国内データセキュリティソリューション市場、需要拡大を予測 - IDC Japan発表
IDC Japanは2024年11月27日、「国内データセキュリティソリューション市場の市場動向」を発表しました。IDCは、データの多様化やITシステムの複雑化、データ駆動型経営の進展によるデータの重要性の高まりを背景に、今後も同市場の需要が増加すると予測しています。
注目されるのは、AI(人工知能)技術の進化がデータセキュリティ市場に与える影響です。AIを悪用したマルウェアが高度化する一方で、AIを活用した防御策も強化されています。また、機密データを暗号化したまま処理する「秘密計算技術」など、AIの利用が拡大する中で新たなセキュリティソリューションのニーズが生まれています。
2024年には、生成AIのエンタープライズ活用が加速し、コードの自動生成や検索拡張生成(RAG)を組み合わせたシステム構築が進むことで、新たなセキュリティ課題が顕在化しています。これに伴い、学習データの保護やAIモデルの防御が重要視される中、AI関連のセキュリティソリューションが注目を集めています。
機械学習の活用は、企業内でのデータセキュリティ体制を見直す契機にもなっています。学習用データセットやアルゴリズムの漏洩リスクに加え、「プロンプトインジェクション攻撃」や「モデルインバージョン攻撃」といったAI特有の脅威が指摘されています。こうしたリスクへの対応には、新たな防御技術や専門知識が求められ、セキュリティベンダーにとって新たなビジネスチャンスとなっています。
データセキュリティニーズの高まりを受け、近年注目されているのがDSPM(データセキュリティ態勢管理)です。DSPMは、クラウドやオンプレミスを含むあらゆるITシステム上の機密データを可視化し、保護するソリューションで、CSPM(クラウドセキュリティ態勢管理)から進化した形態といえます。海外では2022年頃からDSPMを推進する動きが見られ、日本市場でもその重要性が高まりつつあります。
IDC Japanのリサーチマネージャーである鈴木康介氏は、「データ活用の拡大に伴い、データ運用の複雑化や即時的なインシデント対応への要求が高まっている。セキュリティ運用の自動化が必要不可欠であり、特にディープラーニングを活用したAIエージェントの実用化が進めば、企業のデータセキュリティ運用に大きな変革がもたらされるだろう」とコメントしています。