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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

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これこそまさに人々が望んでいたもの、大ヒット間違いなし---そう思っていたのに、いざリリースしたら鳴かず飛ばず。そんな製品/サービスは、人々が罪悪感を感じていることが低迷の一因かもしれません。

昨日の日経産業新聞に、大学が運営する託児所が登場したという記事が掲載されていました:

■ 流行ウォッチング -- 大学運営の託児所 信頼・安心感で好調続く (日経産業新聞 2006年5月17日 第5面)

今年の4月1日、茨城県水戸市の京成百貨店内にオープンした一時預かり保育室「PoPo(ポポ)」について。水戸市内にある常磐大学が運営する保育室で、常盤短期大学幼児教育保育学科がバックアップし、どう学科卒業生が子供の保育を担当するとのこと。京成百貨店にとっては質の高い保育サービスを提供できる一方で、大学側にとっても、現場から生きた情報を得るという利点があります。

このサービスが持つもう1つの価値は、「母親の罪悪感を軽減すること」であると記事は指摘しています:

 日本では子育て支援策がなかなか整わないと評されるが、一方でベビーシッターを雇うことがいまだに一般的になっていない。一時的にしろ、我が子を他人に預けることへの罪悪感が母親にあるからである。
 水戸京成百貨店と常磐大学の全国初の取り組みは、「幼児養育」をキーワードとすることにより、この母親の罪悪感を軽減した。一時預かりとはいえ「ポポ」は専門家による保育であり、子供にとって学習の場である。

記事に付け加えるとすれば、「世間の目が気になって預けられない」という問題もあると思います。これは僕が娘を預けている保育施設の先生から聞いたのですが、年配の方にはまだ「小さい子供を預けるなんて酷い親だ」という感情が残っているようで、子供を連れて散歩にでかけると「こんなに小さいのにかわいそう」と言われることがあるそうです。

罪悪感がどこから生じたものにせよ、「幼児教育の場である」という位置付けを行えば、「親の勝手で預けている」という感情を和らげることができます(もちろん、本当は様々な理由で預けざるを得ないわけですが)。PoPoが好評を得ている理由はちゃんと調査してみなければ分かりませんが、この「罪悪感が軽減される」ということも重要なポイントとなっているのではないでしょうか。

「罪悪感を和らげる」工夫をしているケースは、他の分野でも見られます。例えば最近流行りのスチームオーブンレンジ。「オーブン」と言うと、まだ日本の家庭では一般的な(どこの家庭でも普通にある、という意味で)調理器具とは言えません。実際にオーブンを使ってみると、便利で料理の幅も広がることを実感するのですが、「無くても生活できる道具=贅沢品」という捉え方が強いと思います。しかしスチームオーブンレンジは「水を使う→塩分を減らせる→健康に役立つ」という価値を提示することによって、「贅沢品」という罪悪感を和らげています。

また最近、企業内でSNSを導入する企業が増えていますが、「会社のお金で遊びのためのシステムを入れるなんて」と批判を受けるケースが多いと聞きます。しかしある会社では、Q&A機能が「社内に眠る知識を効率的に探し出す」という価値を生み出していることが認識され、SNSの社内認知と活用が進んだそうです。これもまた、罪悪感(「遊びのためのシステムを使っている」という気持ち---本当は遊び以上の効果があるのですが)を和らげることによって、ユーザーを増やすことに成功した一例ではないでしょうか。

良い製品/サービスなのに、なぜか売れないという問題に直面したら、隠れた罪悪感を探ってみてはどうでしょうか。そしてそれを和らげ、ちょっと背中を押してやるような工夫をすることで、ヒットを生み出すことができるかもしれません。

アキヒト

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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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