HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)を巡る国際動向
生成AIなどの進展により、世界のスーパーコンピュータ(スパコン)の情報処理レベルやアーキテクチャーは加速度的に進化しています。
文部科学省は2023年12月18日、「HPCI計画推進委員会(第55回)」を開催。この中から、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)を巡る国際動向についてとりあげたいと思います。
世界のスパコンのランキング、富岳は上位に
2023年11月時点の世界のスパコンのランキングをみてみましょう。TOP500やHPCGなどのランキングで世界の順位をまとめており、日本では富岳が上位に位置づけられており、HPCG(アプリケーションに使われる計算性能)やGraph500(ビックデータ処理性能)では第1位を獲得しています。
出典:文部科学省 HPCI計画推進委員会(第55回) 2023.12
世界のスパコンのランキング推移とアーキテクチャ
世界のスパコンのランキングの推移をTOP500で見てみたいと思います。
日本の富岳は2020年6月に第1位となり、約1年半(2021年11月)、首位を維持していました。
TOP500上位のアーキテクチャの種類をみてみると、第1位はAMDでIntelなどが続いています。富岳は富士通のCPUなどを使用しています。
スパコンアーキテクチャのトレンド
スパコンアーキテクチャのトレンドを2023年秋時点のトレンドでみてみましょう。
最先端のスパコンにおいては、CPUに加えてGPUなどの加速部(アクセラレータ)を有し、計算の一部を加速部で処理することで高性能化、省電力化を図ることがさらに一般的になってきています。
特に、近年、NVIDIA社またはAMD社のGPUを加速部として採用した大型の計算機が複数登場。特にNVIDIA製のGPUが主流となりつつあります。生成AIの学習向けの計算のみならず、TOP500といった倍精度演算においても、これらのGPUを採用したスーパーコンピュータが高い性能を示しています。
今後の展望
生成AIの進展や、安全保障や産業競争力のための優位性確保に向けて、スパコンの開発競争や、研究開発インフラの重要性は益々高まっていくでしょう。
この中で、富岳をはじめ、日本のスパコンがどこまで存在感をみせていけるか、今後の動きに注目していきたいと思います。
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