スイーツ(笑)のサンプリング感覚
世間様からは遅れており、スイーツ(笑)がネット流行語大賞の第二位に輝いたことを先ほど知りました。二位なのか、二位。
はてなのスイーツ(笑)の項を見ると、以前、私が触れた時からバージョンアップされていますね。「実際のデザートやお菓子、甘味といった意味のスイーツを指して揶揄する言葉として使われることはまず無いので注意」という一文が加わっています。全国のスイーツ好きのみなさん、ご安心ください。
個人的に、この数年で非常に充実してきたデザート系の洋菓子を総称する言葉として「スイーツ」に勝る言葉はないと思っています。「洋菓子」では収まらない。「甘味」はもとより違う。「ケーキ」では、はみ出してしまうサブジャンルがいっぱいある。「スイーツ」しかないわけです。
先日、赤坂に行く用があったので、Sweet Memoryさんから情報をもらって、アラボンヌーのケーキを買って帰りましたが、うまかったー。和風の清楚な味わいです。
スイーツ(笑)関連ですごく気になるのが、同義語として挙げられている面々。
ここに挙がっているのがおもしろいです。
少し抽出してみます。
秋色ファンデ(笑)
自分らしさを演出(笑)
隠れ家的お店(笑)
がんばった自分へのご褒美(笑)
愛され上手(笑)
さぁ自分磨きがんばろう!(笑)
ふわモテカール(笑)
キラキラ小物(笑)
ツンデレ系でカレの気を引いちゃえ!(笑)
真似したい総決算(笑)
これみんな女性誌の記事タイトル、特集タイトルのワーディングですよね。よくもまぁ見つけてくるなと感心しています。サンプリング感覚は的確です。
一般的に、ひとつのメディアジャンルで語法のスタイルが確立する時には、「時代を引っ張ろう」という強烈な意識を持った少数の人が出現して、自分の役割をよく認識して、固有の語法を編み出していきます。古い例で恐縮ですが、80年代前半の「宝島」なんかには、独自の語法を生み出そうという意識の高い編集者、ライターがたくさん集まっていました。最近だと「LEON」の”ちょいワル”系がいい例ですね。
語法というぐらいですから、流行語を1つ作るぐらいでは収まらず、ありとあらゆる特集タイトル、見出し、記事内の表現などを、その”精神”で染め上げていきます。活字の日本語はそのようにして常に新しくなっている。
死語が出てくるのは、それだけメディアの語法の新陳代謝が激しいということを意味しています。
で、同じ構図がネットメディアにもある。
2chでも、はてなでも、アルファーブロガーでも、ニコニコ動画でも、「時代を引っ張ろう」という強烈な意識を持った少数の人が、固有の語法を編み出しているという図式があるように思います。言葉を作り出す人、あるいは既存の言葉に新しい意味を付与する人が、ごく少数いて、それを伝播させる。それが広く流布するかどうかは、memeの強さによるんでしょうかね。流布する条件というのは、自分にはわかりません。
独自の語法を編み出して、それを共有できる人たちだけでコミュニティを作る。これは女性誌でもネットメディアでも同じ。
その語法がピンとこない人は、そのコミュニティの中で何が起こっているのか理解できない。
コミュニティの成り立ちには独自の言葉遣いというものが関わっている。独自の言葉遣いを生み出すのがコミュニティである。コミュニティの規模が大きくなるかどうかは、その言葉遣いの伝播する力の大きさによる。
そんなことが言えるんでしょうかね。