「SaaSの死」で始まったソフトウェア株急落でIT業界はどうする?!!
こんにちは。
今、我々IT業界のグローバルな株価が大幅に下落しているのはご存じでしょうか。
その原因は「SaaSの死」と呼ばれています。
1.突然起こった「SaaSの死」とは何か
まず、もともと米ソフトウェア企業の株価は1月に急落していました。例えば、ソフトウェア関連株を組み入れたETFは、直近で2割も下落しました。
その原因は、ソフトウェアビジネスの利益率低下、そしてAIによってソフトウェア開発者の業務が奪われることへの不安でした。
そして2月3日の米国市場で、今度はSaaS関連株が急落したのです。この原因は、あの半導体新興企業のAnthropic(アンソロピック)による新技術の発表でした。
米業務ソフト株急落 アンソロピックAI新技術 「SaaSの死」警戒再び(日本経済新聞 2026年2月4日)
「SaaSの死」揺れた米国株 AIが業務ソフトを代替 ソフト4社、時価総額10兆円減
(日本経済新聞 2026年2月7日)
アンソロピックは1月中旬から、資料作成やデータ分析などのパソコン作業をAIで自動化する「Cowork(コワーク)」を提供しています。この「Cowork(コワーク)」に、1月30日、法律や財務の専門業務に対応する新機能を加えたと発表しました。
そして、このニュースを読み解いた2月3日のアナリストレポートで、同ツールのようなAIサービスが既存の業務ソフトや情報サービスを代替するとの見方が、広く投資家に伝わることとなりました。
それが今回の「SaaSの死」ムーブメントなのです。
ちなみに「SaaSの死」という言葉自体は、昨年12月にサティア・ナデラ氏がスピーチで言及した言葉とされています。
2. 「SaaSの死」によるソフトウェア企業株価の下落
そして、このアナリストが説いた「SaaSの死」ストーリーにより、まずSaaS企業の株価が下落し、さらに波及してソフトウェア企業全般の株価にも下落が広がりました。
例えば、Salesforce、Adobe、Intuit、ServiceNowといった業務管理ソフトを提供する4社の時価総額は635億ドル、日本円にすると、なんと10兆円も消えたようです。
これ以外にもソフトウェアを提供するテック企業、例えばMicrosoftやOracleなども大幅に下落しました。
さらには、この「SaaSの死」ムーブメントの2日間で、NASDAQ Composite指数の下げは昨年10月以降で最大となり、時価総額5500億ドル、なんと日本円で86兆円が消失したとのことです。すさまじいですね。
3. アクセンチュアのAI対応
さて、この「SaaSの死」ムーブメントにより、米国市場のコンサルティング企業の株価も大きく下落しました。
コグニザントは10.14%下落、アクセンチュアの株価も9.6%下落しました。
アクセンチュアは12月にも、AIによるコンサル業務の代替懸念から株価が下落しています。
ただ、アクセンチュアの場合、コンサルティング企業としてAIへの対応には着々と動いています。
昨年12月発表の9〜11月期決算では、AI分野でのITサービス需要の増加により、売上高は市場予想を上回る6%増となりました。実際に、AI関連サービスの新規受注額は8割増の22億ドルを計上しています。
ここで、コンサルティング業界の大手であるAccentureのAIに対する対応を見てみましょう。
アクセンチュア、英AI新興買収(日本経済新聞 2026年1月9日)
アクセンチュアは積極的にAI関連のスタートアップ企業を買収しています。このニュースでは、英国のAIスタートアップ「Faculty(ファカルティ)」を買収すると発表しました。買収額は10億ドル(1560億円)以上とみられています。
AI進化 コンサル人員減 アクセンチュアは1.1万人
(日本経済新聞 2025年12月17日)
アクセンチュアは2025年9月に、1万1千人の人員削減計画を発表しています。主に生成AIなどの導入により、基礎的な調査などコンサルが担う業務の約3割は代替できるとの指摘もあり、アクセンチュアは一早く人員削減を打ち出しました。
ただ、人員削減だけでなく、世界で70万人以上の従業員を対象に、AIを利活用できる人材への再教育計画も打ち出しています。
AI利用、昇進条件に アクセンチュア ログイン数監視
(日本経済新聞 2026年2月20日)
そして最近のニュースでは、アクセンチュアは多くの社員のAI利用状況を把握・管理する取り組みを開始したとのことです。さらに、経営幹部に昇進する際には、AIツールの利活用を条件とする方針だそうです。
4. なぜ米国IBMの株価が下落したか
この「SaaSの死」に近い文脈として、最近、2月23日に米国IBMの株価が13%も大きく下落するニュースがありました。
米IBM株13%急落 アンソロピックAIが「COBOL」事業の脅威に
(日本経済新聞会員限定記事 2026年2月24日)
そうなんです。こちらも、あのアンソロピック絡みなのです。2月23日にアンソロピックのブログ記事で、「ソースコードを自動生成する自社ツール『Claude Code(クロード・コード)』を使えば、COBOLで作られたシステムを別のプログラミング言語へ高速に書き換えられる」と説明したことがきっかけとなりました。
今度は「COBOLビジネスの死」騒ぎによって、COBOLに強いIBMの株が大幅に売られたということのようです。
さらには、2月20日に同様の文脈で発表されたアンソロピックのセキュリティ関連機能が発端となり、CrowdStrikeなど大手サイバーセキュリティ銘柄にも売りが広がったとのことです。
アンソロピックの新機能発表をきっかけにIT市場が下落するサイクルが常態化しているようですね。困ったものです。
5. 日本国内における「SaaSの死」の影響
そして、こうした流れは米国中心にとどまらず、日本国内にも波及しています。
AIの影 相場織り込む 「仕事を奪う」懸念、SHIFT株安
(日本経済新聞 2025年12月9日)
実は昨年末から、国内のITソフト関連やコンサル関連の株価も思わしくありません。
ここで挙げられている、ソフトウェアのテストやコンサルティングを展開するSHIFTは、業績が好調にもかかわらず、株価は年初来高値から5割も下落しました。
また、国内コンサルの代表格となったベイカレントも、年初来高値から2割下げています。
国内では、こうした悪いスパイラルが資金調達環境にも影響を与えています。
「SaaSの死」日本にも 新興に投資選別の波 AIで事業進化探る
(日本経済新聞 2026年2月21日)
2025年の国内全体のスタートアップ向け資金調達額は、前年比14%減となりました。ただし、投資資金の選別も同時に進んでいます。従来型のSaaS企業への投資よりも、ディープテックなどの研究開発型企業や、積極的にAIを取り込んでいる企業へと対象が移っています。
これまでは「SaaS」というキーワードで多くの企業が資金調達を実施してきましたが、その流れが一変したため、スタートアップにとっては厳しい時代を迎えているとのことです。
6. 「SaaSの死」は現実か?
さて、ここまで現象としての「SaaSの死」を整理してきたわけですが、それでは本当にSaaSやITサービス企業の将来が危ういのか、考えていきたいと思います。
まず、アンソロピックの「Cowork(コワーク)」や「Claude Code(クロード・コード)」が爆発的にシェアを伸ばしていくのかを考えてみたいと思います。
もしかしたら、これらのAIサービス自体は非常に優れているのかもしれません。ただ、実際にエンドユーザーへこうしたAIサービスを売り込んでいくためには、どのような方法が考えられるでしょうか。
米国でも日本でも、既存の事業会社がアンソロピックと直接契約を結び、AIサービスを導入することには、なお慎重な姿勢がみられるのではないでしょうか。
普通に考えれば、既存のエンドユーザーに深く入り込み、信頼関係を築いているSaaS企業やソフトウェア企業の販売網を活用することになるでしょう。そして、アンソロピックが既存のSaaS企業やソフトウェア企業とタイアップする際には、当然ながら互いにwin-winのビジネスとなります。結果的に、既存のITサービスの中にアンソロピックのAIサービスが組み込まれている形のほうが、エンドユーザーにとっては最も歓迎されるでしょう。
また、先ほどのアクセンチュアをはじめとする大手テック企業、そしてSaaS企業やソフトウェア企業も、今後は積極的にアンソロピックや競合するAI企業と提携、あるいはM&Aを進めていくことが予想されます。
つまり、いきなり何かが置き換わるのではなく、既存企業がAI企業と組んでいく姿こそが近未来の姿ではないでしょうか。その群雄割拠の中で、どの組み合わせがトップに立つのか。その過程で業界地図が塗り替わっていく可能性もあります。
「SaaSの死」ムーブメントが起きてから、エヌビディアのCEO、ジェンスン・フアン氏は次のように語っています。
「ソフト業界のツールが衰退し、AIに取って代わられるというのは最も非論理的なことだ。時が証明するだろう。」
7. 最後に
このように、今回の「SaaSの死」ムーブメントは、単純な投資家心理が描いた妄想によって、多くのIT企業の株価が現在も下落している状況です。
ただ、そうした株価下落を受けて、多くのIT企業はアンソロピックを含むAI企業とのタイアップや買収を模索しています。時が来れば、より強力な「SaaS+AI」や「ITサービス+AI」へと、すべてのサービスが徐々に変わっていくでしょう。
今回の株価下落は一過性だと、いずれ誰もが気づくはずです。
ということは、今がソフトウェア株の買い時かもしれませんね。
それでは。
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