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「ネット上にお墓が作れて、いつでも好きなときに墓参りができる」と聞いたら、冗談だと思われるでしょうか。しかし現実にそんなサービスが登場していることが、先週の日経ビジネスで報じられていました:

■ シニアビジネス見聞録(第2回) ネットが拓く「その後」市場--「リアル」の隙間を埋めるニュービジネスが続々(日経ビジネス 2006年5月8日号)

介護用品のレンタルを本業とするアイキャン株式会社が始めたサービスで、その名も「ネットお墓参り」。デモ画面も用意されていますので、説明するよりも実際にそちらを操作していただいた方が早いかもしれません。

Photo_1

上はデモサイトのスクリーンショットなのですが、見て分かる通り単に墓石が表示されるだけでなく、柄杓で水をかけることができたり、お供え物・線香を置いたりすることができます。また般若心経や「愛の喜び」などのBGMを流すことも可能です。

さらにこのサービスでは、故人の写真や声などが登録できるようになっています。また「記帳」という名目で掲示板機能も備えており、親族の連絡版の役割を果たすとのこと。不謹慎かもしれませんが、故人を中心にした一種のSNS、という捉え方ができるかもしれません。

2002年からサービスを始め、宣伝をしていないにもかかわらず既に300組の登録があるとのことですから、「ネットお墓参り」は実際に遺族の心を満たしているようです。だとすれば、今後さらに「死」を扱うWEBサービスが現れてくると予想できるのではないでしょうか。

その別の可能性を感じさせるのが、Eternity4all というオランダのサービスです:

Online immortality (Springwise)

このサービスでは、300 USドル(もしくは250ユーロ)を1回限り支払うだけで、ネット上に永久にホームページを持つことができます。ホームページには何でも登録して良いわけではなく、写真を10枚まで、1分以内の長さの動画を3本まで、文章を3つまでといった具合に制限がかけられているのですが、これらのデータを永久に保存し、「オンライン上で生き続ける(online immortality)」ことができるわけです。ちなみに「ネットお墓参り」と同様、GuestBoook という名目で掲示板機能が付いています。

Eternity4all

上は既に登録しているユーザーのページのスクリーンショットですが、みな思い思いのデータを登録されています。他愛も無いものですが、それぞれに思いが込められているのでしょう。Eternity4allは言ってみれば、「ネットお墓参り」用のデータを自分で登録してしまうといったところでしょうか。

攻殻機動隊』というSFマンガ/アニメ作品では、「死」に際して「ネット上に全人格をアップロードする」という発想が登場します。そんな空想を言われても、と思われるかもしれませんが、人は自分の記録というものを後に残しておきたいと思うものです。それが今までは建造物であり、芸術作品だったわけですが、ネットにその保存先を求めるというのは自然な流れではないでしょうか。

サイバースペースが今後「死」をどう扱っていくか分かりませんが、この分野でも様々なサービスが登場する可能性は高いように思います。現在では奇妙なもののように写る「ネットお墓参り」も、数年後にはごく普通な行為として受け入れられているかもしれません。

< 追記 >

Eternity4all を見ていて思ったのですが、永久に残したいデータというのは何か、というのはなかなか哲学的な問いですね。既に登録されているデータには、旅行先の写真あり、パーティーの映像ありと様々なものがあるのですが、僕が登録するとしたら・・・と考えると、なかなか答えが出ません。「無限にデータを登録できる」ではなく「10枚だけ選んでください」というルールは、保管するデータ量を抑制するという運営者側にとっての価値があるだけでなく、ユーザーに自分の人生を振り返るきっかけを与える、という効果もあるように思います。

アキヒト

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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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