2024年半導体市場はSamsungが首位、NVIDIAが3位に浮上
2024年、半導体市場はAIブームの影響を大きく受け、前年比18.1%の成長を記録しました。特にデータセンター向け半導体市場が倍増し、Samsung ElectronicsがIntelから首位を奪還するなど、業界に大きな変化がありました。今回は、Gartnerが2025年2月3日に公表したレポートをもとに、2024年の半導体市場の動向と2025年の展望について解説します。
Gartner Says Worldwide Semiconductor Revenue Grew 18% in 2024
AIブームが市場を牽引、データセンター向け半導体が急成長
2024年の世界半導体市場は、前年比18.1%増の6260億ドルに達しました。Gartnerの予測によると、2025年には市場規模がさらに拡大し、7050億ドルに達する見込みです。
2024年の成長の主な要因は、AIおよび生成AI(GenAI)の需要増加によるデータセンター向け半導体の急拡大です。データセンター向け半導体の売上は前年比72.8%増の1120億ドルに達し、2023年の648億ドルから大幅に拡大しました。これにより、データセンター市場はスマートフォン市場に次ぐ、2番目に大きな市場となりました。
「GPUやAIプロセッサは、2024年の半導体市場の主要な成長ドライバーとなった」とGartnerのアナリストであるジョージ・ブロックルハースト氏は述べています。
Samsungが首位奪還、NVIDIAが3位に浮上
半導体市場の成長に伴い、主要ベンダーの順位にも変化がありました。トップ10のうち9社が売上を伸ばし、11社が2桁成長を記録しました。
Samsung Electronicsはメモリ市場の回復に支えられ、2024年の売上は665億ドル(前年比62.5%増)となり、Intelから首位を奪還しました。一方で、IntelはAI PCやCore Ultraチップセットを強化したものの、AIアクセラレータ分野での成功は限定的で、売上は491億ドル(前年比0.1%増)とほぼ横ばいでした。NVIDIAはAI市場での圧倒的な需要により、売上を459億ドル(前年比83.6%増)に伸ばし、2ランク上昇して3位に浮上しました。
出典:ガートナー 2025.2
メモリ市場が成長を牽引--HBMのシェアが拡大
メモリ市場は、2024年に前年比71.8%増と爆発的に成長し、半導体市場全体の25.2%を占めました。特に、DRAM市場は前年比75.4%増、NAND市場も75.7%増と大幅に成長しました。
高帯域幅メモリ(HBM)は、この成長を大きく支えました。2024年には、HBMがDRAM市場全体の13.6%を占めるまでに拡大しましたが、2025年にはその割合が19.2%に達する見込みです。
「メモリ市場とAI向け半導体が今後も成長を牽引します。特にHBMの市場は急成長しており、2025年には売上が198億ドルに達するでしょう」とブロックルハースト氏は述べています。
今後の展望--2025年の半導体市場はどうなる?
Gartnerの予測によれば、2025年の半導体市場は引き続き成長を続け、市場規模は7050億ドルに達すると見込まれています。その成長の原動力となるのは、AIと生成AIのさらなる普及、メモリ市場の好調、そして半導体供給の安定化です。特に、データセンターやエッジデバイス向けの半導体需要が拡大することが予想されます。さらに、HBMやDRAMの需要が増加し、価格上昇が続くでしょう。加えて、地政学的リスクの影響を受けつつも、供給網の多様化が進むと考えられます。
特に、NVIDIAやSK hynix、Micronといった企業は、AI市場の成長に伴い今後も急成長が期待されます。一方で、IntelのAIアクセラレータ戦略の成功可否が、同社の市場シェアを左右する要因の一つとなるでしょう。