スマート・ワークペースなどが過度な期待のピーク期に「日本におけるユーザー・エクスペリエンスのハイプ・サイクル:2021年」、ガートナー発表
ガートナージャパンは2021年11月25日、「日本におけるユーザー・エクスペリエンスのハイプ・サイクル:2021年」を発表しました。
デジタル化を推進するITリーダーにとっては、企業の従業員やパートナーといったITの利用者 (ユーザー) に提供するIT環境を改善し、ユーザー・エクスペリエンス (UX) を向上させることが重要になっており、本ハイプ・サイクルでは、UXを広く捉え、これに大きく関係する主要なテクノロジに焦点をあてています。
具体的には、以下に示す4つの領域における主要なテクノロジを取り上げています。
(1)ユーザー・インタラクションに関するテクノロジ (AR [拡張現実]/VR [仮想現実]/MR [複合現実]、スマート・スピーカーなど)
(2) 自律行動型のデバイスに関するテクノロジ (スマート・ロボット、次世代ドローンなど)
(3) デバイスやエンドポイント向けのワイヤレス通信 (Wi-Fi、5Gなど)
(4) 知覚や嗅覚など人を代替、あるいは拡張するための未来型テクノロジ (五感センサ、ライブ顔認証、双方向ブレイン・マシン・インタフェースなど)
2021年版の本ハイプ・サイクルでは、
「人間中心のAI」「五感センサ」「仮想オフィス」「リモート・エキスパート・ガイダンス」をはじめとする、人の経験や体感 (エクスペリエンス) に密接に関わるテクノロジを新たに追加しています。
UXの領域では2021年現在、従来の従業員向けテクノロジが成熟する一方で、デジタル・トランスフォーメーションを推進する重要なテクノロジに過度な期待が寄せられ、ハイプ (過熱) 状態になっています。
また、ユーザーIT環境では「テクノロジ・ドリブン型」から「ユーザー・セントリック型」への変換が重要であり、人にとってさらに使いやすく心地よいテクノロジの実現によるUXの向上と、それを支えるシステムのさらなる効率化や高機能・高性能化を目指すことの重要性が増しているとしています。
出典:日本におけるユーザー・エクスペリエンスのハイプ・サイクル:2021年 2021.11
「過度な期待のピーク期(Peak of Inflated Expectations)」には、
次世代ドローン、リモート・エキスパート・ガイダンス、DEM(デジタル・エクスペリエンス監視)、スマート・ワークスペース、Wi-Fi 6/802.11ax、ワークプレース・アナリティクス、MR(複合現実)などとなっています。
一方、「黎明期(Innovation Trigger)」にあるのが、
人間中心のAI、五感センサ、Wi-Fi 7/802.11be、没入型ワークスペース、仮想オフィスなどとなっています。
幻滅期には、
DaaS、仮想アシスタント、スマート・ロボット、クライアント/クラウド、ライブ顔認識、AR(拡張現実)、そして、スマート・スピーカーなどとなっています。
ガートナーでは、
ユーザーIT環境はデバイスやテクノロジの進化により日々変化しており、企業のテクノロジ戦略もそれを踏まえて短期、中期、長期の視点を併せ持つことが重要です。UXは、人とテクノロジ、モノやシステムをつなぐものであり、また現実世界とデジタル世界の接点でもあります。これからのデジタル・ワークプレースにおいて、現実世界とデジタル世界の境界でさまざまなサービスを提供するUX関連のテクノロジはさらに重要度を増すでしょう
企業は、今後のデジタル・ワークプレース戦略の中で、柔軟なワークスタイルを実現したり、従業員のエクスペリエンスを向上させたりするソリューションに焦点を当ててロードマップを作成する必要があります。UXに関するテクノロジは、成熟に比較的長期間を要するものが多いですが、デジタル・ワークプレース変革の動きに合わせて、企業におけるUXの重要性は高まり、テクノロジの進化も加速することが予測されます
と述べています。
新型コロナウイルス感染の影響で、人々のワークスタイルは大きく変化しており、ますますデジタル・ワークスペース×UXの重要性は増していくでしょう。