生成AIの使用企業は35.0%、導入進行中が34.5%、今後のさらなる拡大に
一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)と株式会社アイ・ティ・アール(ITR)は2024年3月15日、国内企業983社のIT戦略策定または情報セキュリティ施策の従事者を対象に、2024年1月に共同で実施した『企業IT利活用動向調査2024』の結果を公表しました。
この中から、生成AIの企業の動向を中心にとりあげたいと思います。
生成AIの使用企業は35.0%、導入進行中が34.5%となり、今後急速な拡大が見込まれる
現在、生成AIに対する注目度が高まっています。業務における生成AIの使用状況について質問したところ、「会社で構築・契約した生成AIを使用している」が15.9%、「各自で契約・登録した生成AIを使用している」が19.1%となり、合わせて35.0%の企業が生成AIを使用しているという結果となっています。
また、現時点では、企業が用意した生成AIよりも、従業員個人が登録した生成AIがより多く使用されている状況にあります。しかし、「会社が生成AIの導入を進めている」が34.5%を占めていることから、今後、会社で構築・契約した生成AIを導入して業務で活用する企業が急速に増えていくと予測しています。
出典:企業IT利活用動向調査2024 2024.3.15
生成AIの使用においては、機密情報の漏洩とハルシネーションが大きな懸念点に
生成AIに関する利用規定やガイドラインを策定している企業の割合は、会社で構築・契約した生成AIを使用している企業では68.6%に上ったのに対し、各自で契約・登録した生成AIを使用している企業ではわずか9.0%にとどまっています。
また、生成AIを使用していくうえでの懸念点を質問したところ、企業で構築・契約した生成AIを使用している企業では、「社内の機密情報(個人情報含む)を生成AIの学習データとして使用し情報漏洩する」が最多の67.3%に上っています。
一方、各自で契約・登録した生成AIを使用している企業では26.1%にとどまり、これらの企業では利用規定もほとんど策定されておらず、情報漏洩リスクに対する危機感が薄い結果となっています。
各自で契約・登録した生成AIを使用している企業では、「生成AIが出力した偽情報を従業員が信じ業務で使用する」が46.3%で最多となり、会社で構築・契約し使用している企業でも42.3%となりました。業務で生成AIを使用していくうえでは、ハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成する現象)に対する懸念や不安が多いことが明らかになっています。
出典:企業IT利活用動向調査2024 2024.3.15