつあるのかもしれない(後略)

(※赤字化は筆者による)

確かに「田代まさし事件」の時、2ちゃんねるには様々な優秀作品(?)が登場していました。それと比べると、今回は YouTube へのアクセス殺到が目立つばかりで、ユーザーが独自に作り上げたコンテンツというものは少なかったかもしれません(以前ほど2ちゃんねるを見なくなったので、もしかしたら凄い作品があったことに気づいていないだけかもしれませんが)。

しかし僕は別の「祭り」を見ていて、まったく逆のことを感じました。それは「スプーの絵描き歌事件」が起きた時だったのですが、ネットでは問題の絵描き歌のシーンを YouTube にアップするだけでなく、それとエヴァンゲリオンの映像をコラージュする、アスキーアートを作る、携帯電話の待ち受け画像を作る、果ては立体化してヤフオクで売るなどといった反応まで起きていました。こうした反応を見る限り、「ハングリーなクリエイティビティ」は失われることなく、むしろ多様化しているのではないでしょうか。

もしかしたら、「祭り」もロングテール化しているのかもしれません。つまり1箇所で集中的に祭りが行われるのではなく、様々なコンテンツをネタにあちこちで「祭りの会場」が発生するようになったため、1箇所だけ見ていると以前ほどのクリエイティビティが感じられない -- という状況が発生しているのではないかと思います。つまり「ヘッド」に当たる部分が2ちゃんねるや YouTube で、「テール」に当たるのが個人のブログやSNS、さらにヤフオク(!)などといった意外なサイト、というわけです。

「ロングテール理論」の提唱者であるクリス・アンダーソン氏が書いた"The Long Tail: Why the Future of Business is Selling Less of More"という本を買ってきて読んでいるのですが、この本ではロングテールが発生する要因を「コンテンツ作成の民主化」「コンテンツ配布の民主化」「需要と供給を一致させるシステムの存在」の3つに分解しています。デジタルコンテンツに言い換えれば、「様々な人々がコンテンツを作成するようになって」「そのコンテンツを誰でもアップできる場が現れて」「アップされたコンテンツが簡単に探せるようになれば」、ロングテールが発生するというわけです。

これをネットでの「祭り」に当てはめると、ロングテールが発生するのに適した状況であることが分かります。まずコンテンツの多様化ですが、言うまでもなく様々なツールの登場によって、素人でも見栄えの良いコンテンツを作ることが可能になっています。さらに「ネット上には今、ニューステキストからブログ、動画までコンテンツがあふれている」状態となっているために、いくつかのコンテンツを組み合わせるだけで(スプーの絵描き歌にエヴァンゲリオンの映像が組み合わされたように)簡単に新しいコンテンツを作ることができるようになっています(もちろんテレビで放映された映像を勝手に使うのは違法ですが・・・)。

さらに繰り返しになりますが「コンテンツをアップする場」としては2ちゃんねるや個人ホームページ、アップローダーだけでなく、YouTube・ブログ・SNSなどが登場しています。最後に「コンテンツを探す手段」としては、以前は2ちゃんねるのスレッドに集まってきた情報を見るだけだったのが、現在では「はてなブックマーク」などのソーシャル・ブックマーク、ブログ、ブログ検索エンジン、SNSなど様々なルートを通じて「人気となっているコンテンツ」を確認することが可能になっています。こうした要素が合わさり、現在の「祭り」は以前よりも内容が多様化し、多種多様なサイトで発生するというロングテール化の様相を見せているのではないでしょうか。

以上、仮説レベルの話に過ぎませんが、ふと感じたことをまとめてみました。上記の話は、ある1つの話題が様々な局面で現れるという「手段のロングテール化」「表現のロングテール化」だけですが、そもそも「祭り」のネタとなる話題が多様化している(従って個々の祭りでは「作品」の種類が限定される)というロングテールも考えられるかもしれませんね。しかしこんなこと書いていると、ただの「祭り」好きな人間に思われてしまわないか心配です・・・。

アキヒト

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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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