地域社会のDXを支えるデジタル基盤の実装・活用
地域の人口減少や人手・働き手不足が進行する中、地場産業の維持・発展のためには、デジタル技術を活用した労働生産性の向上や産業の高度化・合理化が不可欠となっています。
特に、衰退が指摘されている地場産業の振興・高度化のためには、地域社会のDXを支えるデジタル基盤の実装・活用を推進することが重要です。
総務省は2024年3月19日、「活力ある地域社会の実現に向けた情報通信基盤と利活用の在り方に関する懇談会(第4回)」を開催しました。
この中から、地場産業の振興・高度化のためには、どのようなデジタル基盤が必要であり、どのように実装・活用していくべきかというところに、焦点をあててとりあげたいと思います。
どのようなデジタル基盤が必要か①:デジタル公共インフラ(DPI)
国連によると、デジタル公共インフラ(DPI)は、DXを実現するための重要な要素であり、政府が安全で包括的なサービスを広く人々に提供できるようにするためのデジタル要素で構成されています。
通信ネットワークのみならず、デジタル認証、デジタル決済、データ連携等もDPIの中核を成すもの(CORE DPI)としています。
CORE DPIは、DPIシステム同士の通信を可能にするオープンスタンダード、オープンソースソフト、オープンAPI技術を通じてDPIの利用可能性を拡大するものです。
どのようなデジタル基盤が必要か②:総務省実証事業の分析
総務省の令和5年度「地域デジタル基盤活用推進事業(実証事業)」の採択案件15件を分析したところ、通信ネットワークとカメラ・センサ等の端末のほかに、データ連携基盤やメタバース・3Dモデル、AIエンジン等が共通機能として活用されています。
どのようなデジタル基盤が必要か③:「デジタル基盤」の概念整理
近年では、ネットワークとアプリケーションのみで構成されるサービスは稀であり、データ連携やAI等のミドルレイヤーの機能が共通基盤として提供される事例が多くなっています。
共通機能となるミドルレイヤーでは、情報銀行、3Dモデル、デジタルツイン、メタバース、AI(データ処理)、そして、データ連携基盤などが含まれています。
今後の展望
地域社会DXを加速させていくためには、一地域の優れた取組の広域化や他地域での導入など、いわゆる「横展開」を促進することが重要です。
そのためには、共通化されたプラットフォームとなる地域DXを支えるデジタル基盤の横展開をしながら、他地域でも自走できる仕組みをつくっていくことも求められていくでしょう。