AI 駆動へ 〜国内ICT市場の10大予測
DC Japanは2024年12月9日、「2025年以降の国内ICT市場における10大予測」を発表しました。今回の予測は、2024年10月に発行された「IDC FutureScape: Worldwide IT Industry 2025 Predictions 」を国内市場向けに調整した内容です。この予測は、AIを中心とした市場の急速な進化を浮き彫りにしています。
AIが駆動する変革の波
IDCによると、今後18か月で世界の企業の多くがAIの実験段階から実践へと移行し、AIがもたらす投資対効果(ROI)の最大化が主要課題となります。これに伴い、企業はデータ、インフラ、クラウド環境の「モダナイゼーション(近代化)」を加速させ、サイバーセキュリティや業務プロセスの強化が求められるとしています。
以下は、IDCが発表した10大予測の概要は以下のとおりです。
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AIエコノミクス
AIの収益化フェーズへの移行とROIの明確化が課題 -
AI投資の見直し
投資効果が見られない場合、AI投資の削減が進む可能性 -
広範囲なサイバーレジリエンシー
規制とAI技術の進化を活用し、システムの可用性確保を目指す -
クラウドモダナイゼーション
クラウドアーキテクチャの最適化により、運用効率と持続可能性を向上 -
Data as a Product
データを即利用可能な製品のように扱い、サイロ化や非効率性を排除 -
アプリケーションの変容
AIエージェント活用による業務のさらなる自動化 -
推論デリバリー
「マルチ推論」戦略の重要性が増大 -
AIインフラの脱炭素化
エネルギー効率を最適化し、環境負荷を低減 -
複合AIの統合プラットフォーム
AI活用を支えるテクノロジー基盤とワークフロー整備の必要性 -
新しい業務の役割
AIによる働き方の変革や新たな職種の創出
IDCは、これらの変化が今後5年間で国内企業に広がる一方で、レガシーシステムの維持やデータのサイロ化、明確なデジタルビジネスビジョンの欠如が一部企業で課題となると指摘しています。AI投資から確実なリターンを得るには、こうした課題を迅速に解決する必要があります。
IDC Japanのグループバイスプレジデント兼チーフリサーチアナリストの寄藤幸治氏は、以下のようにコメントしています。
「インフラ、データ、アプリケーションといったテクノロジー要素に加え、組織文化や人材の強化が必要です。企業内での連携やコラボレーションの推進が、AI投資の効果を得るための王道といえるでしょう。」