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システム構成の多層化・重層化による複雑化するデータマネジメント

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経済産業省は2021年7月15日、「データによる価値創造(Value Creation)を促進するための新たなデータマネジメントの在り方とそれを実現するためのフレームワーク(仮)」骨子案の意見公募手続(パブリックコメント)を開始しました。

経済産業省では、令和元年7月31日 に「『第3層:サイバー空間におけるつながり』の信頼性確保に向けたセキュリティ対策検討タスクフォース」を設置し、データの信頼性確保に求められる要件について検討を行ってきました。

タスクフォースでは、データを軸に置き、データのライフサイクルを通じて、その置かれている状態を可視化してリスクを洗い出し、そのセキュリティを確保するために必要な措置を適切なデータマネジメントによって実現することを可能とする 「データによる価値創造(Value Creation)を促進するための新たなデータマネジメントの在り方とそれを実現するためのフレームワーク(仮)」 の骨子案を取りまとめまています。

同フレームワークでは、データマネジメントを「データの属性が場におけるイベントにより変化する過程を、データのライフサイクルを踏まえて管理すること」と定義し、

「イベント(生成・取得、加工・利用、移転・提供、破棄、保管)」、「場(各国の法令、組織の内部規則、組織間の契約など)」、「属性(カテゴリ、開示範囲、利用目的、データ管理主体、データ権利者など)」というそれぞれに影響しあう関係にある3つの要素から構成されるモデルとして整理しています。

3つの要素によってデータの状態が可視化され、ステークホルダーの間で認識を共有しやすくなることによって、ステークホルダー全体での適切なデータマネジメントの実施につながることを目指しています。

この中から、今回は、システム構成の多層化・重層化によるデータマネジメントの複雑化について焦点をあててみたいと思います。

クラウドサービスの利用の進展により、データが生成され価値を生む場所と実際にデータが処理される場所が異なることがあるなど、システムの多層化・重層化が進展しています。システムの複雑性が増すほど、データが取り扱われる「場」がフィジカル空間と乖離することがあるという課題点を指摘しています。

スクリーンショット 2021-07-22 14.43.49.png

出典:経済産業省 2021.7

B社SaaSはC社PaaS上で、C社PaaSはD社IaaS上で稼働している場合等において、A社がB社と契約してデータを保管する際、A社から見たデータの保存先はB社SaaSだが、実際のデータの保存先はD社IaaSとなり、A社・B社間の関係だけからは見えないリスクが内在しています。このような複雑なケースがあることを認識した上で、扱うデータの機微性等に応じてバリュークリエイションプロセスのデータフローを可視化し、サービス契約の約款や契約相手へ確認することが重要としています。

出典:経済産業省 2021.7

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