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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

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昨日「情報のアウトプット先として、紙を活用するアプリケーションがもっとあっていいのに」ということを書いたのですが(シロクマ日報「アンチ・ペーパーレス」)、ちょうどイメージ通りのサービスが先日報じられていたことを見落としていました:

帰宅支援マップの自動作成サービス(ITmedia News)

GIS関連サービスのパスコは、首都圏で大地震が発生した場合に、徒歩で安全に帰宅できるルートを案内する「帰宅支援マップサービス」を始めた。東京23区内に通勤・通学し、東京都、埼玉県、千葉県に住む人向けの有用サービスで、出発地と目的地を指定すれば、危険度の低いルートを地図で確認できる。

というサービスです。実は先月の初め、日経産業新聞でもパスコが帰宅支援ソフトを開発したことが報じられています:

すわ大地震・・・帰り道任せて -- パスコが帰宅支援ソフト(日経産業新聞 2006年3月7日第5面)

この時紹介されていたのは法人向けサービスで、PCにインストールして使うタイプの「大地震発生時帰宅最適ルート検索ソフト」というものでした。価格は約50万円にもかかわらず、昨年9月に発表されてから既に問合せが約500件寄せられているそうです。今回発表されたのは、このソフトをベースに、同様の災害時帰宅ルートを個人向けにWEB上で提供するものになります。

ITmediaの記事でも紹介されていますが、この「帰宅支援マップサービス」で面白いのは、帰宅ルートをPDFでダウンロードできるところ。災害時にはPCも使えなくなっているでしょうから、当然といえば当然の機能なのですが、単にPCで見るデータを紙に印刷するのではなく「持ちやすい形式の小冊子に加工できる」というプラスアルファの工夫がされています。実際にサービスを使ってみたので、以下でご紹介しましょう:

まずはユーザー登録を行い、帰宅支援マップサービスのサイトにアクセスします。出発地(勤務地)と目的地(自宅)をセットして、ルート検索を行うと、すぐに以下のような経路を提示してくれます:

Pasco_map

ここで「PDFを作成する」機能を選択すると、1部315円でこのデータをPDFファイル化してくれます。PDF化の際には、表示する地図を「地形図(通常の地図を表示)」「建物倒壊危険度(建物が倒れたり傾いたりする危険度を地図に表示)」といった6つのタイプから選ぶことが可能です。僕は「総合危険度(建物倒壊危険度・火災危険度・避難危険度のすべてを合わせた危険度を地図に表示」を選択し、PDF作成を実行してみました。

実行ボタンを押して、クレジットカードの決済が終わると、「PDFファイル作成が完了しましたら、ご登録いただいたメールアドレス宛に連絡いたします。PDFファイルの生成には30分程度の時間を要する場合もございますので、ご連絡が届くまで暫くお待ち下さい。」とのメッセージが。なぜそんなに時間がかかるんだろう?と思ったのですが、約6分待って完成したPDFファイルを見て納得しました。PDFファイルで全25ページにもなる、詳細な地図が作成されていたのです:

060407_1513

1ページはA4サイズで、半分に折って小冊子にするようになっています。従って25×2で、完成する小冊子は全50ページにもなります。小さいホチキスを用意していたのですが、これでは役不足でした。

060407_1516_1

なぜ50ページにもおよぶ資料になるのかというと、僕の検索したルートが長い(六本木→三鷹)という理由もあるのですが、地図以外にも様々な情報が収められているため。例えば上の写真のように、東京都の「帰宅困難者心得10か条」というものまで掲載されています(「ロッカー開けたらスニーカー」「机の中にチョコやキャラメル」ですか、なるほど)。この他にも、「家族と連絡を取るための各種手段」「防災メモ記入シート」といったコンテンツが用意されています。

060407_1521

そして完成したのがこちら。このように、全体図だけでなく、詳細図と交差点の拡大図まで掲載されています。僕の検索したルートの場合、詳細地図は19、交差点拡大図は14という数になりました。地図にはコンビニ、帰宅支援ステーション、応急給水拠点など災害時に役立つ施設の場所も表示されています。

こうして災害時に役立つ情報と、地図が掲載された小冊子を作って机の中に入れておけば、いざ緊急事態という時にも役に立つというわけですね。繰り返しになりますが、「帰宅困難者心得10か条」といった情報は、あくまでもPDFファイルにしか現われないコンテンツです。「PC上で見ることが主、印刷はあくまでもその補足」というサービスは多いですが、「印刷物(そしてそこから作ることのできる小冊子)にして見ることが主」というサービスは珍しいのではないでしょうか。

ちなみにこの「災害発生時帰宅ルート検索」という技術、地図作りから設計まで通常なら約半年かかる作業を、約1ヶ月半で終わらせたそうです。自社内にあったリソース(カーナビ用地図データなど)を活用することでそれを可能にしたそうですが、その面でも参考になるサービスかもしれません。

日経産業新聞の記事によれば、「いずれインフルエンザや防犯情報も包括的に扱うソフトに進化させる」つもりとのこと。さまざまな情報が一ヵ所に集まった、ガイドブック的な小冊子が作成できるサービスになっていくのかもしれませんね。

アキヒト

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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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