人手不足に対する企業の動向、正社員不足を感じている企業は5割超
人手不足が企業経営において深刻な課題となっています。
帝国データバンクは2024年7月、「人手不足に対する企業の動向調査(2024年7月)」を公表しました。本調査によると、正社員の不足を感じる企業は全体の51.0%に達しており、非正社員においても28.8%の企業が人手不足を訴えています。
出典:帝国データバンク:人手不足に対する企業の動向調査(2024年7月)
特にITエンジニア不足が顕著で、情報サービス業界では71.9%の企業が正社員の不足を感じていると報告されています。デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の需要が高まる中、IT分野における人手不足は深刻さを増しています。
出典:帝国データバンク:人手不足に対する企業の動向調査(2024年7月)
また、「2024年問題」と呼ばれる建設・物流業の規制強化や、団塊の世代が後期高齢者に突入する「2025年問題」も、労働力不足をさらに悪化させる要因として挙げられています。建設業においては69.5%の企業が人手不足を感じており、大型再開発や工場建設プロジェクトが進行する中、労働力の確保が急務となっています。
出典:帝国データバンク:人手不足に対する企業の動向調査(2024年7月)
非正社員の不足も特定の業界で顕著であり、飲食店では67.5%の企業が人手不足を感じていますが、前年と比較すると改善傾向にあることも分かりました。省力化や合理化投資が進み、一部の業界では労働力の需給バランスが改善しつつあるものの、全体としては依然として人手不足が続いている状況です。
出典:帝国データバンク:人手不足に対する企業の動向調査(2024年7月)
さらに、就業者の高齢化も大きな課題です。60歳以上の労働者の割合は21.8%と過去最高を記録し、20-34歳の若年層の割合が23.2%と減少傾向にあります。特に高齢者が多く就業する業種では、若年労働者の確保が急務であり、今後の企業運営に大きな影響を与えることが予想されます。
出典:帝国データバンク:人手不足に対する企業の動向調査(2024年7月)
人手不足は企業倒産の一因ともなり、2024年上半期だけで182件の「人手不足倒産」が発生しており、その影響はますます拡大しています。
出典:帝国データバンク:人手不足に対する企業の動向調査(2024年7月)
このような状況下で、企業は「選ばれる会社」としての魅力を高め、労働者にとって魅力的な環境を整えることが求められています。特にスキルの提供やキャリア形成の支援を通じて、人材の確保と定着を図る戦略が重要となっています。