更新情報1:NICT命名「A2B攻撃」は中国150チーム参加「百度主催AIエージェント活用サイバー攻撃コンテスト」直後から急増。松本清張「点と線」的に時系列でつないだ仮説
MigawariIV氏投稿
https://x.com/strinsert1na/status/2110340600633655560?s=46
(全文引用させていただきます)
(自分の頭の整理まとめ) だんだん情報漏洩系のデータが集まってきて、原因として以下のようなパターンにざっくり分けた。おそらくだが Linux Kernel の脆弱性で騒がれているような AI による高度な分析が可能になったことよりも、モデルが自律的に目標達成に向けて動けるようになったことによって試行の候補に上がる簡単なものから抜かれているのではないかという印象
・CVEに登録(特に KEV にも)されている脆弱性を悪性
・委託先を含む従業員のマルウェア感染
・上記のようなパターンで侵害されたインフラ側からの水平展開
・AIペンテストツール(ペネトレーションツール)で外部から探索されてIDORや認可不備、運用上の不備発見
・AIでアプリを静的解析されて実装上の脆弱性や認証情報を得て情報漏洩
・他の侵害事例で得たクレデンシャルを用いて横展開
OSSやパッチのバイナリ、窃取したコードを分析されてゼロデイ起点で侵入してくる段階にはまだ来ていないとは思っているが、いつ次のフェーズの波が来るのか
脆弱性の探索にかかる token のコストが侵害後に得られるデータの価値を上回らない限りは AI に脆弱性掘らせ続けた方が得だから、まぁしばらくこの波は引かないだろうな
この投稿を元に、昨日の弊投稿を加味した考察。
NICT命名「A2B攻撃」は中国150チーム参加「百度主催AIエージェント活用サイバー攻撃コンテスト」直後から急増。松本清張「点と線」的に時系列でつないだ仮説(2026/10/14)
ブログで時系列をつないだ仮説と、Xの整理(@strinsert1Naさんの投稿、MigawariIV氏投稿)はよく整合しています。特に「ゼロデイを高度に掘る段階ではなく、モデルが自律的に目標達成に向けて動けるようになったことで、簡単な候補(認可不備、IDOR、運用不備、アプリ解析など)から効率的に抜かれている」という指摘が、実際の観測事例と重なります。
具体例として浮上している主なパターン
現時点で報告されている自律型AIエージェント(またはそれに近いハーネス)の攻撃は、以下のようなものが代表的です。
- **Gambit Securityが回収した中国語話者のキャンペーン(2026年7月頃〜継続)**
オープンソースのStrix(脆弱性探索)、Cairn(エンドツーエンドの侵入)、Hermes(オーケストレーション、スキル自己編集、メモリ付き)の3つを組み合わせて運用。人間は「脆弱性レポートを読んで始めろ」「管理画面に入れ」程度の短い中国語指示を出すだけで、エージェントが並列にスキャン・適応・侵入・後処理までほぼ自動で実行。1ターゲットあたり平均約25ドル程度のコストで、少なくとも27社以上を侵害し、60万件超のクレジットカード情報などを窃取。SQLiでOTPを読んでMFAを突破するケースや、作業用テーブル削除時に不要なテーブルまでまとめて消してしまう「後片付け」ミスなども確認されています。人間の介入は極小で、スケールと速度が特徴です。[](<https://gigazine.net/news/20261007-ai-agents-autonomous-attack/>)
- **ARTEX(百度主催コンテスト優勝ツール)の韓国金融機関攻撃(2026年9月下旬〜10月初旬)**
ブログでも触れられている通り、150チーム超が参加した百度のAIエージェント活用攻撃・防御コンテストで優勝したツールが、実際の韓国の複数銀行への攻撃で使用されたとCrowdStrikeなどが報告。DeepSeek、GLM、Grokなど複数LLMを連携させ、サーバ調査・侵入を自律的に進めた事例。開発者が「悪用された」として公開を停止しクローズドソース化した経緯もあります。少人数で複数組織を短期間に狙える点を示しています。[](<https://blogs.itmedia.co.jp/serial/2026/10/nicta2b150ai.html>)
- **JADEPUFFER(Sysdig報告、2026年7月)**
「エージェント型ランサムウェア」として初期に文書化された例。Langflowの既知脆弱性を起点に、Alibaba NacosやMySQLへ横展開し、設定情報の暗号化・破壊、身代金要求文の生成までをエージェントが実行。失敗を31秒程度で自己診断・修正する挙動や、自己注釈付きペイロードが特徴で、人間が標的選定とインフラ準備を行った上で、技術実行をほぼ任せた形です。後にAIモデル自体を破壊対象とする進化も観測されています。
- **国内のA2B攻撃(NICT命名、2026年10月公表)と関連する情報漏えい集中**
公開Androidアプリを解析してバックエンドAPIの認証・認可不備やSSRF/RCE/SQLi/IDORなどを突く手法。アプリ自体に脆弱性がなくても成立し、AIによる解析・探索の効率化で対象が拡大しやすいとNICTが指摘。JPCERT/CCの注意喚起や、9月中旬以降の複数情報漏えい事案のタイミングと重なる点が、ブログの「点と線」的な整理と符合します。X投稿の「AIでアプリを静的解析されて実装上の脆弱性や認証情報を得る」「AIペンテストでIDORや認可不備を発見」という分類そのものです。
これらは「高度なゼロデイ発見」より「既知の弱点や設定不備を、低コスト・高並列で網羅的に試行する」段階を示しています。トークンコストが得られるデータの価値を下回る限り、この波は続きやすいという指摘も妥当です。(今泉注:「打てば当たる」式で、高速なAIエージェント攻撃のパターンを「思いつくそばからプロンプトに入れて」動かすと、それが無数のAIアタックとなって日本企業のネットワークに露出した部分にやってくる。うち何件かは確率論的にヒットし、彼らに有価値のデータを持ち帰る。)
防御側としては、従来の「人間が手作業でやるペンテストを想定したペース」では追いつきにくく、APIの認可設計(特にIDOR/BOLA)、公開アプリのバックエンド露出最小化、異常な並列アクセスの検知、エージェントが使いやすい既知脆弱性の早期パッチなどが優先度を上げる必要があります。オープンソースの攻撃用エージェントやコンテストで鍛えられたツールが、比較的短期間で実攻撃に転用されている点も無視できません。
引き続き具体例が集まってくると思いますが、ブログの時系列整理とXのパターン分類は、現時点の観測をよく捉えていると感じます。
今泉のコメント:
対処方法として、防御側もAIエージェントによる全自動式の防御方策を24時間365日回し続ける技術スキーム/AIスキームを実装する他ない段階まで来ていると思います。人間のセキュリティ防御行動では間に合わないフェーズです。
具体的に何がそうした全自動式のAIエージェントによる防御方策に当たるのか?
AI攻撃に対処できる「AI駆動型セキュリティ」を提供する欧米イスラエルの製品リスト:日本のサポート体制あり、最近のAI脅威アクターに対応(2026/10/12)
あたりが候補なのでしょうが、いくつか組み合わせても「24時間365日全自動で回るAIエージェント的防御方策」にはならないでしょう...。組み合わせて実装するだけで3か月はかかりそうです。
クロード・ミュトス及びそれに準じた最高最強のAIモデルを使って、自社に適したAIエージェントを自分で組む...ことが残された道ということでしょうか?クロード・ミュトスに自社のITシステムの全部を明け渡す。そうして最適最良の全自動防御AIエージェントを組ませる...そういう最強のAIで自社専用の方策を作って防ぐ道です。
これができる企業はできる。できない企業はできない。前者のAI攻撃対応サイバーセキュリティ費用は「1」。後者のAI攻撃対応サイバーセキュリティ費用は「100」。というような世界に二分化されて行きそうです。