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カーボンプライシングに関する現状認識と基本的な考え方

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経済産業省は2021年7月1日、「第6回 世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する研究会」を開催し、中間整理に向けた骨子案を示しています。

この中から、カーボンプライシングに関する現状認識と基本的な考え方について、まとめたいと思います。

現在、125カ国・1地域が2050年までのカーボンニュートラルを表明しており、脱炭素化、低炭素化への移行が加速しています。特に、今後、グローバルセットメーカを起点とする脱炭素化を養成するサプライチェーン上の新たな取引慣行が進むと予測しています。

この際、重要になってくるのが、カーボンニュートラルに向けた新たな企業ガバナンスのあり方や、CO2削減に関する市場評価(価値)、カーボンプライシングへの注目度の高まりの3点です。

カーボンプライシングはとは、本研究会では、炭素に価格をつけ、排出者の行動を変容させる経済手法として、整理しています。政府だけでなく、民間によるプライシングも存在しており、以下のように整理しています。

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出典:経済産業省 第6回 世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する研究会 2021.7

カーボンプラシングに関しての基本的な考え方については、以下のとおりです。

2050年のカーボンニュートラルの実現には、経済と環境の好循環という観点から、カーボンプライシングを推進することが重要となっています。

カーボンプライシングは、企業の研究開発や設備投資の意欲・能力を削ぐものではなく、イノベーションや積極的な投資を促すものであること

グローバル・ビジネスの潮流を踏まえて、他国とのビジネス上の競争環境に不利が生じない制度設計を行うこと

脱炭素に向けた行動変容を促すシグナルは、制度や価格、市場の存在、見える化など、さまざまな形態が存在することを不あえて、負担の増大よりもメリットの提供を優先させつつ、主体ごとに最適なポリシーミックスで対応すること

カーボンニュートラルに向けた道筋は各企業が取り扱うビジネス領域で千差万別。分野ごとの代替技術の確率状況やマクロ経済を踏まえた、適切な時間軸を設定すること

カーボンニュートラルに資する商品が市場で選択されるよう、需要家の行動変容を促すこと

といったことをあげています。

出典:経済産業省 第6回 世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する研究会 2021.7

カーボンプライシングが機能するための基盤の整備では、

炭素含有量(カーボンフットプリント)を精度高く見える化・トラッキングできれば、企業や消費者が、低炭素な財を選択できる可能性が高まり、炭素国境調整措置においても、製品に含まれる炭素の計測が求められる可能性があるとしています。これらを踏まえて、IT技術なども活用したカーボンフットプリントの基盤整備のあり方についての議論の必要性を示しています。

また、カーボンニュートラルを実現する上で、企業によるオフセットの需要は高まっており、クレジットの議論がはじまっており、クレジット取引の透明性の確保や国内における取り扱いの明確化が必要であるとしています。これらを踏まえて、カーボンニュートラルを目指す上でのクレジットの位置づけの明確化に向けての議論の必要性も示しています。

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