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国内パブリッククラウド市場、2028年には7兆円超へ拡大 - 生成AIが成長を加速

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IDC Japanは2024年9月12日、「国内パブリッククラウドサービス市場予測」を発表しました。IDC Japanの調査によると、2032年の市場規模が前年比27.5%増の3兆2,609億円に達したと発表しました

同市場は2023年から2028年にかけて年平均成長率(CAGR)17.2%で拡大し、2028年には7兆2,227億円に達する見込みです。この成長の背景には、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業のクラウドマイグレーションと製品・サービス単価の上昇を挙げています。

主要ドライバー:クラウドマイグレーションとDX

2023年の成長率は前年比38%増だった2022年に比べるとやや減速したものの、依然として堅調です。特に、クラウド移行の範囲がWebシステムや情報系システムから基幹系システムにまで広がっており、これが市場の成長を支えています。製品・サービスの価格上昇は主に為替変動の影響を受けていますが、この価格動向も市場全体を押し上げる要因となっています。

2024年も、クラウドマイグレーションとDXの推進が引き続き成長を牽引すると見られています。特にデータ駆動型ビジネスの案件が増加しており、この動向が国内パブリッククラウド市場をさらに拡大させると予測されています。

生成AIの導入が拡大

特に注目すべきは、生成AIの導入が進展している点です。生産性向上を目的とした「翻訳」や「コンテンツ作成支援」などのユースケースが、すでに企業に導入され始めています。これらのサービスは、主にSaaSやPaaSとして提供される形でクラウド環境に展開されています。

生成AIのユースケースは、今後「ビジネス機能」や「産業特化」へと広がり、2025年以降さらに顕著化すると見込まれています。このトレンドはクラウド市場に新たな需要を生み出し、競争環境やエコシステムの再編を促進するとしています。

エコシステム再編とベンダーへの期待

生成AIの普及は、企業がクラウドベンダーに求める要件にも変化をもたらします。

IDC Japanのリサーチディレクター、松本聡氏は

今後、ユーザー企業はAIの機能性だけでなく、経済合理性を重要視するようになる

と指摘し、クラウドサービス提供者はコスト効率に焦点を当てたアプローチを強化すべきだと提言しています。

2028年にかけて、国内パブリッククラウド市場は堅調な成長を維持し、生成AIの進展によりさらに加速する見通しです。企業がDXの取り組みを深め、AI活用が進展する中で、クラウドサービス市場はますます重要な役割を占めていくでしょう。

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出典:IDC Japan 2024.9.21

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