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2045年末には国内ハイパースケールDCの需要量は2023年の約4倍に

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IDC Japanは2024年5月16日、「国内ハイパースケールデータセンター(DC)の需要に関する長期トレンドの分析結果」を発表しました。IDCの分析によると、2045年末には国内のハイパースケールDCの需要量が2023年の約4倍に達する可能性を示唆しています。

ハイパースケールDCとは

ハイパースケールDCとは、AWS、グーグル、マイクロソフトなどのメガクラウドサービス事業者が、クラウドサービスを提供するために利用する巨大なデータセンターのことを指します。

国内では、千葉県印西市などで複数の巨大設備の増設が進行中であり、これはクラウドサービス事業が急成長しているためです。さらに、AI機能をクラウドサービスで利用する動きが拡大しており、AIサーバーをハイパースケールDC内に配備するケースが増えています。このような背景から、ハイパースケールDCに対する需要は増加の一途をたどっています。

需要増加の要因と対応

ハイパースケールDCの需要が増加する要因として、クラウドサービスの拡大とAI技術の普及が挙げられます。これに対応するために、データセンター事業者や不動産事業者は建物と設備の建設を進め、必要なDCキャパシティを増加させています。しかし、ハイパースケールDCを1棟建設するには数百億円の資金が必要であり、土地の調達から建物の竣工までに約5年を要します。そのため、長期的な需要トレンドを見極めることが不可欠となっています。

長期トレンドの分析結果

IDC Japanの今回の分析では、過去の国内ハイパースケールDCの需給トレンドを基に、今後約20年間の需要トレンドを予測しました。

2045年には、ハイパースケールDCの需要量が2023年末時点のキャパシティの約4倍に達する可能性があるとしています。長期にわたる予測には予測不可能な技術変革やビジネスモデルの変化が生じる可能性も考慮する必要があります。

IDC Japan株式会社のSoftware & Servicesリサーチマネージャーである伊藤未明氏は、

長期トレンドの予測には、無視しえない程度の上振れリスクや下振れリスクが存在することに注意すべきである

と指摘しています。ハイパースケールDCの事業戦略を策定する際には、このようなリスクを十分に考慮する必要があります。

まとめ

国内ハイパースケールデータセンターの需要は、クラウドサービスの拡大とAI技術の普及に伴い、今後20年間で大幅に増加することが予想されます。IDC Japanの分析結果は、2045年には2023年の約4倍の需要に達する可能性を示していますが、長期的な変動要因を考慮した柔軟な対応が求められます。事業者は、長期的な視点で戦略を練りつつ、技術革新や市場変化に迅速に対応する体制を整えることが重要です。

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出展:IDC Japan 2024.5.16

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