企業で導入が進むデジタルツイン
デジタル技術が進化する中、企業における「デジタルツイン」の活用が着実に広がっています。IDC Japanが2024年8月22日に公表した国内企業ユーザー調査によると、デジタルツインの認知度は高く、今後の産業界においてさらなる導入が期待されているといいます。
デジタルツインの広がり
デジタルツインは、物理的な環境をサイバー空間上にリアルタイムで再現する技術で、IoT技術の発展により、現実世界から取得した多様なデータをもとに3DデータやAI、AR/VRといった技術を駆使して構築されます。
IDC Japanの調査によると、69.1%の企業がデジタルツインを既に導入している、または導入を検討していると回答しており、その普及が進んでいることが伺えます。
さらに、デジタルツインに関する理解も企業内で進んでおり、76.6%の回答者がその概要以上を把握していると答えました。
このことは、企業がデジタルツインの価値を認識し、業務のデジタル化を積極的に推進していることを示しています。
導入対象分野と期待される効果
調査結果によると、デジタルツインの導入が特に進んでいるのは、複雑な製品や機械を扱う分野です。37.5%の企業がこれらをデジタルツインの対象として挙げており、運用や制御が難しい環境での導入が期待されています。
工場のラインや作業員の動作をリアルタイムでの監視・最適化により、業務効率の向上やコスト削減を図る企業も増えています。この分野では、33.3%の企業がデジタルツインを検討しているといいます。
その他にも、ビルや施設の管理、人流や交通流のシミュレーションなどの分野での導入も進んでいます。いずれの分野においても、デジタルツインは人手やコストがかかる運用を自動化し、効率化を促進するとともに、顧客満足度や品質、安全性の向上にも寄与する技術として期待されます。
今後の展望
IDC JapanのSoftware & Servicesリサーチマネージャー、小野陽子氏は、
デジタルツインは複雑で高コストな分野での導入が進む
とし、特に運用の最適化や品質の向上が求められる業界での採用が増加すると予測しています。具体的には、製造業や建設業など、物理的なプロセスが重要な分野でのデジタルツインの活用が進展すると見られています。
企業がデジタルツインを通じて生産性や品質を向上させることで、持続可能な成長への道が開かれていくことが期待されます。
企業においてデジタルツインの認知度や導入意向が高まりつつある中、複雑な機械や工場ラインの効率化にとどまらず、幅広い分野での利用が進み、デジタル技術が産業界に変革をもたらし、さらに加速していくことが期待されます。