2023年度の国内キャリア投資は2.5兆円割れに
移動体通信・IT分野に特化した調査会社、株式会社MCAは2024年11月8日、「国内主要キャリア各社の設備投資動向に関する調査結果」を発表しました。調査結果では、ソフトバンクグループと楽天モバイルの投資抑制が国内キャリアの設備投資総額に大きな影響を与えている一方で、国内ネットワーク機器投資は依然として移動系キャリアが牽引していることが示されています。
SBグループと楽天モバイルの投資抑制が国内キャリア投資額に影響
2023年度の国内キャリア各社による合計設備投資額は前年度比3.5%減少し、2兆4,491億円となりました。KDDIグループはDCプロバイダの買収に伴う投資増加があった一方で、ソフトバンクグループは前年度比947億円減の3,128億円、楽天モバイルは同1,176億円減の1,776億円と、両社の投資抑制が全体の縮小に影響しています。
2024年度にはKDDIグループが通常の投資に戻る一方、楽天モバイルはさらに投資抑制を計画しており、国内キャリア各社の設備投資額は2兆3,026億円まで落ち込む見通しです。さらに、2027年度には2兆1,854億円までの微減が予測されており、2022年度を境に縮小基調が続くと見込まれています。
出典:MCA MCA、国内主要キャリア各社の設備投資に関する調査結果 2024.11.8
国内ネットワーク機器投資は移動系キャリアが牽引
2023年度の国内ネットワーク機器への投資総額は4,095億円と推定されています。このうち、KDDIが1,118億円、NTTドコモが654億円、ソフトバンクが558億円、楽天モバイルが443億円を投資し、携帯電話事業を展開する4社が全体の67.7%を占める2,773億円を投入しています。移動系キャリアが依然としてネットワーク機器投資を牽引する役割を担っています。
また、NTTグループ全体ではネットワーク機器投資額が1,673億円と、全体の40.9%を占め、ネットワーク基盤の整備に引き続き注力していることが確認されています。
出典:MCA MCA、国内主要キャリア各社の設備投資に関する調査結果 2024.11.8
ネットワーク機器別の投資動向:拡大と縮小の見込み
2023年度のキャリア向けネットワーク機器別の投資額は、前年度比4.1%減の4,095億円でした。伝送装置や携帯電話基地局の投資は縮小傾向にある一方、ルータやスイッチ、PON/MCといった分野では投資が拡大しています。
今後も、伝送装置やルータ、スイッチの投資額は微増傾向が続くと見込まれるものの、基地局やPON/MCの投資は新局数の縮小により、微減する可能性が示唆されています。特に、基地局市場は新規開局数の減少が予想されることから、今後の市場縮小が見込まれています。
出典:MCA MCA、国内主要キャリア各社の設備投資に関する調査結果 2024.11.8