「市場形成力」の3つの能力と、ルール形成に必須の遠心力と求心力
経済産業省は2022年3月22日、企業の市場を形成する力と、その意識調査結果について 「市場形成力指標Ver2.0の策定」を公表しました。
経済産業省では、企業がルール形成(規制、規格、ガイドラインなど)に取り組み、新しい市場を創出するといった「ルール形成型の市場創出」を後押ししています。
そうした中、ルール形成に取り組む企業の現状を把握するため、「社会課題解決型の企業活動に関する意識調査」を実施し、ルール形成に取り組んでいる企業の年平均成長率は、日本企業の平均よりも大きく上回っているという結果が明らかになっています。
経済産業省では、意識調査の結果も踏まえ、「市場形成力指標Ver.2.0」を策定し、企業としての市場を形成する力を「見える化」することを目指しています。
経済産業省では、「市場形成力」を
カーボンニュートラル等の社会課題解決を新しいビジネスの機会と捉え、ルールメイキングを活用し、新たな市場を形成する力
と定義しています。
「市場形成力」とは、
・アジェンダ構想力
・社会課題解決力
・ルール形成力
の3つから構成されるとしています。
・アジェンダ構想力
「アジェンダ構想」とは、自身のミッションや中長期的な社会的・経済的インパクト等を踏まえて戦略的にアジェンダ設定を試みつつ、当該アジェンダに内在する社会課題を解決する手段の事業化と、当該事業が市場で価値として評価されるために必要な仕組みづくりとを有機的に連関させることで、社会課題解決と事業の持続可能性を両立させる市場形成のストーリーを構想・設計する取組を指し、アジェンダ構想に資する能力
・社会課題解決力
「社会課題解決力」とは、専門人材、技術・アイデア、ノウハウ・経験や、課題解決を推進する体制・組織内方針等、設定したアジェンダ(社会課題)の解決に資する事業を遂行するために必要な能力やアセットをいう。
・ルール形成力
「ルール形成」とは、遠心力・求心力を発揮することで、多様なステークホルダー間のコンセンサスの形成を通じてルール(規制、規範、規格、その他基準・認証等。下記が具体例。)を策定し、かつ、他者が当該ルールに従わざるを得ない(又は従うことで得が生じる)環境を構築する取組を指し、ルール形成に資する能力やアセット
ルール形成力を分類すると、遠心力と求心力に分類されます。
・遠心力
「遠心力」とは、ルール形成力の構成要素の1つであり、プロジェクトの活動に関心を持つ他法人・団体に向けた情報発信、イベント登壇や意見交換等の取組を通じて、本プロジェクトの活動目的やその価値を対外的に伝搬させる能力
・求心力
「求心力」とは、ルール形成力の構成要素の1つであり、プロジェクトの活動目的やその価値に共感する他法人・団体を引き寄せ、継続的な活動(意見交換に留まらない連携・協働)につなげる等、本プロジェクトの目的達成に向けて、協力関係で結ばれたステークホルダーを増やす能力をいう。
ルール形成に必須の遠心力と求心力のまとまた図が以下のとおりです。
出典:経済産業省 市場形成力指標Ver2.0 2022.3