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国内生成AIユースケース市場は今後5年で780億円規模へ 〜IDC Japan調査から

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IDC Japan は2023年9月26日、「最新のAIシステム市場における産業分野別/ユースケース別の予測」を発表しました。

IDCでは、AI機能を提供するソフトウェア/プラットフォーム、AIワークロードを実行するハードウェア、およびAIシステム構築に関わるITサービスに関して、産業分野別およびユースケース別にAIがどのように利用されるかについて分析し、5年間の支出額予測を「IDC Worldwide Artificial Intelligence Spending Guide 」として提供しています。

IDCでは、19の産業分野における42のAIユースケースについて分析し、AIシステム市場のグローバル支出額市場規模は2023年に前年比29.3%増の1,665億米ドルに達し、国内では前年比31.4%増の6,837億円に達すると予測しています。

2023年上半期の国内AIシステム市場は、ビジネスバイヤー/消費者のデジタルシフトが進む中で、2022年後半から活発になった生成AIのビジネス活用への期待感が拡大しています。

また、製品/サービス提供ベンダーから生成AIを含むAI機能の組み込みがアプリケーションソフトウェア/プラットフォーム/サービスで進展したこと、AI機能の適用がデータ分析、リスク管理、顧客サービスへの適用に加えて生成AIの企業内利用の実証など、AI実装がさまざまな分野で拡大しています。

IDCでは、生成AIユースケース市場について予測しており、生成AIは2022年後半から大規模言語モデルを利用したサービスがITサプライヤーから相次いで発表され、国内AIシステム市場の活性化要因の一つとなっているとしています。

このため、IDCでは生成AIのユースケースをオーディオ/イメージ/テキスト/ビデオの4種類に分類して支出額市場規模を予測しています。

この結果、国内AIシステム市場における生成AIユースケース市場は、2022年~2027年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)194.7%で成長し、2027年の市場規模は786億9,400万円になると予測しています。

生成AIは要約、検索、翻訳など一般オフィスでの利用ばかりではなく、アプリケーションの自然言語UI、エンターテインメントや顧客エクスペリエンス分野での音声/広告生成、教育分野での教材生成など、多岐に渡る利用方法が想定されるとしています。

一方で利用コスト、正確性、セキュリティ、生成物の権利/倫理などの課題も存在しています。

IDCでは、信頼可能なツール/プラットフォームを選択し、市場要請に対してユーザー企業が適切な適用ポリシーを遵守することで同市場は急速に拡大するとみています。

IDC Japanのアナリストは、

AIシステム市場に対する生成AIのインパクトは支出額ベースでは大きくないように見えるが、アプリケーションやプラットフォームへの組み込みが進む現在、ビジネスプロセスに対する重要性は拡大すると予測する。生成AIは企業がセキュリティ、ガバナンス、倫理について検証を進め、ビジネス適用のためのポリシーを制定したうえで適切なユースケースを開拓することで、労働生産性や顧客サービスの向上などに不可欠なツールに発展するだろう

とコメントしています。

スクリーンショット 2023-09-27 16.26.39.png

出典:IDC Japan 2023.9.26

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