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AI投資が加速し、クラウド市場は急拡大

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世界的なIT市場ではクラウド導入が加速し、従来のオンプレミス型システムからクラウドベースのインフラに移行する動きが一段と活発化しています。近年はAIの活用が進み、膨大なデータを瞬時に分析・処理するための高速コンピューティング環境が求められています。今回は2025年3月27日に発表したIDCの資料をもとにクラウドインフラ市場の背景や概要、今後の展望などについて、取り上げたいと思います。

Cloud Infrastructure Spending continued in accelerated mode in the Fourth Quarter of 2024 as AI investment path surpasses the most positive expectations.

クラウドインフラ市場の現況

IDCの最新データによると、2024年の第4四半期(4Q24)におけるクラウドインフラ向け製品の支出額は前年同期比で99.3%増の670億ドルに達しました。この数字は従来型のオンプレミス(非クラウド)市場を大幅に上回っています。

非クラウドの成長率自体も25.8%という堅調な伸びを見せていますが、クラウド分野の急激な拡大ぶりがいっそう目立つ結果となりました。その背景にはAI技術、高性能GPUサーバーによる推論処理の需要拡大があり、ハードウェアへの投資規模が急速に増加しています。

さらにIDCは、この成長が単なる一時的なブームではなく、将来的にも継続すると予想しています。インフラ市場全体に占めるクラウドの割合は増え続け、各企業がクラウド基盤を整備し、AIやデータ解析のための大規模演算リソースを確保する動きが当面は続くとみられています。

AI投資の加速とクラウドの相乗効果

AI分野では、チャットボットによる対話型システムだけでなく、より複雑な推論や大規模言語モデルへの期待が高まっています。これにともないGPUサーバーの需要が急増し、クラウドインフラ投資も大きく押し上げられています。以前はAI導入の費用対効果に疑問が投げかけられ、DeepSeekの大型モデルによる初期インパクトの精度への懐疑もありましたが、その後の発展が示すように、クラウドとAIの結びつきは急速に深化しています。

大規模な計算リソースを抱えるクラウド事業者は、企業が必要とするデータ分析や推論処理の環境をサービスとして提供できるため、多額の初期投資を個別企業が行わなくても、高度なAI運用が行いやすくなります。これはコスト構造の変化や市場競争力に大きな影響を及ぼしています。効率的なAIインフラの整備が企業の迅速なデータ活用を後押しし、新たな価値創造に直結するためです。

サービスプロバイダーの投資拡大

IDCの報告によると、クラウドサービスプロバイダーやデジタルサービスプロバイダー、通信事業者、マネージドサービスプロバイダーなどを含むサービスプロバイダー群の支出額は、第4四半期だけで656億ドルに達しました。前年同期比で103.9%増という非常に高い伸びを示しており、インフラ市場全体の約73.8%を占めています。

サービスプロバイダーの成長要因は、AIや機械学習などの高度演算リソースへの需要だけではなく、各種クラウドサービスへの依存度が高まっている現状にもあります。DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の動きが世界規模で拡大し、企業だけでなく行政機関や教育機関までもがクラウドを活用する流れが加速しています。

こうした利用拡大に応える形で、データセンターを増設し、高速ネットワークやストレージを確保する必要が生じているのです。アジアや北米といった主要市場のみならず、他の地域でも高い需要が見込まれ、サービスプロバイダー各社はグローバル展開を競うと同時に、現地法人の設立や地域インフラの構築に力を入れています。

地域別の成長動向とオンプレミスの行方

地域別に見ると、カナダと米国が4Q24にそれぞれ151.8%、125.3%の伸び率を記録しました。中国や日本、アジア太平洋地域(APeJC)、西欧、中東・アフリカ、ラテンアメリカにおいても大幅な成長が続いており、中央・東欧だけが5.6%増とやや抑制的だったものの、世界的にクラウド投資が一気に拡大している様子がうかがえます。

ただし、非クラウドのインフラ投資も完全に減退しているわけではありません。4Q24では25.8%増という数字を残しており、すべての企業が一斉にクラウドへ移行しているわけではないことを示しています。オンプレミスにこだわる企業には、業務の特性上、ローカルでのデータ管理が望ましいケースや、独自要件に最適化した自社環境を維持するメリットがあるためです。しかしながら、長期的に見ればクラウド支出の増加ペースがはるかに速く、オンプレミスは徐々に縮小傾向へ向かう可能性が高いとみられています。

今後の展望

IDCは2025年のクラウドインフラ支出が前年比33.3%増の2,715億ドルに達すると予測し、その後も2029年まで年平均成長率17.8%という勢いを持続すると見込んでいます。GPUベースの加速サーバー市場も2025年に46.8%の伸びを示し、1,578億ドル規模へ拡大すると予想されています。クラウドとAIの連動が進むことで、高度な推論や機械学習だけでなく、人間の推論を補完するような大規模モデルの実用化も一気に加速するでしょう。

しかし、電力消費や環境への配慮、セキュリティ対策などの課題は依然として残っています。データセンターの大規模化にともなう電力負荷やカーボンニュートラル対応は、多くの国や企業が真剣に取り組むべき課題となっています。インフラへの投資を推進する一方で、適切な規制や共通基盤を整えることで、持続可能なイノベーションを育む取り組みも必要となっています。

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出典:IDC 2025.3

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