ガバメントクラウド先行事業における、現行システムとガバメントクラウドのコスト比較
デジタル庁は2023年12月22日、「ガバメントクラウド先行事業(市町村の基幹業務システム等)の中間報告」を公表しました。
この中から、 現行システムとガバメントクラウドのコスト比較についてとりあげたいと思います。
採択団体のガバメントクラウドへリフトする経費について、イニシャルコストと5年間のランニングコストをヒアリングしています。
本検証では、現行利用中のシステムを同規模で入れ替え・継続利用した場合のコストとを比較しています。
現行システムとガバメントクラウドのコスト比較の全体分析をみてみたいと思います。
イニシャルコスト、ランニングコスト共に増加したのは4件あった一方で、いずれも減少したのは2件のみとなっています。
半数の団体でイニシャルコストよりもランニングコストの方が増加幅が大きい結果となっています。
出典:デジタル庁 ガバメントクラウド先行事業(市町村の基幹業務システム等)の中間報告 2023.12.22
トータルコストを削減するためには、第一象限に位置する団体を第三象限に移行させることが必要となるとしています。ランニングコストの差額幅は、イニシャルコストの幅に比べて大きく、増加への振り幅が大きい。コストの増加傾向は、ランニングコストの影響を受けていることが推察されるとしています。
出典:デジタル庁 ガバメントクラウド先行事業(市町村の基幹業務システム等)の中間報告 2023.12.22
以下はランニングコストの経費区分別に現行システムとガバメントクラウドとのコストの差額を整理したものです。
物品費が増加している団体はガバメントクラウドへのリフトによるコスト削減要素を十分取り込めていない可能性があるとしています。
出典:デジタル庁 ガバメントクラウド先行事業(市町村の基幹業務システム等)の中間報告 2023.12.22
ランニングコスト削減額と削減率による分析(まとめ)
まとめになります。
データセンタ(単独)の場合、ガバメントクラウドへリフトすることによる費用削減効果が高い。
一方で自治体クラウドの場合は費用削減効果が低い結果となった。理由としては、①複数団体で共同利用していた環境から1団体又は2団体のみがガバメントクラウドへリフトしたことで費用按分効果が発揮されていない状況となったこと。②庁舎、ベンダー拠点又は既存データセンターとガバメントクラウドを接続するための新規回線が必要となり、費用負担増となっていることの2点が挙げられる。これらの団体は、①多くの団体と共同でガバメントクラウドへリフトすることで費用按分効果を発揮できること。②より多くの業務システムをガバメントクラウドに移行することでシステムが稼働するサイトの集約に繋がり、通信回線数の削減ができること、次期LGWANの活用も考慮することで費用削減効果を高められると考えられる。
出典:デジタル庁 ガバメントクラウド先行事業(市町村の基幹業務システム等)の中間報告 2023.12.22