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サーキュラーエコノミーを通じた「新しい成長」

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経済産業省は2023年2月27日、「第6回 成長志向型の資源自律経済デザイン研究会」を開催しました。

今回はこの中から、成長志向型の資源自律経済戦略 骨子案の概要と、
サーキュラーエコノミーを通じた「新しい成長」をテーマにとりあげたいと思います。

世界が直面する課題は、

・世界的な人口増加・経済成長・消費拡大による将来的な資源制約
・国内外の廃棄物問題の顕在化
・地球温暖化、海洋プラスチックごみ問題等の環境問題の深刻化
・生物多様性の損失
・人権問題(児童労働(フェアトレード)、紛争(紛争鉱物回避))

などが山積しています。

こういった状況の中、研究会での目指すべき方向性は、

世界や日本が目指すのは、『環境(Environment)』、『社会(Society)』、『経済(Economy)』の好循環を生み出し、『サステナブル(持続可能)な社会』を実現することによる、プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)を超えない活動の維持とWell-Being(幸福)の実現の同時達成。

をあげており、サーキュラーエコノミーによるデカップリングの実現と Well-Being の向上が重要としています。

これまでは、リニアエコノミー(Linear Economy) 中心で、大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とするリニアエコノミーでは、資源・環境の両面で過負荷が掛かり、プラネタリー・バウンダリーを超過するとともに、潜在成長率の低下にも直結しています。

これからのサーキュラーエコノミー(Circular Economy) は、資源の効率的・循環的な利用とストックの有効活用を、サービス化等も組み合わせて行うことにより、プラネタリー・バウンダリーの境界内で資源消費及び環境影響と経済活動とをそれぞれデカップリングしながら、Well-Being を向上させることが可
能となります。

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サーキュラーエコノミーの目的:デカップリングの実現とWell-Beingの向上
出典:経済産業省 第6回 成長志向型の資源自律経済デザイン研究会 2023.2.27

その中で、リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへの非連続なトランジションが重要となります。

リアルからデジタルへの転換が進む中で、リニアからサーキュラーへの非連続なトランジションの中で、サーキュラーエコノミーとカーボンニュートラルを一体的に進め、サステナビリティと経済成長と Well-Being を同時に実現する「新しい成長」を実現するとともに、「グローバルリーダー」としてサーキュラーエコノミーを牽引して
いくことをあげています。

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リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへの非連続なトランジション
出典:経済産業省 第6回 成長志向型の資源自律経済デザイン研究会 2023.2.27

サーキュラーエコノミーを通じた「価値循環」による新しい成長について、少し掘り下げていきたいと思います。

日本の抱える「弱み」を踏まえつつ、回転と蓄積を基本とする「価値循環(ヒト×モノ×カネ×データの有機的な循環)」に日本の「強み」を融合して、日本の「新しい成長」を実現していくことが重要となります。

サーキュラーエコノミーは気候変動や資源自律のために必要な取組ですが、企業にとっての単なるコストの増加に終始すると、取組のスケール化は望めません。市場経済の下で定着させるためには、国民にとっての具体的な価値につなげることが必要となります。つまり、社会課題の市場経済化です。

新たな伸長が期待されるビジネス類型として期待されるのが、資源循環市場の創出です。

資源循環市場は、リソーシング、セカンダリー、PaaS、技術・設備提供と多岐にわたり、日本の新しい成長と社会課題の解決を同時に実現するポテンシャルを秘めています。

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サーキュラーエコノミー通じた「価値循環」による新しい成長
出典:経済産業省 第6回 成長志向型の資源自律経済デザイン研究会 2023.2.27

そして必要となるのが、資源循環情報流通プラットフォームです。

サーキュラーエコノミーを成立させるためには、①品質向上、②量の確保、③適正なプライシング、④用途拡大、⑤エコデザイン推進、⑥貢献の見える化といった要件が必要であり、これら全ての要件の達成に向けて、必要な施策(アクション)を効率的・効果的に進めるために情報流通プラットフォームが必要となります。

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資源循環情報流通プラットフォームの必要性

出典:経済産業省 第6回 成長志向型の資源自律経済デザイン研究会 2023.2.27

政府では、サーキュラーエコノミー実現に向けたトランスミッション:3つのギアをあげています。

以下のようにパッケージ化して、日本におけるサーキュラーエコノミーの市場化を加速し、国際競争力の獲得を目指すべきではないか。という提言をしています。

ギア① 競争環境整備(規制・ルール)
ギア② サーキュラーエコノミーツールキット(政策支援)
ギア③ サーキュラーエコノミーパートナーシップ(産官学連携)

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成長志向型の資源自律経済の確立のトランスミッション:3つのギア

出典:経済産業省 第6回 成長志向型の資源自律経済デザイン研究会 2023.2.27

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